原題:It's All Gone Pete Tong

音のない世界で 僕は君に出会った 君の笑顔は 僕の音楽になった

トロント映画祭シティ・アワード受賞

2005年5月27日イギリス公開

2004年/イギリス、カナダ/カラー/92分/ 配給:エイベックス・エンタテインメント

2007年04月25日よりDVDリリース 2006年12月23日(祝)より渋谷シネ・アミューズにてロードショー

公開初日 2006/12/23

配給会社名 0244

解説


音のない世界で 僕は君に出会った
君の笑顔は 僕の音楽になった

 天才ミュージシャン その名はフランキー・ワイルド、イビサのクラブ・シーンをベースにヨーロッパ中を熱狂させる彼を、ある日悲劇が襲う。聴力を失ってしまったのだ。
 レイヴのうねりから、静寂の世界へ。どん底の日々を経て、読唇術を教える女性教師ペネロペと出会った彼は、再生への道を歩き出す。耳は聴こえなくても、サウンドを肌で感じることは出来るのだ。そして遂にフランキー・奇跡の復活GIGが、幕を明ける…。
 トロント映画祭プレミアで観客を興奮と感動に包みシティ・アワードを受賞、その後全英250館、カナダ300館で公開され“フランキー・マニア”が続出した話題作!
 フランキーを快演するのは『マッチポイント』にも顔を見せている全英の人気俳優ポール・ケイ。ヒロイン・ペネロペに新生ベアトリス・バタルダ。ポール・ヴァン・ダイク、ティエスト、カール・コックス、ピート・トン他、人気DJが実名で多数出演しているのも見どころのひとつ。
 監督・脚本は本作が長編二作目のマイケル・ドース。実在する複数のミュージシャンのキャラクターやエピソードにインスパイアされて、限りなくリアルな“フランキー・ワイルド”像を作り出し、公開時「フランキーのモデルは誰だ?」とロンドンのクラバーたちの間で話題となった。 
 製作は『ヒューマン・トラフィック』(’99)のアラン・ニブロと、『ギャングスター・ナンバー1』(’00)のジェームズ・リチャードソン。音楽は、ビョークのプロデュース、プライマル・スクリーム、、REM、ニューオーダー等とのコラボレーションでも知られるグラハム・マッセイ。エンディングにはビーチ・ボーイズの“グッド・ヴァイブレーション”が使用され、フランキーのモデルの一人でもあるブライアン・ウィルソンへのオマージュが捧げられている。
 楽聖ベートーヴェンの陰に、彼を支えた女性アンナがいたように、フランキーはペネロペの愛に包まれて再起する。音楽への情熱と君の笑顔さえあれば、やり直せない人生なんて無い。爆音の彼方で見つけた真実の物語は、音楽ファンのみならず、観る人すべてにパワーを与え、見終わったとき誰もがきっとフランキーを愛さずにいられなくなるはず。
 フランキー・ワイルド。カッコいいとは、こういうことさ!

