「日本一泣ける漫画」ついに映画化!

2007年/日本/1時間55分/ドルビーデジタル/ヴィスタサイズ  配給:松竹

2008年03月14日よりDVDリリース 2007年10月27日、渋谷シネクイント、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー

(c)2007「自虐の詩」フィルムパートナーズ

公開初日 2007/10/27

配給会社名 0003

解説


堤幸彦×中谷美紀といえば、「ケイゾク」(99年テレビドラマ放送、00年劇場版公開)。堤幸彦×阿部寛といえば「トリック」(00年テレビドラマ放送、02年、06年劇場版公開)。乗りに乗った三人の、最強のコラボレーションで作られた映画、『自虐の詩』が遂に完成を迎えた。

原作は、「週刊宝石」で連載(85年〜90年)された業田良家の漫画である。この作品は4コマ漫画でありながら、哲学的な深い人生観を描き出した作品として「日本一泣ける4コマ漫画」と大絶賛された伝説の作品だ。

健気な妻・幸江と無口な夫・イサオとの一風変わった愛や生活の様子を面白おかしく描き、必殺のオチはイサオのちゃぶ台返し…というお決まりのパターンを重ねていきながら、やがて物語は大河小説の態をなし、一発逆転大ホームランを放つ。

本作は、大阪・通天閣を見上げる下町が舞台。『嫌われ松子の一生』で数々の映画賞を独占した中谷美紀が、くすんだ服、ノーメイク、鼻の脇には黒子のある幸江を生き生きと演じ、松子とはまた趣きを異にした全く新しいヒロインを作り出した。イサオを演じるのは『トリック』、『大帝の剣』などで、弁の立つラテン系伊達男を演じてきた阿部寛。無口で乱暴者、パンチパーマのイサオという、これまた全く違った役柄に挑戦している。そして、幸江とイサオを取り巻く人々のバカバカしいまでにバイタリティに溢れた人間たち。隣人の面倒見のいいおばちゃん・小春にカルーセル麻紀、幸江に一方的に思いを寄せる食堂・あさひ屋のマスターに遠藤憲一、愛人と新婚旅行に行くために銀行強盗を働いてしまう幸江の父・家康には西田敏行が配された。彼らのあたふたとした姿は、笑いと同時に愛おしさすら感じさせる。更に竜雷太や名取裕子、松尾スズキ、蛭子能収などの実力派、異能派俳優が色をそえ、地べたに生きる人間たちを個性一杯に映し出している。そして特筆すべきシーン、少女時代の幸江と熊本さんの友情は、宮城県・気仙沼で丹念に描かれた。

本作『自虐の詩』は、一見、ギャグ、CG満載のぶっとんだバラエティのように見えるが、実のところ生活の中のリアルな笑いを描いてきた堤幸彦監督の真骨頂である。濃い面子によるリズミカルな大阪下町貧乏コントに笑い転げていると、いつしか、幸江とイサオの愛の姿に号泣させられてしまうのが、この映画の奥深さ。イサオのちゃぶ台返しにも似た、監督・堤幸彦の高度な技が見事に決まるのだ。
笑いの中に人間を描くこと——堤幸彦監督がこれまでやってきたことが、「自虐の詩」という原作と出会い、昇華したといっても過言ではない。これは堤版「平成・夫婦善哉」である。

ラストに流れる安藤裕子の主題歌「海原の月」の心地よい曲が物語に一層の深みをもたらし、笑いあり、涙ありの怒涛のエンターテイメントがここに誕生した。

ストーリー




大阪・通天閣のふもと。
ひなびたアパート「パンション飛田」では、今日もいつもの音が響く。
イサオがちゃぶ台をひっくり返す音だ。幸江が作った食事が四方八方に散らばる。
イサオは無口な乱暴者で酒飲み、その上ギャンブルに明け暮れている。

幸江の不運と貧乏は、実は今に始まったことではない。宮城県、気仙沼で生まれた幸江は、物心つく前に母が家出し、男手一つで幸江を育てた父・家康は、飲んだくれで借金まみれだった。生活は中学生の幸江の新聞配達や内職にかかっていた。
「幸せになれますように」神社でお参りするのが日課の幸江に、ある日事件が起こる。家康が愛人と新婚旅行に行くために銀行強盗をして捕まってしまったのだ。パンツ一丁で連行される父の姿にボーゼンとする幸江。

