エアギター エピソード ゼロ
原題:Air Guitar Nation
エアギタリストたちの激闘を捉えた熱き魂のドキュメンタリー
2006年/アメリカ/カラー/82分/ 配給:ミラクルヴォイス=東京テアトル
2008年03月12日よりDVDリリース 2007年10月6日より新宿テアトルタイムズスクエアにてレイトロードショー
(C)Air Guitar Nation, LLC
公開初日 2007/10/06
配給会社名 0372/0049
解説
海の向こうには想像を絶する世界が存在していた!
お茶の間のイメージを打ち砕くこれが本場のエアギター!
本作は、世界中から出場者がエントリーするエアギター世界大会のドキュメンタリー映画だ。主人公のエアギタリスト、C・ディディとビヨルン・トゥロックの2人が、2003年に設立されたばかりのアメリカ大会を勝ち抜き、熾烈を極める世界大会に挑む姿を描いたもの。人の数だけ存在するエアギターの様々なパフォーマンスをまとまった形で観られる、という意味でこのフィルムは貴重なものだが、本作はそれだけでなく、アメリカにエアギターを持ち帰った「アダムとイヴ」=クリストン・ラッカーとセドリック・デヴィッドをも押さえることにより、ドキュメンタリー作品としての側面、またはエアギターの草の根的伝播性をうまく伝えている。
なぜかキティちゃんを胸にかかげ赤い着物を着たエアサムライ、C・ディディ(デヴィッド・ジュング)。それを追うのはニューヨークのローワー・イースト・サイド出身の宿敵ビヨルン・トゥロック(ダン・クレイン)。自称“アジア魂”を燃えたぎらせ対戦相手を威嚇するC・ディディに対して、ビヨルンはディディを蹴落とすと断言する。ステージでは派手に啖呵を切りながらも、幕裏から相手のプレイを見つめる彼らの視線は真剣そのものだ。
アメリカ地区予選もクライマックスをむかえる中、会場の盛り上がりは異様さを見せ始める。本物のロックスターさながらの細身からスタイリッシュなエアを繰り出すビヨルンに対し、世界中を敵に回したブッシュのようにブーイングを受けるC・ディディ。オーディエンスはその狂乱状態から冷静な判断をくだすことは出来るのか。果たしてアメリカ初のエアギター・チャンピオンは誰の手に。そして物語は世界大会へと怒濤のごとくなだれ込む……。
閑話休題、物語はもちろん緊迫し続けるわけではない。エアギターシーンは観る側もパーティだ。モーターヘッド「エイス・オブ・スペイド」、デヴィッド・リー・ロス「ヤンキー・ローズ」など、エアギタークラシックスのメガミックス状態にくわえ、アメリカ大会の審査員にはレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロや元ヴェルーカ・ソルトのニーナ・ゴードン、さらにクイーンのギタリストのブライアン・メイがコメンテイターとして登場するなど、ロックムービーとしての側面も十二分に満足させてくれるだろう。その証拠に、話が少々脱線するが、2007年我が日本におけるエアギター予選のファイナルは、日本最大のロックフェス「サマー・ソニック」にて開催されるのだ。
本作は、予選〜世界大会そして世界チャンピオンの誕生を描く、という意味で、エアギターを勝負の世界の競技として扱っている。しかし同時に、エアギターの本質はそこにすらないことをも教えてくれている。彼らが求めてやまない「エアネス」とは何なのか。通して観ていくと、「Make air, not war」という精神にいたるある種の哲学的命題が、本作の主旋律であるチャンピオンシップという単なる戦いと併走しながら、現れては消え、消えては現れる瞬間に立ち会えるはずだ。そしてそれこそがエアギタリストたちの目指すものなのかもしれない。いまやオリンピックが失ってしまった何か、が、そこにはあるはずだ。
ストーリー
スタッフ
監督:アレクサンドラ・リプシッツ
製作:ダン・カットフォース、ジェーン・リプシッツ
アンナ・バーバー
製作総指揮:セドリック・デヴィット、クリストン・ラッカー
編集:コナー・オニール
キャスト
デヴィッド・ジュング
ダン・クレイン
トム・モレロ
ブライアン・メイ
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