大人になった少女たちに、見てほしい物語があります

2007年/日本/カラー/97分/ 配給:日活

2007年11月09日よりDVDリリース 2007年4月28日よりシネ・リーブル池袋ほかにて全国順次ロードショー

(C)『あしたの私のつくり方』製作委員会

公開初日 2007/04/28

配給会社名 0006

解説


大人になった少女たちに、見てほしい物語があります。

なつかしみ共感する思春期の風景。
女性が必ず、そして、くりかえし通る道
 ひとりぼっちになりたくないから、みんなが求める「私」を演じている。学校では目立たず、家では良い子の女子高生・寿梨。でも本当の自分て何だろう? 小・中学校で同級生だった日南子は優等生からクラスで無視される存在に転落。寿梨はたったひとつの忘れられない想い出から、疎遠になっていた日南子に携帯メールで架空の物語を送り続ける。それは切ない願いを込めた、みんなに愛されるための物語だった・・・。“本当の自分”と“偽りの自分”との間で悩み傷つきながらも、自分を見い出し輝いていく少女たち。
 大人になっても、仕事や友達、恋人や家族に自分を合わせてしまうことがある。思春期に初めて覚える、自分を偽ることで自分を守ること。そして、初めて見い出していく新しい私。本作は、なつかしい思春期の風景をリアルに力強く描き、大人になった今もくり返される私への道に、女性たちが共感し元気になる映画。ありのままの自分で生きる・・・それが、「あしたの私」をつくると信じながら。

実力派女優・成海璃子主演。脇を固める個性派俳優たちにも注目
 もろさの中にも聡明さを光らせ主人公・寿梨を好演するのは、今、最も熱い注目を集めている成海璃子。TVドラマ「瑠璃の島」主演で話題を呼んだ彼女は、弱冠14歳ながら、完成された美しさと確かな演技力を持ち目が離せない。今年は本作含め映画主演作3本が続々と公開し、彼女の大ブレイク・イヤーになること間違いない。相手役・日南子には、秋元康が手掛けるAKB48の前田敦子が映画初出演。寿梨の母親役に石原真理子。女優復帰後、初の映画出演となる本作で初の母親役に挑む。父親役にはマルチな才能を発揮する石原良純ほか、個性豊かなキャストが集う。

名匠・市川準監督×30歳の新進女性作家・真戸香
 狭い世界で傷つけあっている若い世代へ「世界はもっと広い。強く生きて欲しい。」というメッセージを投げかけたのが、『トニー滝谷』など、独特な世界観とスタイルで観客を魅了し続ける市川準だ。団塊世代である彼は、世代を超え末永く観てほしいという願いを込めて、いつの時代にも通じる普遍的な映画として本作を描き上げた。原作は、真戸香による同名小説。そこに散りばめられたまっすぐで、真摯な言葉に監督は共感。女性の視点が生んだ思春期の世界を、市川監督は定評あるみずみずしいタッチで見事に映像化している。音楽は佐々木友理。21歳という若さに関わらず市川監督による大抜擢で、周防義和監修のもと、美しく切ない音楽で本作を彩る。主題歌を担当するのは、人気急上昇バンド、シュノーケル。耳に残る心地よい歌声とメロディーが、思春期の懐かしい匂いを甦らせてくれるだろう。

ストーリー



「わたしたちの描くストーリーは、きっとハッピーエンドです。」
一通のメールからはじまる「私」の忘れられないストーリー

 どこにでもある小学校の教室。ごく平凡な女の子・寿梨(成海璃子)は、仲間外れにされたくなくて、友達に合わせてしまう日々に違和感を感じている。クラスで人気者の日南子(前田敦子)はひそかに憧れの存在。家に帰っても心は晴れない。毎日ケンカばかりしている父(石原良純)と母(石原真理子)を仲良くさせたくて、いい娘であろうと努める。だが、両親の願いを叶えるべく挑んだ中学受験に寿梨は失敗してしまう。しばらく休んでいた学校に戻ってみると、人気者だった日南子が、学級会の進め方で女子の怒りを買ったとかで、突然クラス中から無視される存在に。
 卒業式の日は忘れられない想い出となる。寿梨は、みんなに無視されたくなくて話しかけられずにいた日南子と、誰もいない教室で偶然ふたりきりになる。“本物の自分”と“偽者の自分”の話。日南子は、いじめにあっている今の自分は“偽者の自分”であり、“本当の自分”は人気者の前のカナコなのだと語りだす。弱い自分を必死で隠し偽ることで自分を守る強がりな日南子に共感を覚え、初めて寿梨は自分の本当の気持ちを語りだす。

 どこにでもある中学校の教室。寿梨と日南子は小学校の卒業式のようには、話をしない。クラスでは日南子へのイジメが続いていた。寿梨は彼女が気になりつつも、みんなに合わせることで精一杯。そしてついに、両親が離婚。これまでの住まいを離れ、母とふたりの新生活が始まった。

 どこにでもある高校の教室。小説を書く文芸部に入るが、寿梨は変わらずまわりに合わせ演じ分ける窮屈な毎日。ある時、寿梨はクラスの女子が日南子の噂話をしているのを耳にする。彼女は山梨へ引っ越したのだという。その夜、寿梨は自分をコトリと偽り日南子にメールする。送り始めたのは「ヒナとコトリの物語」。人気者の転校生ヒナのハッピーな学園生活を綴り始める寿梨。最初は心を閉ざしていた日南子だが、まもなくこの物語のヒナに魅了されてしまう。ヒナの行動をマネするうちに、生活を一変させていく日南子。繰り返されるメール交換。気がつけば、誰からも好かれる女の子になっていく日南子に喜ぶ寿梨。このメールで紡ぐ「ヒナとコトリの物語」を、文芸部に提出する小説として本格的に書き出し、顧問の先生(高岡蒼甫)からも誉められる。何もかも上手くいっているように感じる。しかし物語が佳境に近づいた頃、日南子はヒナが“偽りの自分”にすぎないことに気づき、“本当の自分”とのギャップに悩みはじめる。
 一方、寿梨は母の新たな恋人(田口トモロヲ)の出現で、心のバランスを崩していく。母との生活を守ろうと必至であがいてきたのに、もっと母親を幸せにできる大人の男の存在。自分の居場所がないように感じる寿梨。やはり父と兄がいて幸せだった頃が忘れられない。また、学校では目立たぬようにしてきたのに、創立記念祭の学年代表の挨拶という誰もやりたがらない面倒な役を強引に押し付けられ戸惑う。そんな苦しい状況の中、自分を守るためコトリとして物語にのめり込んでいた寿梨だが、遂に現実に戻る時がきていた。
 ふたりの破綻は近づいていた。いくら理想の自分たち(ヒナとコトリ)を物語として紡いだところで、現実を生きるのは日南子と寿梨なのだ。

 ある日、寿梨に決定的なショックが訪れる。誰か助けてと心の叫びをあげた時、寿梨の携帯が突然鳴る。
「もしもし、コトリ? 私、ヒナ」コトリが寿梨だと知らないはずの日南子からであった・・・。

スタッフ

監督:市川準
原作:真戸香(講談社刊)
脚本:細谷まどか
撮影:鈴木一博
照明:中須岳士(JSL)
美術:山口修
音楽:佐々木友理
主題歌:シュノーケル「天気予報」(SME Records)
配給:日活

キャスト

成海璃子
前田敦子
高岡蒼甫
近藤芳正
奥貫薫
田口トモロヲ
石原真理子
石原良純

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