ストーリー



スペイン、イビサ島。地中海に浮かぶ高級リゾート・アイランドであると同時に、超弩級の人気クラブが軒を連ねるクラバーたちの聖地。24時を過ぎれば、夜毎人気DJが熱狂をもって迎えられ、フロアはオーディエンスで埋め尽くされる。
 今夜も、大バコ“マニュミッション”では興奮が最高潮に達していた。
 現れたのは“ターンテーブルの申し子”、その名もフランキー・ワイルド。独自のスタイルで、フロアを思いのままにコントロールする神業的プレイで、ヨーロッパはもとより世界中にその名を轟かせているカリスマDJ兼音楽プロデューサーである。
 富と名声を意のままにするフランキーの暮らしぶりは、絵に描いたようなセレブ。住まいは島の一等地の豪著なヴィラ。妻・ソーニャはPVの共演で知り合った、ベッカムの奥様風の元モデル。一人息子のキングは、ジャクソン5時代のマイケル似(父親は誰?)
 セックス、ドラッグ、ロックンロール。昼間から酒をあおり、ドラッグでキメて、マネージャーのマックスと、女の子たちを引き連れて豪華ヨットでクルージング。ギグのない夜はパーティで大暴れ。たまに姿を現す幻影、鼻の溶けかかったドラッグの妖精・エプロン姿の邪悪なパンダが親友だ。
 しかし、そんな生活も長くは続かなかった。生まれつき聴覚の弱かったフランキーは、少しずつ聴力を失いつつあったのだ。障害を周囲に隠したまま“クリーム”でのプレイに臨んだ彼は、フロアの客から総スカンを食い、その夜は最悪のギグとなってしまった。誤魔化し切れなくなったフランキーは、マックスに勧められ医師を訪ねる。診断は「右耳の聴力は既になく、残る左耳も20%程度。これ以上騒音に晒してはいけない」というDJとしての命を絶つものであった。さらに悲劇は続く。レコーディング中のアクシデントで、残された20%の聴力も失ってしまったのだ。「共に乗り越えましょう」と言っていたソーニャはキングを連れて他の男と共に家を出、マックスにも自暴自棄のフランキーをどうすることもできなかった。みんな去ってしまった…。
 フランキーは表舞台から忽然と姿を消した。静寂に包まれれば聴力が戻ってくると信じ、コクーンのように全てを閉ざした暗い部屋に篭ったのだ。しかし事態が好転することはなかった。死を選ぼうとコクーンから4ヶ月ぶりに出たフランキー。だが、死ぬことさえできない。挫折、焦燥、絶望、諦観、すべてを味わいつくしたフランキーは、生を選んだ。閉ざされた窓を開け放ち、ドラッグへの逃避を誘う内なる邪悪なパンダとも完全に決別した!
 読唇術を教える女性教師ペネロペとの出会いが、さらに前に進む力を与えてくれた。「集中力よ」。唇の動きを読むことのみならず、視覚、臭覚、触覚、すべての神経を集中して感じ取る方法を彼女は教えてくれたのだった。「沈黙に乾杯!」ふたりは瞬く間に恋に落ちた。
 ある夜、フランキーとペネロペはタブラオの席に着いた。舞台ではダンサーが情熱的なフラメンコに興じている。テーブルのグラスが振動する。そのグラスを見つめるフランキー。そして二人はクラブに足を踏み入れた。「ほら」、フランキーをスピーカーに導くペネロペ。フランキーの瞳がみるみる輝きだした。音を聴くんじゃない。感じるんだ!
 喧騒のフロアで、二人は、ふたりだけの沈黙に包まれて静かにキスをする…。
 その日を境にフランキーはスタジオでミックス作業に没頭した。スピーカーを足元に置き、素足に振動を感じながら、イコライザーの波長を目で見ながら、作業を進めるのだ。
 遂に作品「HEAR NO EVIL」が完成した。デモを聴いたマックスは大興奮。「フランキーのご帰還だ!」。発売されるやいなや、「HEAR NO EVIL」はヒットチャートをかけ上がった。そして、伝説のクラブ“パシャ”でフランキー・奇跡の復活ギグが幕を明けるときがやってきた。

スタッフ

監督・脚本:マイケル・ドース
キャスティング・ディレクター:サム・シャンドリー
製作総指揮:キム・ロバーツ
ヘア・メイク・デザイナー:ターニャ・ロッジ
衣装デザイン:イタ・マレー
音楽:グラハム・マッセイ
音楽スーパーバイザー:ロル・ハモンド
プロダクション・デザイン:ポール・バーンズ
編集:スチュワート・ギャザード
撮影監督:バラージュ・ボリゴ
製作総指揮:ルバート・プレストン&ロブ・モーガン
プロデューサー(カナダ):エリザベス・イェイク
プロデューサー:アラン・ニブロ&ジェームズ・リチャードソン

キャスト

ポール・ケイ
ベアトリス・バタルダ
マイク・ウィルモット
ケイト・マゴワン
ピート・トン
カール・コックス
ティエスト
ポール・ヴァン・ダイク
ダニー・ホイットル
チャーリー・アシュワース
サラ・メイン
ロル・ハモンド

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