原題:Ad Lib Night

第20回シンガポール国際映画祭主演女優賞受賞 第26回韓国映画批評家協会賞新人女優賞受賞 第9回ドービル アジア映画祭批評家賞受賞 第57回 ベルリン国際映画祭 正式招待作品 第11回釜山国際映画祭 正式出品作品 第31回香港国際映画祭 正式招待作品 第50回サンフランシスコ国際映画祭 正式招待作品 第54回シドニー国際映画祭 正式招待作品 2007年ロサンゼルス映画祭 正式招待作品

2006年11月30日

2006年/韓国/99分/カラー/ビスタ・サイズ/ドルビーSRD/KBS N製作 配給:パンドラ

2008年2月9日よりアミューズCQNほか全国順次ロードショー

(c)2006KBS N,Ad Lib Night Production.All rights reserved.

公開初日 2008/02/09

配給会社名 0063

解説


「春のワルツ」のハン・ヒョジュ主演
これは、ウソから生まれた優しさの物語

 ソウルの週末の午後?。雑踏で突然2人連れの青年から声をかけられ、10年前から行方不明の女性“ミョンウン”に間違えられた若い女性。彼女が人違いだと否定すると、今度は、ミョンウンの身代わりとなって、その父親の臨終に立ち会ってほしいと懇願されてしまう。なぜか成行きで、見知らぬ女性になり代わって、郊外の町に行く羽目になった彼女。父親の家族や隣人たちをも巻き込んで、先の読めない“アドリブ・ナイト”が始まった。その先には何が待っているのか?? そして、彼女は本当に“ミョンウン”ではないのか??

 若い女性の等身大の日常を繊細なタッチで描いた『チャーミング・ガール』で、釜山国際映画祭、サンダンス国際映画祭など世界中の映画祭で絶賛され、今や“第2のキム・ギドク”の呼び声高い新鋭イ・ユンギ監督の待望の最新作。ベルリン国際映画祭に正式出品され、大絶賛されたのをはじめ、釜山国際映画祭、シンガポール国際映画祭などでも話題を集めた注目作が、いよいよ日本公開される。
 家出したひとり娘に似ているという理由でヒロインが連れていかれたのは、郊外の一軒家。そこでは、末期ガンで昏睡状態の父親の死を目前に、家族、親戚、はたまた隣近所の人までもが大集合。重病人を気遣いつつ、本当は遺産狙いの叔父夫婦、借金を踏み倒したい隣人夫婦など、それぞれの思惑に揺れながら、臨終の時が来るのを気を揉んで待っている真っ最中。そこに突然の珍客来訪で、みんなの気持ちがまた大揺れに揺れる。偽者と聞かされて、怒る人々、それでも会わせるべきだと主張する人々と、みんなが言いたい放題。徹夜を乗り切るために用意されたキムチや焼肉に舌鼓を打ちながら、もの悲しくも滑稽な大騒動が繰り広げられる。そして、そんな人間模様に触れて、アカの他人であるはずのヒロインの気持ちにも変化が生じていく…。朝日とともに迎えるラストシーンでは、ヒロインの正体が明かされると同時に、誰もが本当に大切なものの存在に気づき、爽やかな感動に包まれることだろう。

 原作は、日本の人気作家、平 安寿子の同名短編小説。第79回オール讀物新人賞を受賞した「素晴らしい一日」に収録された一編である。『オールド・ボーイ』『薬指の標本』をはじめ、日本の作家の小説や漫画が海外で映画化されるケースがどんどん増えている中、本作では、ヒロインや彼女が出会った人々の心情が国の違いを超えて違和感なく描かれ、アジア映画のニューエイジを示唆している。

