シルバー假面

　実相寺昭雄監督を中心に、わが国映像界のカリスマ的クリエイターが結集し、まったく新しい魅力に満ちた特撮エンターテインメントが誕生した。
　『シルバー假面』—–銀色の光芒に包まれて変身する、美しきヒロインの物語である。
　本作品のオリジナルは、1971-72年（昭和46-47年）にＴＢＳ系で放映された、“等身大”特撮変身ヒーロードラマ『シルバー仮面』。実相寺監督と脚本家の佐々木守（故）の名コンビ（『ウルトラマン』『ウルトラセブン』『怪奇大作戦』）が生み出した、大人の鑑賞に堪えるハードタッチの野心作で、“早すぎた傑作”という評価もあるが、そのいぶし銀のように底光りする感覚の冴えに魅了されたファンは数多い。
　そして、21世紀の今。新たな視点を持たない“単なる続編的リメイク”ならば作る意味はない—–実相寺監督のそうした意図のもとに生まれたＤＶＤオリジナル新作『シルバー假面』は、最初からはっきり大人のためのエンターテインメントを目指している。
　今回の作品では、前作を知る者をあっと驚かす仕掛けが用意された。舞台を現代から混迷の大正時代（1920年代）に移し、主人公シルバー假面も、男性でなく日独ハーフの美女にリニューアル。奇怪な宇宙人や怪人が帝都・東京に襲来する中、新たなるシルバーの活躍を描く。
　物語は３話構成で、“総監修”と第１話の演出に、光と影のシャープな映像美で知られる日本映画界の鬼才・実相寺昭雄監督。第２話、第３話は、実相寺組ゆかりの実力派、北浦嗣巳、服部光則がそれぞれ演出。
　今回の新作のために書き下ろされた原案（基本設定＆ラフ・シノプシス）は、佐々木守と実相寺監督によるもの。佐々木氏が’06年2月惜しくも急逝したため、氏への追悼を込めて、実相寺監督の監修のもと、気鋭の若手ライター・中野貴雄と小林雄次が新たに脚本に仕立て上げ、破天荒でテンポの良い独自の作品世界を生み出している。
　美術監督には、旧シルバーもデザインした日本映画界のベテラン・池谷仙克。撮影監督には、旧シルバーはもちろん、多くの実相寺作品で見事な映像美を紡ぎ出した中堀正夫。音楽には、ＴＶ『ウルトラセブン』のほか、『無常』『曼陀羅』『哥（うた）』などの劇場用映画で実相寺監督となじみの深い作曲家・冬木透。そして制作は、これも旧シルバー初期に深く関わったコダイが担当。
　そうした超ベテラン陣に加えて、造型に平成ガメラシリーズなどで知られるわが国特殊メイク＆造型の第一人者・原口智生、シルバー假面のコスチューム制作に、劇団新感線の衣裳デザインで注目をあびる竹田団吾といった、新世代のクリエイターが参加する。
　キャストは、日独ハーフのヒロイン・ザビーネに、日英ハーフのファッションモデル、ニーナを抜擢。“内田仁菜”名義でローティーン時代から活躍してきた彼女は、今年（‘06年）20歳を迎え、これが本格的な映像出演第１作となる。ヒロインを助ける若きエリート軍人・本郷大尉役に、大ヒット作『YAMATO/男たちの大和』、ＴＶ『功名が辻』などに出演し、今注目株の渡辺大（07年夏公開予定の大作『俺は、君のためにこそ死ににいく』にも出演）。飄々とした存在感で本郷とコンビを組む平井太郎（のちの江戸川乱歩）に、映画『月光の囁き』主演をはじめ、若手実力派として数多くの作品に出演している水橋研二。神出鬼没の怪人カリガリ博士に石橋蓮司など、ベテランから新人まで、世代を超えたユニークなキャスティングが組まれている。
　21世紀に再結集した『シルバー』のオリジナルメンバーと、新世代の才能が力強くコラボレートし、日本の特撮ドラマに、今、新たな１ページが加えられようとしている—–！