消えた依頼人−スキャンダルの真実。見えない衝撃の結末 最高の顔合わせで贈る傑作サスペンス−

2007年/アメリカ/カラー/90分/ 配給:リベロ、AMGエンタテインメント

2009年07月03日よりDVDリリース 2009年2月7日(土)より、銀座シネパトスほかにてロードショー

公開初日 2009/02/07

配給会社名 0223/0644

解説


元警官のトムの職業は、犯罪や事故現場の血痕などを取り除く特殊な清掃請負業。ある日、いつものように大邸宅の殺人現場の痕跡を完璧に除去するが、その清掃の依頼主は、なんと架空の人物だった。そして、邸宅の主・名士のジョン・ノーカットが行方不明と報道される。市警察汚職収賄事件を巡る陰謀の影がちらつくなか、ついにはトム自身が殺人の容疑をかけられる。真相を探る彼の前に暗い口を開けるのは、自らの警官時代の消し去れぬ過去‥。誰が殺したのか? そして、誰がトムをはめたのか?

 殺人や事故の現場を清掃するという産業=“CTS Decon (Crime and Trauma Scene Decontamination:犯罪および精神的外傷となる現場の除去、浄化)”。アメリカに実在するこの特殊な職業を営むひとりの男が、ある「殺人現場」を清掃したがゆえに事件に巻き込まれるという、独創的でひねりの効いたサスペンスが誕生した。「殺人事件」を清掃したはずが、「失踪事件」にすり替わっていたという衝撃的な発端。殺人の事実を知るのは、犯人と主人公のみ。しかも、証拠は総てその手で消してしまっている。観る者は、主人公・トムが感じる恐怖や戸惑いを共にしつつ、そして時には事態を覗き見する感覚で、衝撃のラストまで、息をもつかせぬミステリアスな展開に翻弄される。「誰が殺したのか?」という彼の真相追求は、封印された過去を呼び覚ます。本作は、自らの過去を「清掃」して再生できるのか、というトム自身の物語でもあり、その人間ドラマ的肉付けが、サスペンスの本筋に奥行きを生み出す。
 この映画に信憑性を与えるのは、臭いに至るまで痕跡を除去してゆくCTS Deconのリアルな描写だ。手順から使用器具に至るまで丹念なリサーチをして作り上げた「清掃」シーンには、グロテスクな嫌悪感ではなく「怒りや悲しみを浄化する」静謐な空気が漂う。
 主人公・トムを演じるのは、アカデミー賞助演男優賞ノミネートの『パルプ・フィクション』(94)ほか100本を超える幅広いジャンルの作品に出演して印象的な演技力を見せ、数々の賞を獲得した実力派サミュエル・L・ジャクソン。汚れた過去を封印し、娘のために穏やかで“潔癖な”現在を生きる男、というトムの複雑な感情を、人間的な脆さと強さの両面をもって体現する。
 監督は、『ダイ・ハード2』(90)、『エクソシスト ビギニング』(04)のレニー・ハーリン。アクションに定評のある彼が、それを極力押さえたサスペンスフルな演出で、新たな境地を開いた。回想シーンを使わず、現在の雑駁でナチュラルな会話や行動から、様々な過去の秘密や事件の真相を浮かび上がらせる、という点でも、ユニークなサスペンス映画といえよう。視覚的にも工夫をこらし、トムの心的変化に連動したカメラワークや、トムの深層心理の表出とも見える「鍵をかける」ショ
ットや「洗い流す」ショットの重なりが、スタイリッシュでスリリングな緊迫感を醸し出す。サミュエル・L・ジャクソンとのコラボレーションは、『ロング・キス・グッドナイト』(96)、『ディープ・ブルー』(99)に次いで3本目となる。
 共演するキャストも豪華な顔ぶれだ。トムの警察時代の相棒、エディに、『アポロ13』(95)、『めぐりあう時間たち』(02)ほかで4度アカデミー賞助演男優賞にノミネートされたエド・ハリス。ミステリアスな雰囲気を漂わせるアンに、『ゴーストライダー』(07)のエヴァ・メンデス。トムに付きまとう刑事バーガスには、『ローグ アサシン』(07)のルイス・ガスマン。また、トムが何よりも愛し、守ろうとする娘・ローズを、『ドリームズ・カム・トゥルー』(06未)のキキ・パーマーが好演する。
 多彩な登場人物達は、現実の人生で誰もがそうであるように、皆が少しずつ秘密を抱えている。それらが交錯したとき、事件の真相へと、映画は加速する。

