ララピポ
2009年/日本/カラー/94分/ 配給:日活
2009年2月7日(土)より、渋谷シネクイント、シネ・リーブル池袋、新宿ミラノ3他全国ロードショー
(C)2009『ララピポ』製作委員会
公開初日 2009/02/07
配給会社名 0006
解説
みんな、おかしいほど、生きている。
奇跡の“サバイバル”ムービー誕生!
いま、世の中は弱肉強食。
ワーキングプアやネットカフェ難民、非モテに婚活など、“負け組”を呼称するあらゆるキーワードが生み出された、壮絶な格差社会。年金問題や景気対策のどんづまりなどで政治不信も極まり、まったく先行きが見えないこの現代ニッポンをサバイバルするのは、もはや並大抵のことではない。
そんな中、この映画が映し出すのは、日本最大のアーバン・ジャングル=東京に生息する6人の人間模様だ。渋谷のスクランブル交差点を行き交うのは、いずれも底辺にうごめくダメ人間ばかり。
野心家の風俗専門のスカウトマン。
実はデブ専AV女優のアニメ声優。
言われるがままとことん堕ちていく元OL。
対人恐怖症の高学歴フリーライター。
スーパーヒーローを夢想するカラオケボックス店員。
ゴミ屋敷の主婦にして淫乱熟女。
まさに選りすぐりの負け犬たちだが、彼らも大都会をしたたかに生き抜いている。ぶざまでも必死に自分の人生にしがみつくその姿には、単なる共感や感動を超えて、明日に向かう活力と勇気をもらえるだろう。俺たちも、簡単につぶされてたまるかよ——。即席のお涙ちょうだいでは得られない、本物の癒しがここにある。
スーパーバイザーに近田春夫を迎え、全編アッパーでキラキラした音楽に乗せ、日々のしんどさやかったるさをすべてポジティヴなパワーに変えてくれる、奇跡の“サバイバル”ムービー。それが『ララピポ』なのだ!
原作・奥田英朗×脚本・中島哲也が生み出すマジック
タイトルのララピポとは、カタカナ読みした“a lot of people”のこと。人がたくさんいる東京の空の下、笑いと切なさが交錯する複雑な人間模様を描き出したのは、『空中ブランコ』で直木賞を受賞し、『イン・ザ・プール』『サウスバウンド』が過去に映画化されている人気作家・奥田英朗だ。2005年に発表された彼の同名ベストセラー小説が、『ララピポ』の原作。鋭い人物描写と巧みな構成力に定評のある奥田ワールドの中でも、とりわけ濃いキャラクターたちが登場するこの物語は、突出した傑作にして怪作と、ファンから熱狂的に支持されている。
その原作を鮮やかに脚色したのが、監督作『下妻物語』『嫌われ松子の一生』で日本映画界を激震させ、新作ファンタジー『パコと魔法の絵本』も大ヒットさせたばかりの鬼才・中島哲也。人間の裏側にある感情まで深く見つめる哲学的探求の目に、卓越したポップセンスを掛け合わせて、ゴージャスなエンタテインメントに仕立てる中島マジックを、ここでも遺憾なく発揮した。
そして監督には、今回脚本のみに徹した中島の指名により、彼の一番弟子と目される新鋭・宮野雅之が当たった。これが長編デビュー作となるが、師匠・中島ゆずりの軽快な演出テクニックは申し分なし。そこに彼特有のウェットな叙情味が絶妙なさじ加減で加わり、映画『ララピポ』を独自のカラーに染め上げている。宮野の長編デビュー作ということで、撮影、音楽、編集他の中島組メイン・スタッフも多数参加して、彼をバックアップしている。
個性的なキャストが集結! チャレンジングな役柄で〈初体験〉続出
俳優陣には、彼ら以外考えられないというベストキャスティングをそろえることができた。物語の主軸となるスカウトマン、栗野健治役を演じるのは、その妖艶な存在感で映画・ドラマ・舞台と幅広く活躍する成宮寛貴。軽薄に振舞いつつ、実は波乱万丈の背景を持つ栗野に激しく感情移入したという彼は、自身の新境地を切り開く真に迫った名演を披露した。
