世界で一番美しい夜
2008年/日本/カラー/160分/ 配給:ファントム・フィルム
2008年5月24日(土)、渋谷シネ・アミューズほかロードショー
公開初日 2008/05/24
配給会社名 0442
解説
「どうして人間は不幸になってしまうのだろう。
男はそのことを考え続け、ついにある結論に達しました…。」
その日、この村には“世界で一番美しい夜”が舞い降り、“未来”が始まる…。
このお話は、14才の少女・ミドリが、 “出生率が日本一”である自分の住む村の秘密を語り始めるところから始まります。今から14年前、罠にはめられて左遷されたひとりの新聞記者が、この辺境の村を訪れました。バスから降り立った男の名前は、水野一八。“新聞記者の墓場”とも“監獄”とも呼ばれるこの支局にいる同僚は、みんなワケあり。村で出会う人々も変人ばかり…。欲求不満の村長。ロリコンで古代文明オタクの校長。旧弊的でサディスティックな宮司。年齢800才と噂される老婆。フォークを絶唱する漁師。あまりにも頭が良すぎて白痴あつかいされている少女。船に住んで過激派と噂される謎の男、仁瓶。そして、美しいスナック「天女」のママ輝子。その輝子には、保険金殺人の疑いがかけらていました。彼女の夫になった二人の男が、どちらも不可解な死を遂げていたのです。調査を開始する一八。しかし、輝子は、人を癒す不思議な能力を持っていたのです。裏切りによる屈辱と絶望で“蛇”になってしまう一八。輝子と仁瓶を村から追い出そうとする騒動は、意外な結末を迎えます。“世界で一番美しい夜”が、村を包んだのです。どうして人間は不幸になってしまうのでしょう? すべてがいいことばかりではない“進歩”という人間の歩み止める“世界で一番美しい夜”。その“夜”は、やがて東京、そして世界のすべてに舞い降りることでしょう…。
それが、どう“出生率が日本一”の村の秘密とつながるのかって?
それは、映画を見てのお楽しみ。
「未来を作るのは思想でも政治でもない。セックスだよ。
あんた、最後に素敵なセックスをしたのはいつだ?」
鬼才・天願大介監督の最新作は、
誰も死なないテロをめぐる美しい寓話(ファンタジー)として完成した。
田口トモロヲ、また“蛇”になる!?
『世界で一番美しい夜』の主演は、天願監督が脚本を担当した今村昌平監督『11‘9”01/セプテンバー11 日本篇“おとなしい日本人”』(02)に主演、『うなぎ』(97)をはじめ、天願監督の作品 『AIKI』(02)などにも出演している田口トモロヲ。同僚の罠にはまり、僻村に左遷される新聞記者・水野一八を演じています。『おとなしい日本人』では、終戦間近に中国戦線から負傷して帰還し、戦場に戻るくらいなら蛇の方が幸福だ、と“蛇”になってしまう男・勇吉を演じた田口トモロヲ。『世界で一番美しい夜』を構想した天願監督は、まず勇吉と同じように“蛇になる男”のイメージから出発し、田口トモロヲに出演を依頼しました。田口トモロヲ、また“蛇”になる!? 一八は、この村で起きたすべてを目撃し、そして友人の裏切りに絶望して“蛇”となります。しかし、その“蛇”が、“世界で一番美しい夜”を作り出すことになるのです。
“神と結婚した女”美しいヒロイン輝子を体当たりで演じた月船さらら。
そして、『AIKI』で報知映画賞助演男優賞を受賞した石橋凌が、天願監督の信頼に応え熱演!?
不思議な能力を持つヒロイン輝子を演じるのは、元宝塚月組、映画初出演となる月船さらら。“神と結婚した女”である輝子の陰影と、「俺は愛する女と、猛烈に、こう、こう、こう、とろけるようなセックスをしたいと心の底から思ってるんだ」と叫ぶ仁瓶に応えてゆく悦びを体当たりで演じている。また、縄文人の媚薬を使った“誰も死なないテロ”を計画する謎の男・仁瓶を演じたのは、石橋凌。天願監督との初顔合わせとなった『AIKI』では、報知映画賞助演男優賞を受賞。天願監督の信頼に応え、船に住み、縄文人の飛躍を探し求め、荒唐無稽なテロ計画を実行にうつそうとする仁瓶を、まさに熱演している。
天願ワールドに惚れた!!