ストーリー

アメリカ東海岸の寂れた街、ブラウンストーン。元警官のトム(サミュエル・L・ジャクソン)は、14歳の娘ローズ(キキ・パーマー)と穏やかな暮らしを送りながら、特殊な清掃会社、ステリクリーン社を経営していた。その仕事は、犯罪や自殺や事故現場から警察が立ち去った後、血溜まりや飛散した脳ミソ、臭いなどを取り除くというタフでなければ務まらぬ仕事。そして同時に、悲しみや憎悪を洗い流す仕事でもあった。
 ある日、殺人現場の清掃依頼が届く。受注書の指示通り、鍵を玄関前の植木鉢から取り出して無人の大邸宅に足を踏み入れたトムの目に、射殺現場とおぼしき派手に血で染まったリビングルームの光景が飛び込んできた。トムは、洗浄剤や器具を駆使したプロの技で、殺人の痕跡をひとつ残らず除去していく。
 だが、翌日、鍵を返し忘れたことに気づいた彼が、再び邸宅を訪れると、驚いたことに、迎え出た女主人のアン(エヴァ・メンデス)は、清掃の依頼のことや、ましてや殺人のことなど全く知らない様子だった。
 一体、誰が、あの「清掃」を依頼したのか?トムは受注書に記された刑事の名前をたどるが、それは架空の人物だった。彼は、底知れぬ恐怖を感じ、現場のポラロイド写真や、邸宅の鍵を入れたファイルを隠し、鍵をかける。
 新聞やテレビが、郡の名士で実業家のジョン・ノーカットが行方不明であることを報じている。その中継現場は、なんとあの邸宅。そして、アンはジョンの妻。「殺人」が「失踪」にすり替わっている!
 情報を探ろうと、ずっと疎遠にしていた警察時代の相棒、エディ(エド・ハリス)を久しぶりにパブに呼び出したトムは、ある驚愕の事実を知る。ジョンは、元市警察本部長ヴォーンの汚職収賄事件の検察側の証人として出廷を予定していたという。偽の「清掃依頼」の裏には組織的な陰謀が渦巻いている! パブに偶然居合わせた刑事のバーガス(ルイス・ガスマン)は、トムが失踪事件を気にしているのを察し、不審の目を向けた。彼は、トムの “過去”を知っていた。その後、ノーカット邸のリビングルームから、業務用洗浄剤が検出されると、バーガス刑事は、トムの関与を、さらには殺人をも視野に入れて彼を疑う。
 事件の渦に巻き込まれたトムは、アンと会い、探りを入れる。「真相を知りたい」と答えた彼女に、トムはリビングルームで見たものを打ち明ける。夫は射殺されたと知り、アンは、ショックを隠せない。そして、ヴォーンの元金庫番であったジョンが、司法取引に応じて提出しようとしていた裏帳簿を隠し金庫から取り出す。それは、ヴォーン側が血眼で捜しているはずの汚職の記録だった。謎のナンバーは、汚職警官達のバッヂナンバーらしい。エディの調査で、トムに付きまとうバーガス刑事もそこに載っていることが判明した。
 だが、それだけでなく、トムは、自身のナンバーをも帳簿に見つけていた‥。それは、決して消し去れぬ過去の汚点。警官時代、悲劇的な妻の死を巡るある秘密が発端で、トムは汚職に手を染めた。トムが愛娘・ローズにひた隠しにしてきた過去が、今、暗い口を開けて彼を飲み込もうとしている‥。
 ヴォーン側かと思われる正体不明の警官から殴打されても、事件にのめり込むトム。エディは、それをたしなめ、あの悲劇以前は家族的な付合いがあったのに、今や情報収集役としか見ていないようなトムの態度にも怒りをぶつける。
 そんな時、ジョンの遺体が発見された。遺体が示したひとつの事実は、事件に新たな光を当てる。アンもまた、秘密を抱えている‥!
 ジョンを殺し、トムを罠にはめたのは、一体誰なのか? 
 過去からの波が迫るなか、驚愕の真相に向かって、事態は急転回する‥。

スタッフ

監督:レニー・ハーリン
脚本:マシュー・アルドリッチ
撮影:スコット・キーヴァン
音楽:リチャード・ギブス
衣装:デザイン:スザンナ・プイスト
プロダクションデザイン:リチャード・バーグ
プロデューサー:マイケル・P・フラニガン

キャスト

サニュエル・L・ジャクソン
エド・ハリス
エヴァ・メンデス
キキ・パーマー

LINK

□公式サイト
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す