もちろん新境地は彼だけではない。“森三中”の村上知子は、ちょいエロなロリータファッションに身を包み、エッチシーンを初体験。さらに『パッチギ! LOVE&PEACE』のヒロイン役で大きな注目を浴びた中村ゆり、人気急上昇中のお笑いコンビ“平成ノブシコブシ”の吉村崇、“大人計画”の名物俳優として知られる皆川猿時、『血と骨』『純喫茶磯辺』など女優として充実した活動を繰り広げている濱田マリというメインキャストが、いずれも難しい役柄に体当たりで挑戦し、映画に確かなリアリティを吹き込んでいる。
ストーリー
「この世界には二種類の人間しかいない。一生地べたに這いつくばって生きる人間と、そこから抜け出し、高く高く昇りつめる人間」
東京。一千万以上もの人々が行き交うこの大都会では、今日も高みを見上げるしかない人間たちが必死に這いつくばって生きていた。
栗野健治(成宮寛貴)は23才の風俗専門のスカウトマン。渋谷のセンター街に立ち、尻の軽そうな女たちを口説き落とすことが日課の生活だ。そして囲った女を自分の部屋に連れ込んでは、お姫様のように機嫌を取り、一晩中セックスの相手をする。それもこれも、今までの恵まれない境遇からのし上がるため。
そんな栗野の生活を、秘かに羨望している男がいた。杉山博(皆川猿時)、32才の売れないフリーライターだ。栗野と同じマンションの階下の部屋に住む彼は、天井に耳を当て、栗野が相手をしている女のあえぎ声を盗み聞きしながらオナニーするのが日課になっていた。一流大学を卒業しながらも、現在ほとんど引きこもりの生活を続けている杉山は、もう何年も生身の女に触れていない。
ところが、ある夜。居酒屋でベロベロに酔っぱらっていた杉山は、ロリータファッションでアニメ声の太った女と知り合う。そのまま女のマンションに直行した二人。杉山はこれまでのブランクを取り戻すかのように何度もセックスする。
その女は、玉木小百合(村上知子)。26才のアニメ声優志望だが、自分の部屋に誘い込んだ男とのセックスを自分で隠し撮りし、それをデブ専の裏DVDとして売りさばくことを生業としていた。当然、杉山が出演しているDVDソフトも渋谷のアダルトショップに並ぶことになる。
同じ頃、デパートに勤務する20才のトモコ(中村ゆり)は、センター街で自分をスカウトしてきた栗野との関係にハマり、彼に言われるがまま風俗店で働くようになっていた。地味だった服装は派手になり、栗野は優しく、しつこく言い寄ってくる客からも守ってくれる。トモコは味わったことのない幸福を感じていた。すっかり栗野に恋しているトモコは、やがて彼の勧めで、AVに出演することになる。
渋谷のカラオケボックスで働く青柳光一(吉村崇)は26才のSFオタク青年。普段は女子高生の客にも注意できないヘタレ店員だが、それは「世を忍ぶ仮の姿」だと思っている。自分の部屋に帰ってきた青柳は、全身タイツのスーパーヒーロー姿に着替え、銀河連邦軍の秘密捜査官“キャプテン・ボニータ”に変身。邪悪に汚染された地球を調査する使命を担っている、との設定のもと、向かいの一戸建てに住む色っぽい若妻のプライベートを覗き見ては、股間を熱く勃起させていた。
庭で犬がうるさく吠えているその一戸建ての近所には、壮絶な臭いを放っているゴミ屋敷があった。そこに住む主婦、佐藤良枝(濱田マリ)は43才。外観も室内もゴミだらけで、神経を病んだ夫とは長い間、まともにコミュニケーションを取っていない。欲求不満が募る中、街でスカウトマンに声を掛けられた彼女は、そのまま熟女系AV女優の仕事を始めていた。もちろんそれは夫も、そして娘のトモコも知らない……。
やがてこの6人の人生に、それぞれ思いがけぬクライマックスが訪れることになる。一見、無関係な彼らのドラマが、東京の空の下で少しずつ交錯する。
ダメダメな彼らの運命は、いったいどこへ向かうのだろうか——。
スタッフ
監督:宮野雅之
原作:奥田英朗「ララピポ」(幻冬舎文庫)
脚本:中島哲也
製作:『ララピポ』製作委員会
企画製作:デスペラード
制作:リクリ
制作協力:ジャンゴフィルム
キャスト
成宮寛貴
村上知子(森三中)
中村ゆり
吉村崇(平成ノブシコブシ)
皆川猿時
濱田マリ
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