佐野史郎、松岡俊介、美知枝、江口のりこ、三上寛、柄本明…名優、怪優たちが集結。
寺山修司監督作品『田園に死す』(74)、大島渚監督作品『戦場のメリークリスマス』(83)、田口トモロヲ監督作品『アンデン&ティティ』など数々の映画に出演、フォークシンガーとして俳優として多くのアーティストのリスペクトを集る天願作品常連の三上寛の出演が、天願監督の熱いオファーで再び実現。伝説の漁師・権三を演じ、船の上で激唱、そして主題歌までも熱唱。頭がよすぎて白痴あつかいされる権三の娘〆子に、『インプリント〜ぼっけえ、きょうてえ〜』で拷問をうける悲劇の女郎を演じた美知枝を起用。さらに、佐野史郎、松岡俊介、江口のりこ、山崎一、小林麻子、桃生亜希子、菅田俊、大河内浩、神戸浩、若松武史といった映画、演劇界から天願作品でなければ実現しない名優、怪優が集結した。天願監督がPFFで受賞した16mm作品『妹と油揚』で妖怪イヅナを演じた鴇巣直樹が、“醜い男”として出演するほか、『カンゾー先生』で今村作品の主演を務めた柄本明が、少女ミドリから村の秘密を明かされるキャスター役で出演している。
ストーリー
とある日本の西の外れにある小さな村“要村”が大いに賑わっていた。なぜなら、要村は日本一出生率が高い村として日本政府から認定され、内閣総理大臣から表彰を受けることになったからだ。
何故この村は出生率日本一になったのか?」
話は14年前に遡る—。
ある日、東京からこの要村に左遷されてきた一人の新聞記者がいた。その男の名前は“水野一八(田口トモロヲ)”。一八は通称“監獄”と呼ばれる古くて小さなモルタルで建てられた「稲穂新聞要村支局」へ配属された。そこにはアル中の支局長遠藤(佐野史朗)と支局員石塚(松岡俊介)の2人だけで、事件らしいことなど何一つ起こりそうも無いのどかな小さな支局だった。
その夜、遠藤と石塚が歓迎会を開いてくれることになり、一八は港近くにあるスナックへと連れて行かれた。店の名前は「天女」。小さな村には似つかわしくない美人ママの“輝子(月船さらら)”がいる店だった。輝子は不思議なオーラと、優しそうでどこか悲しげな魅力を持つ女性だった。
しかし、村中には輝子の悪い噂が流れていた。この村の古い神社、海神神社の宮司である平野(若松武史)は、要川に船を浮かべて生活している二瓶(石橋凌)と輝子の二人こそが、この村の危険人物だと考えていた。二瓶は過去に思想犯として服役した前科もあり過激派のテロリストだとも噂されていた。一方、輝子も自分の夫と婚約者を殺したという噂と、カルト宗教と関わりがあり、何かを企んでいると目を付けられていた。
新聞記者である一八は真相を解明するべく、早速調査を開始した。輝子の前職が精神科医であったこと、前夫と婚約者が同じ“心臓麻痺”で亡くなっておりその死因に不審な点が多く、輝子の保険金目当ての殺人ではないかと囁かれていることがわかった。この一件を本社に凱旋復帰するためのスクープにできると考えた一八は、輝子に真相を聞きだそうとする。その時、一八は輝子のもう一つの顔を見た。偶然店に居合わせた遠藤の秘密を何者かに取憑かれたように語り始める輝子。彼女は人間の深層心理の中に入り込むことが出来る特殊な能力の持ち主、現代に生きるシャーマンだった。
輝子は全ての真実を語り始めた。前夫と婚約者が突然“心臓麻痺”で亡くなった本当の訳は、彼女がいわゆる“名器”の持ち主、つまり究極的に“具合の良すぎる女”だったためであった。自分のせいで愛する人を相次いで失ったと後悔した輝子は自ら“性欲”を封印するべく、繋ぎ目の無い金属製の貞操帯を装着した。すると不思議な能力に目覚めたのだという。
二瓶はそんな輝子に想いを寄せていた。昔は武力での革命を信じたこともあったが、今は“セックス”こそが現代人を救うと考え、そのために縄文人が使用したとされる究極の精力剤“縄文パワー”の復活を研究していた。そんな二瓶を理解するのもまた輝子だけであった。そして二瓶は遺跡の中から縄文人の精力の“源“を発見することに成功していたのだ。
意を決した輝子は貞操帯を外し、絶倫パワーを得た二瓶と果てることなく愛しあった…そして二瓶の発見した“縄文パワー”は、この要村にもやがて大きな恵をもたらす事になる。
それは誰一人争うことの無い世界で一番美しい夜が訪れることだった…。
スタッフ
原作・脚本・監督:天願 大介
撮影:古谷巧
照明:高坂俊秀
美術:稲垣尚夫
録音:石貝洋
編集:阿部亙英
音楽:めいなCo.
絵師&題字:スズキ コージ
キャスト
田口トモロヲ
月船さらら
市川春樹
松岡俊介
美知枝
斉藤歩
江口のりこ
佐野史郎
柄本明
角替
和枝
三上寛
石橋凌
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