原題:Still Walking

第13回釜山国際映画祭出品作品

2008年/日本/カラー/??分/ 配給:シネカノン

2009年01月23日よりDVDリリース 2008年6月28日、シネカノン有楽町、渋谷シネアミューズ、新宿武蔵野館にてロードショー

(c)2008『歩いても 歩いても』製作委員会

公開初日 2008/06/28

配給会社名 0034

解説


是枝裕和監督が、カンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞した『誰も知らない』以来3年ぶりに、現代劇を手がけた。

主人公、横山良多を演じるのは阿部寛。シリアスからコメディまで多様な役をこなす実力派として映画、舞台、ドラマ、CMと活躍し続ける阿部だが、良多という役どころは優秀だった長男と常に比較されて育ち、次男であるのに何かと不器用な男だ。阿部は身近にもいるではないかと思わせる、等身大のリアリティをもって演じてみせる。

そしてもうひとり、阿部寛と同じく是枝監督と初顔合わせとなる樹木希林。本作で演じる横山とし子は、夫や子供に長年尽くしてきた、ごく普通の専業主婦だ。夫との長きに渡る人生の営みとその起伏、子を事故で失うという喪失・・、穏やかな暮らしに秘められた静かな「女の一生」を、二日間の出来事の中に凝縮させてみせる。

他のキャストの顔ぶれは夏川結衣、原田芳雄、YOU、寺島進ら是枝組おなじみの実力派俳優陣。そして撮影の山崎裕をはじめ、是枝監督と何作も共にしてきたスタッフが今作でも集結している。
脚本は、再び是枝監督によるオリジナル。脚本に刺激を受けた役者たちからもさまざまな意見が交わされたと聞くと、尚本作への期待は高まるばかりだ。

物語は、大事な家族を失った者たちが再会する夏の二日間を綴る。
そのなかで父は世代的な了見の狭さをもち、母は涼しい顔をして毒を吐く。不器用な良多はそこにいるだけで精一杯で気づいた時にはいつも出遅れている。劇中に流れる70年代のヒット歌謡曲「ブルーライト横浜」の歌詞にあるように、<歩いても 歩いても>いつもちょっと間に合わない存在だ。彼らの中ではもっとも器用な長女がぶつかりあう者たちの間をとりもつが、自分の思惑はまた別にある。
それぞれの夫婦の掛け合い、母娘の掛け合い、父と息子の掛け合い、食卓を囲む風景には単純に笑わずにはいられない。どこかで必ず身近にいる者が思い出されてしまうのだ。家族の佇まい、それぞれの人物像が是枝監督ならではの演出力で磨ぎ込まれ、ひとつひとつの台詞がある時は笑を誘い、ある時は胸に突き刺さり、忘れ難い物となる。その細部に至るまでがリアリティに満ち、やがて浮かび上がる、人生が続いていくことに対するささやかな喜びとその裏腹にあるおだやかな哀しみには、きっと心打たれるに違いない。

ストーリー


ある夏の日、かつて開業医を営んでいた横山恭平とその妻とし子の家に、長女ちなみの一家、次男良多の一家がやってくる。
良多の仕事は絵画の修復士、だが今は失業中の身の上だ。さらに良多は結婚したばかりなのだが、その妻のゆかりはなくなった前夫の子供あつしを連れての再婚である。姉のちなみは自動車の営業マンである夫をもつ専業主婦で、ふたりの子供に恵まれた暮らしを送っている。
老いた両親を訪ねる子供たちとその家族・・・一見ありふれた夏休みの風景のように思えたが、やがて皆が集まった理由は事故で亡くなった横山家の長男順平の命日のためだということがわかる。
久しぶりに再会した家族の夏の日、それはいつものように過ぎるはずだったが・・。

スタッフ

監督・脚本・編集:是枝裕和
撮影:山崎裕
美術:磯見俊裕、三ツ松けいこ
照明:尾下栄治
録音:弦巻裕、大竹修二
衣装:黒澤和子
助監督:兼重淳
製作担当:三辺敬一
音楽:ゴンチチ
広告美術:葛西薫
スチール:新津保建秀

キャスト

阿部寛
樹木希林
原田芳雄
夏川結衣
YOU
寺島進
高橋和也
田中祥平

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