 美しいヒロインを演じるのは、ドラマ「春のワルツ」で日本で人気ブレイクしたハン・ヒョジュ。『マイ・ボス マイ・ヒーロー2 リターンズ』で映画初出演を果たし、本国でも人気上昇中の、今まさに旬の女優。その彼女が、ここでは、若い女性の繊細な心情を等身大の演技で好演し、シンガポール国際映画祭主演女優賞、韓国映画批評家協会賞新人賞に輝いた。また、幼なじみの青年キヨンを演じるのは、『春夏秋冬そして春』『受取人不明』などのキム・ギドク監督作で印象的な演技を見せている実力派キム・ヨンミン。韓国映画界のベテラン個性派キム・ジュンギがミョンウンの叔父役を演じている。
 監督のイ・ユンギは、全篇HDカメラを使用し、わずか10日間で撮影を完了。デビュー作『チャーミング・ガール』と同じようなドキュメンタリー的な手法が随所で効果を上げている。次回作も平 安寿子原作の「素晴らしい一日」の映画化が決定、現在準備中だ。
 はからずも同じ場所で一夜をともにすることになった人たちのドラマを通して、家族の温かさ、優しさ、素朴な人情が伝わってくる本作。きっと、あなたの胸の奥にいつまでもしまっておきたくなることだろう。 

ストーリー

オカシな家族と隣人たちに巻き込まれて始まった
先の読めない“アドリブ・ナイト”…
そして、朝日の中でみつけた、新しい自分??

 土曜日の繁華街の雑踏?。携帯電話を手に、人待ち顔でたたずむひとりの女性に、2人連れの若者が突然、声をかけてきた。「きみ、ミョンウンだろ?」。ミョンウンの幼なじみのキヨンと名乗った男は、相手がミョンウンであることを疑いもせずに、昔の想い出を喋り続けた。しかし、彼女が返した一言は、「人違いです」。一瞬、呆然となる2人。キヨンは信じようとはせず、「わざと違うふりしてる?」とまで言う始末。
そして、ミョンウンが10年も前に家出したまま音信不通なこと、彼女の父親が末期ガンで昏睡状態に陥っていること、今夜がヤマで、死ぬ前に一目会わせてやりたいことなど、必死の気持ちを伝えるのだった。挙げ句の果てに、人違いでも構わない、ミョンウンの身代わりになって父親に会ってほしい、と無謀な申し出をするキヨン。「約束がある」と断る彼女に、キヨンは、「一日一善、人助けだと思って…」と哀願。その気持ちに嘘がないと信じた彼女は、いつの間にか彼らに同情を覚え、一緒にミョンウンの家族が住む郊外の町へと向かうことになる…。父親の前で私はどうすればいいの、と尋ねる彼女に、「ごめんなさい、お父さん」と言ってほしいと言われ、セリフまで練習する羽目に。人違いと言いながら、なぜか彼女はこの妙な願いを聞き入れる…。

 目的の町に着いたのは、夜も深まった頃。危篤の父キョングクを気遣って、父親の家族や隣近所の人々が大勢集まり、飲み食いをしながら、口々に言いたいことを喋りあっていた。そこに突然現れた“ミョンウン”の存在に、彼らは大きく揺れた。偽者と分かっても、大騒ぎは収まらない。兄の遺産を狙うミョンウンの叔父、キョングクからの借金帳消しを企む隣人のオヤジが、それぞれの思惑を秘めながら、彼女をキョングクに会わせるべきか否かで侃々諤々。結局、多数決をとることとなるが…。そんな大騒ぎの中で、隣人のおばさんだけは、なぜか、彼女が本当のミョンウンだと信じて疑わず、ごはんを食べなさいと、ご馳走を彼女に振舞うのだった…。

 “アドリブ”で進んでいく、一晩の出来事。果たして、この先に何が起こるのか、彼女は本当に“ミョンウン”ではないのか? そして、彼女の心に秘められた想いとは??

スタッフ

監督・脚本:イ・ユンギ
原作:平 安寿子著
   「アドリブ・ナイト」(文春文庫「素晴らしい一日」所収)
撮影:チェ・サンホ
音楽:キム・ジョンボム

字幕翻訳:李 相美
提供:アミューズ/ポニーキャニオン
宣伝:スキップ/プランニングOM〈オム〉
配給:パンドラ

キャスト

ハン・ヒョジュ
キム・ヨンミン
チェ・イルファ
キム・ジュンギ
イ・ヒョンジョン
シン・ヨンジン
イ・スンヨン
ユン・ヒソク
チン・ヨンウク
ヨ・ミング
イ・チャンウク
チョン・ジョンア
クォン・ダヒョン
イ・ドンユン

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