2008/日本映画/カラー/アメリカンビスタ/ドルビーデジタル/145分 配給:東映×ギャガ・コミュニケーションズ Powered by ヒューマックスシネマ

2010年10月27日よりDVDリリース 2009年01月01日よりDVDリリース 2008年7月5日(土)より、丸の内TOEI ① ほか全国にてロードショー

(C) 「クライマーズ・ハイ」フィルム・パートナーズ

公開初日 2008/07/05

配給会社名 0004/0025

解説




<ベストセラー作家 横山秀夫(「半落ち」)の最高峰、待望の映画化!>

23年の時を経て、あの夏、命を追った記者たちの壮絶なる一週間が幕を開ける。 「クライマーズ・ハイ」は、85年夏、地元群馬の地方紙の社会部記者として日航機墜落事故に遭遇、取材に携わった作家・横山秀夫(「半落ち」、「出口のない海」)が、自らの体験をもとに、2003年8月、渾身の力で世に放った衝撃作である。2003年週刊文春傑作ミステリーベストテン第1位、2004年本屋大賞2位などの圧倒的な支持を受けて重版を重ね、今なおベストセラーに君臨している本作が、熱烈なファンの声に応え遂にスクリーンに登場する! 群馬県、北関東新聞社。一瞬で520もの命を奪った、史上最大にして最悪の航空機事故の全権デスクに任命されたのは、組織から一線を画した遊軍記者・悠木和雅(堤真一)だった。 「<新聞>は命の重さを問えるのか—?」 大きな命題を前に立ち尽くす悠木は更なる壁にぶち当たる。 混乱する現場で、妬みや苛立ちに激昂する社内、加熱する全国紙対地元紙の報道合戦、壊れてゆく家族や友人との絆・・・。異常な熱気に包まれる中、必死にもがき信念を貫き通そうとする悠木は、あるスクープをめぐって極限の決断を迫られる。 未曾有の大事故を横糸に浮き彫りとなる生々しい人間関係。報道人としての使命感に自らを奮い立たせる悠木と、各々の正義を貫こうとする者の姿は「新聞社」という枠を超えて全ての働く人たち、或いは働いてきた人たちに問いかける—仕事とは?家庭とは?そして、生きる意味とは? これは、あの暑かった夏をひときわ熱く駆け抜けた新聞記者たちの濃密な日々の記録である。 四方八方からのプレッシャーに押しつぶされそうになりながらも確固たる信念で全権デスクの任務を遂行する主人公・悠木和雅を演じるのは、冷静沈着な役から温かみのある役まで幅広い演技力で、映画はもちろん、テレビドラマに舞台にと活躍中の堤真一。そして悠木に憧れつつも反発する県警キャップの佐山達哉を堺雅人が、男社会の中で奮闘する新人女性記者・玉置千鶴子を尾野真千子が演じ、記者魂をかけた熱いスクープ合戦を繰り広げる。また鬱屈とした悠木を谷川岳衝立岩登攀に誘い出す販売部の同僚で親友・安西耿一郎を?嶋政宏が、車椅子に乗ったワンマン社長を山?努が印象深く演じ、くせのある新聞社の人間模様に厚みを持たせる。 メガホンをとるのは、社会派エンタテインメントから娯楽超大作まで傑作を生み出し続ける原田眞人監督。本作では、自身も最高記録となる2541カットを重ね、登場人物たちの緊張や感情の機微をスリリングに、そして情感たっぷりに、緩急をつけて立体的に描き出している。 あの夏、日本人は何を感じたのか?そして23年を経た今、わたしたちの胸には何が去来するのか? 悠木たちと共に、臨場感あふれる取材現場を共有し、<クライマーズ・ハイ>を体感せよ!

