原題:In The Valley of Elah

2007年ヴェネチア国際映画祭正式出品 第80回米アカデミー賞 主演男優賞 ノミネート

2007年/アメリカ/カラー/121分/ 配給:ムービーアイ

2009年01月07日よりDVDリリース 2008年6月28日(土)より有楽座ほかTOHO系全国ロードショー

(c) 2006 Elah Finance V.O.F.

公開初日 2008/06/28

配給会社名 0366

解説



米プレイボーイ誌の記事“Death and Dishonor”に書かれた、実際に起こった事件
クリント・イーストウッドによる支援が、映画化を実現させた!

『クラッシュ』の成功に続く作品の素材に事欠くことのない、脚本家・監督のポール・ハギスが選んだ次回作はチャレンジングなものだった。エージェントとの会合でハギスは、「君たちが知っているような作品は作らないよ。それが、僕の望みだからね」と宣言した。その直後、ハギスの手元に、マーク・ボールがプレイボーイ誌に書いた“Death and Dishonor”という記事が送られてきた。それは、イラクから帰還したばかりの若い兵士が失踪直後に焼死体で発見された事件。父親自身が真相を捜索し、3小隊の戦闘員が殺人罪で告発されるという悲惨な記録だった…。この事件が起きた2003年当時のアメリカは、イラク戦争が加熱する一方で、誰もが懸念しがちな題材であったはずだ。しかしポール・ハギスは戦争映画や政治映画のテーマとしてではなく、「正義のためにすべき正しいこととは何か? 自分たちのケアをするには何をすべきか?家族をケアするために人は何をするべきなのか?」という、人々が抱えるテーマとしてこの題材に向き合うことを試みた。だが、映画化は困難を極める。そんな中、脚本家として『ミリオンダラー・ベイビー』、『父親たちの星条旗』、『硫黄島からの手紙』の3作品でコラボレートしたクリント・イーストウッドが作品に理解を示して製作をサポート。映画化が実現に至る。『ミリオンダラー・ベイビー』『クラッシュ』など、人間描写を描くことに定評のあるポール・ハギス監督が、また新しい感動を生み出した。

アカデミー賞受賞歴のある本格派の俳優陣による夢の競演。パワフルな演技が本作品を圧倒する!
ハギスが脚本を完成させるまで、1年半かかった。しかしキャスティングは驚くほど素早かった。まずは町の刑事・エミリー役として、シャーリーズ・セロンへオファーした。南アフリカ出身で幼い頃から戦争の恐怖を身近な問題として捉えてきたシャーリーズは、戦争が普通の生活を送る者たちに及ぼす恐怖を誰よりも分かっていたからこそ、脚本を読んですぐに出演をOKした。本作品でシャーリーズは魅力いっぱいのハリウッド・スターとしての輝きを内に潜め、生きるだけで精一杯の境遇であるエミリー役を熱演した。
そして次にオファーしたのが、主役であるハンス役のトミー・リー・ジョーンズ。アメリカ人の象徴とも言えるハンスに適した人材として、ポール・ハギスは“最も優れたアメリカ人俳優の1人”として絶賛するトミー・リー・ジョーンズ以外には思いつかなかったという。トミー・リーも脚本を読み、戦争・愛国心・正義など様々なテーマが深く描かれている本作品に感銘を受けて即OKを出した。
次にオファーしたのは、ポール・ハギスが1番キャスティングしたいと望んでいたスーザン・サランドンだった。彼女からの出演OKを聞いたとき、ポールは本当に嬉しかったと語る。
こうして『逃亡者』でアカデミー助演男優賞を受賞したトミー・リー・ジョーンズ、『モンスター』でアカデミー主演女優賞を受賞したシャーリーズ・セロン、そして『デッドマン・ウォーキング』でアカデミー主演女優賞を受賞したスーザン・サランドンなど、そうそうたる俳優陣が夢の競演を実現したのだった。

実在の兵士を起用して、リアリティを追及!
物語は小さな町の中で展開するが、ドラマの背景となるのは軍隊であり、キャラクターの多くが軍に属している。軍人の持つ独特な雰囲気をリアルに表現するために、特技兵のゴードン・ボナー、そして伍長のスティーブ・ペニングの2人には、実際に兵士として軍に務めた経験のある若者がキャスティングされた。中でも本作品で俳優デビューを果たす特技兵ゴードン・ボナーを演じるジェイク・マクローリンは、イラク戦争の帰還兵として、この作品で俳優デビューを果たす。
イラクでの事だけが意味を持ち、何がノーマルか? わからなくなっていく若者たち…、イラクや戦争が人のものの見方をどれほど変えてしまうのか……。そんな「魂を失った男」という難しい役どころを、彼らはリアルに演じている。

ストーリー

軍隊から脱走した息子の行方を捜す父親を通して、苛酷な真実が明らかになる

2004年11月1日。突然、ハンク・ディアフィールド(トミー・リー・ジョーンズ)の元に、息子のマイク・ディアフィールド(ジョナサン・タッカー)が軍から姿を消したという不穏なニュースが届けられる。ハンクは引退した元軍人警官で、息子のマイクもその兄も軍人という典型的な軍人一家。そんなディアフィールド家で育った息子に限って無許可離隊などあり得ないと思ったハンクは、妻のジョアン(スーザン・サランドン)を残し、息子を探し出すために帰還したはずのフォート・ラッドへ向かう。
帰国している同じ隊の仲間(ペニング、ロング、オルティエス、ボナー)も皆、マイクの行方を知らなかった。地元警察の女刑事エミリー・サンダース(シャーリーズ・セロン)が彼の捜索を手伝い、消息を探っていた矢先に、息子の焼死体が発見されたという知らせが届く。2人は真相を究明しようと試みるが、息子の殺害現場が軍の管轄内だったために、事件は警察の捜査から手を離れてしまう。
しかし、エミリー刑事の助けでマイクの死体が遺棄された場所へ検証に向かったマイクは、殺害現場は軍の管轄である基地の敷地外だと見抜き、一歩一歩真実を解き明かしていく。しかし、そこには父親の知らない息子の“心の闇”が隠されていた。そしてこの事件の裏に潜む真実は、ハンクがこれまで信じてきた世界の全てを揺がすほどの衝撃的な事実となる。疑うことなく抱き続けた自らの信念を根底から覆される時、人はどう真実と向き合い、どう答えを出すことができるのか…。

スタッフ

監督:ポール・ハギス
製作:ポール・ハギス、パトリック・ワックスバーガー、スティーヴ・サミュエルズ
ダーレーン・カーマニョ・ロケット、ローレンス・ベクシー
製作総指揮:スタン・ヴロドコウスキー、デヴィッド・ギャレット
エリック・フェイグ、ジェームズ・ホルト、エミリオ・ディエス・バロッソ
原案:マーク・ボール、ポール・ハギス
脚本:ポール・ハギス
撮影:ロジャー・ディーキンス
プロダクションデザイン:ローレンス・ベネット
衣装デザイン:リサ・ジェンセン
編集:ジョー・フランシス
音楽:マーク・アイシャム

キャスト

トミー・リー・ジョーンズ
シャーリーズ・セロン
スーザン・サランドン
ジョナサン・タッカー
ジェームズ・フランコ
フランシス・フィッシャー
ジョシュ・ブローリン
ジェイソン・パトリック
ジェイク・マクラフリン
メカッド・ブルックス
ヴィクター・ウルフ
バリー・コービン
ウェイン・デュヴァル
ブレント・ブリスコー
グレッグ・セラーノ
ブレント・セクストン
ウェス・チャサム

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