あの包帯がなければ、ただの10代だったと思う。

2007年/日本/カラー/118分/ 配給:東映

2008年02月15日よりDVDリリース 2007年9月15日(土)全国ロードショー

(C)2007『包帯クラブ』製作委員会

公開初日 2007/09/15

配給会社名 0004

解説


関東近県の町。そこで暮らすフツーの高校生たち。悲しい出来事だらけじゃない。ひどい出来事だらけじゃない。けど、毎日ちょっとずつ傷ついている。それがオトナになること、かもしれないけれど……。ある日ふと、包帯を巻いてくれた人がいた。傷付いた出来事が起きた場所に。そうしたら気持ちが、なぜか、スゥーッと楽になった。包帯って、心にも効くの!?それが「包帯クラブ」の始まりだった・・・

 原作は、『家族狩り』で山本周五郎賞、ベストセラー小説『永遠の仔』では日本推理作家協会賞を受賞し、メッセージ性の高い話題の小説を次々に世に送り出している天童荒太による、6年ぶりに書き下ろされた最新小説「包帯クラブ」(筑摩書房刊)。2006年2月に、ベーシックで普遍的なテーマを若い人たちに伝えたいという著者・編集者の強い意向により、通常の単行本というスタイルではなく「ちくまプリマー新書」より発売された直後から、映像化をめぐり10社以上の争奪戦が繰り広げられ、TBS系の人気情報番組「王様のブランチ」でいち早く紹介されるや大きな反響を呼び、若い女性を中心に幅広い世代に読まれている同作は、現在18万部を超えるベストセラーとなっている。
 待望の映画化にあたっては、抜群の知名度そして演技力を兼ね備えた2人がダブル主演としてキャスティングされた。
 入院中の病院の屋上で出会った女子高生・ワラの心の闇を直感的に見抜き、傷付いた場所や風景に包帯を巻いて癒すという〝包帯クラブのエッセンス〟の生みの親となる、妙な関西弁を操るフシギな少年・井出埜辰耶(いでのたつや)/通称・ディノを演じるのは、「誰も知らない」(2004年)で第57回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を日本人初、史上最年少で受賞し、国内でも数多くの映画賞を受賞した柳楽優弥。その後も「星になった少年」(2005年)「シュガー&スパイス〜風味絶佳〜」(2006年)などに主演、日本映画の未来を担う若手俳優として活躍の幅を拡げている。
 そして、表面的にはごく普通の学園生活を送りながらも心の底に深い闇を持ち、ディノとの運命的な出会いをきっかけに〝包帯クラブ〟を結成・主宰する女子高生・騎馬 (きば)笑美子(えみこ)/通称・ワラを、デビュー作「わたしのグランパ」(2003年)で、数多くの映画賞を受賞。その後も映画・ドラマ・舞台と活躍の場を広げ、舞台「奇跡の人」(2006年)ではヘレンケラー役を演じ高い評価を得た石原さとみが挑む。

 監督は、「イマドキの高校生のリアル」を描いた「池袋ウエストゲートパーク」が高く評価され、その後も「TRICK」シリーズ、「ケイゾク」「サイレン」「明日の記憶」と話題作・ヒット作を次々に送り出している堤幸彦。若手キャストの〝リアル〟を引き出す演出術を駆使しながら、ドキュメンタリータッチのシャープな映像で、傑出した青春映画を描きあげていく。撮影は、1月11日にクランクインし、関東近県でのオールロケーションを敢行、2月上旬クランクアップの予定。

 友情、恋愛、裏切りと別離・・・傷つくことがすっかりカジュアル化し、「癒し」という言葉が街中に溢れる時代。見えない「傷」が本当に癒される方法とは何か!?
 〝包帯クラブの生みの親〟とも言えるTBS「王様のブランチ」が強力なサポート体制を敷き、従来にない画期的なプロジェクトとなる、映画「包帯クラブ」。2007年秋、日本人の傷ついた心に包帯を巻いていく——

ストーリー



関東近県の、青空が突き抜ける、それでいてちょっとたそがれた中都市。
 イマドキの女子高生・笑美子(通称ワラ)は、一見普通に学園生活を送りながらも、心の底に闇を抱えている。ふと出来心で病院の屋上のフェンスを乗り越えた時、妙な関西弁を操る入院患者の少年、井出埜辰耶(通称ディノ)に出会う。
 手首の切り傷を「料理している時に失敗して切っただけ」と言い張るワラの心の闇を直感的に見抜いたディノは、ワラの乗り越えたフェンスにワラの手首に巻かれていた包帯を結び付ける。「!?」「手当て、や」。それは、青空になびく白い旗のよう。なぜか、心から流れ出る血が止まったように感じるワラ。これが、「包帯クラブ」の始まりだった。
 
 ワラの中学の同級生で、彼氏と別れたばかりで落ち込んでいる丹沢志緒美(タンシオ)、そのメル友のメル友で浪人生の柳元紳一(ギモ)が、言いだしっぺのワラとディノに加わり、4人による「包帯クラブ」が発足、活動を始める。
「包帯クラブ」の活動とは、「傷付いた人の、傷付いた場所に、包帯を巻きに行く、そして、その包帯の巻かれた風景をデジカメで撮影し、傷付いた人のアドレスに送り返してあげる」というもの。パソコン操作が得意のギモは、ホームページを立ち上げ、ワラやディノは大量の包帯を買出しに行き、投稿に備える。

 そして……サッカーの試合でのオウンゴールをきっかけにイジメを受けている少年に届く、包帯巻きのゴールポストの写真。美容院で髪型じゃなく顔を変えろと罵倒された女の子に届く、件の美容院前で包帯ぐるぐる巻きで号泣しているタンシオの写真。さらにワラとタンシオの中学時代の友だちの芦沢律希(リスキ)が「包帯クラブ」に加わり、いつしか〝ゲーム感覚〟で、包帯巻きに熱中するワラたち。投稿者との間に癒しの気持ちが通うと同時に、包帯巻きの校庭の鉄棒、包帯巻きのバス停、包帯巻きの雑草の花等々、街中に包帯の風景が溢れていく。
 
 人の為に包帯を巻く包帯クラブ部員たちだったが、自分たちだって、包帯を巻いて欲しいことには変わりない。活動に熱中すればするほど、ワラたち自身の〝未だ癒えない傷〟が顕になっていく。ギモには、小学校の理科実験室での忌まわしい過去。ディノには、決して取り返せない、友人との出来事。そして、ワラは、中学時代の友だちで、今は全く会わなくなった優等生の本橋阿花里(テンポ)のことが心に引っ掛かり続けているのだった。
 
そんな折、包帯クラブの活動が、ある密告によって、取り締まられだす。ワラやタンシオは教師から犯人だろうと締め上げられ、包帯のある風景が警官の手によって撤去されていく。
密告の主は一体誰なのか?ディノが心に抱え続けてきた出来事とは何なのか?
包帯クラブ結成以来最大の危機を、少年少女たちは、いかに乗り越えていくのか———

スタッフ

原作:『包帯クラブ The Bandage Club』天童荒太著(2006年筑摩書房刊)
監督:堤幸彦
脚本:森下佳子

キャスト

柳楽優弥
石原さとみ
田中 圭
貫地谷しほり
関 めぐみ
佐藤千亜妃

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