帝国オーケストラ ディレクターズカット版
原題:The “Reichsorchester” The Berlin Philharmonic and the Third Reich A film by Enrique Sánchez Lansch
ベルリン・フィル創立125周年記念上映 第一弾
2008年/ドイツ/カラー/97分/ 配給:セテラ・インターナショナル
2008年11月1日(土)より、渋谷・ユーロスペースほか全国順次ロードショー
(c)SV Bilderdienst
公開初日 2008/11/01
配給会社名 0117
解説
オーケストラの演奏家が語る、新たな歴史の視点
1882年創立されたベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(ベルリン・フィル)は、2007年-2008年シーズンで125周年を迎えた。その長い歴史の中の1933年から45年までの時代に注目したのが、『帝国オーケストラ』。このテーマはこれまでも数多く語られてきたが、その多くはナチスとフルトヴェングラーという構図であった。本作では、オーケストラを構成していた個々の演奏家にスポットをあてた。音楽を奏でることを使命としてきた演奏家は、ナチスに翻弄され、何を感じ、どう選択したのだろうか。
※2007年のベルリン・フィル125周年式典では、過去を検証し理解するという意味から、本作の上映がおこなわれた。
ナチスとの関係の始まり
1933年は、ヒトラーがドイツ帝国の首相となり、全ドイツ国民はヒトラーの独裁政治の手中に入った。この頃、独立した組織として自分たちで運営していたベルリン・フィルは、極度のインフレ下にあったドイツで、経済的に破綻していた。そこに、ナチスの宣伝大臣ゲッベルスは支援を決定し、当時の芸術監督であるフルトヴェングラーは、オーケストラの存続のため承諾した。ベルリン・フィルが演奏を続けていくためには、この選択しかなかったのだ。音楽家たちは、これまでどおりベルリン・フィルの音楽を演奏していればいいと思っていたが、ゲッベルスはヒトラー政権のプロパガンダのために彼らを利用した。
語り部となる当時のメンバー
1939年第2次世界大戦が勃発し、終戦を迎える45年まで、友人や家族や親戚が戦地へ向かう中、ベルリン・フィルのメンバーは演奏することを許されていた。本作では、戦時下でも武器ではなく楽器を手にすることを許されたオーケストラメンバーの隠された苦悩や心の葛藤が明らかにされていく。
当時のことを知るメンバー、96歳となったヴァイオリニストのハンス・バスティアン、86歳のコントラバス奏者エーリッヒ・ハルトマンは、当時の様子を、まるで目の前で起きていることのように話す。さらに、ユダヤ人ゆえ亡命を余儀なくされたシモン・ゴールドベルクらのメンバーの子どもたちが、遺品と記憶を手掛かりに語っていく。スクリーンに映し出されるヒトラー、ゲッベルス、フルトヴェングラー、ベルリン・フィルの演奏などの姿によって、証言者たちの言葉や心情がよりリアルに迫ってくる。
世界が認める音楽で人々の心を豊かにしてきたベルリン・フィルの苦悩の時代————
政治変革や戦争という状況下でも、優れた音楽だけを目指し演奏し続けたオーケストラメンバーの心の声が響いてくるドキュメンタリー。
ストーリー
スタッフ
監督:エンリケ・サンチェス=ランチ
撮影:ファリバ・ニルキアン
録音:パスカル・キャピトラン
編集:トマス・ウェルマン
共編:ミーシャ・アスター
ラインプロデューサー:クリスティン・ホルスト
プロデューサー:ウリ・プファウ
編集: rbb、ドロテア・ディークマン、ロルフ・ベルクマン
キャスト
ハンス・バスティアン
エーリヒ・ハルトマン
ディートリヒ・ゲルハルト
ヘルムート・シュテルン
アンドレアス・レーン
マリーレ・ヘーファー・スツェーペス
ハンス・ヨアヒム・ホルノフ
ウルズラ・キュルマー
イングリッド・ローレンツ
ジョン・シュスター
Dr.クリスティアン・ブーフホルツ
クリスティアーネ・ヴァイスフィンガー
アンドレアス・ホッペ
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