ストーリー




「クライマーズ・ハイってもんは、本当にあるの?」
「・・・・・・怖かったな」
「怖い? 異常に興奮して、恐怖心が麻痺しちゃうんだろ?」
「解けた時が怖いんです。溜め込んだ恐怖心が一気に噴き出して、一歩も動けなくなる。体中の筋肉が強張っ て、動くという意思決定を拒絶するんです」
「だったら・・・・・・おれも体験した」
「いつ?」
「ジャンボが墜ちた一週間さ・・・・・・」

1985年8月12日、通信社の速報が第一報を伝える。
「羽田発大阪行き日航123便が墜落した模様。乗客乗員524名ー。」
にわかに興奮の坩堝と化す編集局。全権デスクを命じられたのは悠木だった−。

1985年8月12日——。終戦記念日を3日後に控え、日本国中が中曽根首相の靖国公式参拝の動向を固唾を飲んで見守るなか、群馬県の有力紙・北関東新聞の記者、悠木和雅はひとり、翌朝に迫った谷川岳・衝立岩登頂のための準備を進めていた。 悠木は、抜いた抜かれたの同僚たちとの出世争いから一線を画したところに立つ、一匹狼の遊軍記者なのだった。 「悠ちゃんみたいなのが、結構やっちゃうんだよ。普段冷静沈着な奴に限ってね、脇目もふらず、もうガンガン登っちゃって、興奮状態は極限まで達しちゃって恐怖感とか麻痺しちゃうのよ」 今回は、販売局の同僚で無二の親友、安西耿一郎が、そうからかいながら悠木を誘い出したのだった。その夜、新前橋駅で安西と落ち合うべくデスクを後にした悠木のそばへ、県警キャップ・佐山達哉がすり寄って来て耳打ちをした。 「悠さん・・・・・・ジャンボが消えたそうです」 「・・・・・・ジャンボが消えた?」 状況が分からないまま悠木が編集局を出て行こうとしたその時、通信社のニュース速報が社内に響き渡った。

「東京発大阪行き日航123便が横田基地の北西数十キロの地点でレーダーから姿を消しました。長野・群馬の県境に墜落した模様。繰り返します」 「日航123便の乗員・乗客は524人。繰り返します。日航123便の乗員・乗客は524人」 単独の航空機事故としては世界最大。しかも現場は群馬と長野の県境。北関編集局はにわかに興奮の坩堝と化した。

そして、この未曾有の事故の全権デスクを命じられたのは、本来遊軍であるはずの悠木——ワンマン社長、白河頼三の鶴の一声による決定であった。 全権デスク、悠木の戦いの日々が幕を開けた。頭と心を麻痺させなければ直視できないほどの事故の凄惨さ。疲労と高揚で弛緩と緊張を繰り返す神経。非常事態にあちこち軋む人間模様。声が、現在の、末来の声が、四方八方から悠木の脳裏に響きわたる。

“おれも現場へ行かせてください!すぐそこで世界最大の航空機事故が起きているんですよ!”  
“十三年間、大久保連赤で飯を食って来た連中は祈ってるさ。長野であってくれって”
“北関を辞めようと思ったことないんですか?”
“広告収入がなけりゃ、幾ら天下国家を語ったところで新聞は一日たりとも出せねえんだよ!”
“何故落としたんです・・・・・・”
“あなたが好きなのは、新聞だけなんでしょ!”
“お父さんは新聞だけが好きなんだ、だってそうじゃないか!”
“チェック、ダブルチェック・・・・・・”

そんな激務の最中、悠木は、ひとり衝立岩に挑んだと思っていた安西が、待ち合わせ場所の新前橋駅でクモ膜下出血に倒れて意識不明の重体であることを知らされる。 「お前さ、何で山に登るんだ」 「下りるために登るんさ」 最後に安西と交わした言葉が、悠木の脳裏によみがえる。睡眠時間を削って見舞った病室には、全てを受け入れ弱々しく微笑む安西の妻と、今は離れて暮らす自分の息子と同い年の安西の息子・燐太郎の気丈な姿があった。 自分は何に登り、何から下りるのか?何に挑み、何を拒めばよいのだろう? 一瞬にして奪い去られた520の命。記事にさえならないひとつの命。失われてゆく親友の命。モラルとは? 真実とは? 新聞は命の重さを問えるのか?極限の精神状態のなか、全権デスク・悠木はあるスクープをめぐる二者択一の究極の判断を迫られることになる。

スタッフ

監督:原田眞人
原作:横山秀夫 『クライマーズ・ハイ』(文春文庫刊) 
脚本:加藤正人/成島出/原田眞人
製作:若杉正明
プロデューサー:久保理茎

キャスト

堤真一
堺雅人
尾野真千子
高嶋政宏
山崎努 

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