さて、今日も今日とて、イサオのちゃぶ台返しは続く。折角作ったトンカツも、無理して大枚をはたいて買った寿司も全てひっくり返された。しかし、見かねた隣に住む後家のおばちゃん・小春に別離を薦められようとも、「あんな奴と別れて、俺と一緒になろう」と、幸江が働く食堂・あさひ屋のマスターにしつこくプロポーズされようとも、幸江はイサオと一緒にいられるだけで幸せだった。
そんな時、ムショ帰りの家康が幸江の前に現われる。ソープランドであさひ屋のマスターと「ユキエ」という名のソープ嬢を取り合った縁で、あさひ屋の二階に居候する家康。ここぞとばかりに、父親に取り入ろうとするマスター。それでも何があろうと、幸江はイサオに尽くし続けた。

ある日、イサオは働きに出ることを決意する。心づくしの愛妻弁当を持って工事現場に向かったイサオだったが、昔のヤクザ仲間に絡まれ、暴力沙汰を起こしてしまう。これを機に、かつて世話になった組長から戻ってこないかと誘われ、イサオの心は揺れる。

再び、イサオのパチンコに明け暮れる日々が始まった。イサオが大フィーバーを出した同日、幸江は医者からおめでた3ヶ月であることを告げられる。喜んでイサオに報告する幸江だったが、それを聞いたイサオは黙って幸江の元から去っていった。
「何かを得ると、必ず何か失うものがある」

数日後、身重の体で働き続ける幸江は、歩道橋から滑り落ちる。
生死の間を彷徨う幸江の頭の中では、過ぎ去った出来事が走馬灯のように駆け巡っていた。

幸せじゃなかった少女時代。独りぼっちの幸江をただ一人支えてくれたのは、同級生の熊本さんだった。彼女も幸江と同じように靴下は破け、教材費も払えず、学校の備品をこっそり持ち帰るような貧乏育ち。いじめられても堂々としている熊本さんといつしか親友となり、二人は誓いを立てる。
「近くにいても、遠くにいても、あなたのことは忘れない。嬉しい時も、悲しい時も、あなたと友達でいる。ずっと友達でいる!…」

そして、中学卒業と同時に上京した幸江。その後は絵に描いたような転落人生が待っていた。夢も希望もなくなった幸江の前に現われたのが、ヤクザのイサオだった。子供の頃から自分を蔑み、愛を求めていた彼女を初めて心から愛してくれた男、それがイサオだったのだ。
そして目を開けた時、そこに見たものは…。

スタッフ

製作総指揮:迫本淳一  
企画:細野義朗
原作:業田良家(竹書房刊) 
脚本:関えり香 里中静流
プロデューサー:植田博樹 石田雄治 中沢晋
主題歌:「海原の月」安藤裕子
撮影:唐沢悟
美術:相馬直樹 
照明:木村匡博 
録音:鴇田満男  
編集:伊藤伸行 
音楽:澤野弘之
製作:松本輝起
   遠谷信幸
   高橋一平
   久松猛朗
   島本雄二
   渡邊純一
   平林彰
   長坂信人
   山崎浩一
   喜多埜裕明
   大下勝朗  
エグゼクティブ・プロデューサー:北川淳一
アソシエイト・プロデューサー:今川朋美 
装飾:田中宏 
映像調整:吉岡辰沖 
スクリプター:奥平綾子 
助監督:白石達也 
製作担当:山崎朝之
スタイリスト:市井まゆ 
衣裳:冨樫理英 
ヘアメイク:細川昌子 
音楽プロデュース:志田博英
音響効果:小川広美 
VFXスーパーバイザー:野崎宏二 
アクションコーディネーター:諸鍛冶裕太
宣伝ライター:木俣冬 
制作プロダクション:オフィスクレッシェンド

監督:堤 幸彦

キャスト

中谷美紀
阿部寛
遠藤憲一
カルーセル麻紀

ミスターちん
金児憲史
蛭子能収
島田洋八
松尾スズキ
岡珠希 
丸岡知恵 
Mr.オクレ
佐田真由美
アジャ・コング
斉木しげる
竜雷太
名取裕子
西田敏行

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