原題:A Family

お父さん、世界でいちばんアナタが嫌いです。

第19回東京国際映画祭/コリアン・シネマ・ウィーク2006出品作品 2004 第25回 青龍賞/新人女優賞(スエ) 2004 第3回 大韓民国映画大賞/新人女優賞(スエ) 2005 第41回 百想芸術大賞/新人演技賞(スエ) 2005 第50回 アジア太平洋映画祭/男優主演賞(チュ・ヒョン)

韓国封切2004年9月3日

2004年/韓国/カラー/96分/35mm/ 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

2007年04月18日よりDVDリリース 2006年12月2日、シネマスクエアとうきゅうほかロードショー

(c)2004 TUBE Entertainment. All Rights Reseved.

公開初日 2006/12/02

配給会社名 0042

解説


刑期を終え、3年ぶりに再会した父娘の
かけがえのない《最期の10日間》

娘は父の「命」を救いたかった。父は娘の「未来」を守りたかった。

3年の刑期を終えて、娘・ジョンウン(スエ)は年老いた父・チュソク(チュ・ヒョン)と幼い弟・ジョンファン(パク・チビン)が暮らす家に戻って来た。しかし父が投げかけてきた最初の言葉は、「なぜ帰った? いつ出て行くんだ?」。あくまで厳しく接することしかできない父と、厳格な父を疎ましく思う娘。美容院で真面目に働き始めたジョンウンだが、未だかつての悪い仲間がまとわりついている。そんな娘の姿に落胆しながらも、娘を救い出そうとする父。また、そんな父の姿に自分への深い愛情を感じるジョンウン。すれ違っていた二つの心が一つになりかけた時、ジョンウンは父が白血病に侵され、死期が迫っていることを知ってしまう・・・。永い間の誤解や感情表現の不器用さによって険悪になっていた二人だが、それでも娘は父の「命」を救いたいと願い、父は娘の「未来」を守りたいと願ったー切なくも儚いかけがえのない10日間の物語。

韓国200万人が涙した、父と娘の深い絆

2004年、韓国では『ブラザーフッド』『シルミド/SILMIDO』『オールド・ボーイ』と、いつにも増して男臭い映画が大ヒットした。その中にあって、主役が女優というだけでも不利なのに、その女優はこれが映画初挑戦、さらに題材は上記3作と比べればきわめて地味な父と娘の絆、さらに新人監督と、決して良い条件とは言い難い作品が、この『ファミリー』だった。ところが、いざ封切られると、父娘(おやこ)愛の深さに胸打たれた観客たちの口コミによって200万人を動員し、大ヒットを記録した。親と子供は互いの人生を拘束してしまうが、逆に最も強い支えになる存在でもあるという普遍的テーマを真正面から描いた本作。監督のイ・ジョンチョルはデビュー作とは思えない演出力で、家族の崩壊が大きな社会現象となっている現代社会に最も大切で必要な親子の絆をフィルムに焼きつけた。

次世代のスターを誕生させた奇跡の作品。

翳りのある娘・ジョンウンを演じるスエは、ドラマでは“涙の女王”と称され、その古典的美貌もあって人気を博していたが、映画はこれが初挑戦。弟には愛情深い姉、父には反抗的な娘、そして昔の仲間には度胸のすわった女であり、また同時に美容師を目指して地道に努力する女性でもある。そんな複雑な女性像を、スエは独特の静かな迫力で演じきる。この作品によって新人女優賞を総なめにした彼女は、イ・ビョンホン最新作、『夏物語』のヒロインに抜擢され、今後大きな飛躍が期待される存在だ。父親役のチュ・ヒョンは、『友へ チング』のユ・オソンの父親役として印象深い。韓国では映画やドラマで著名な男優で、アジア太平洋映画祭で主演男優賞を獲得した本作の次に出演した『私の生涯で最も美しい一週間』では、恋する初老の男を演じて、新たなキャラクターを開拓した。この娘と父の間を繋ぐのは、天真爛漫なサッカー好きの弟・ジョンファン。これが映画デビュー作となったパク・チビンが演じているが、チビン少年はこの後『奇跡の夏』『青春漫画〜僕らの恋愛シナリオ〜』に出演して、今や子役のトップ・スター。さらに、ジョンウンのかつての仲間で今やヤクザにのしあがった男たちに、パク・ヒスン(『南極日誌』)とオム・テウン(『シルミド/SILMIDO』)が扮して、見応えある渋い演技を光らせている。

ストーリー




3年ぶりに再会した父と娘−ファミリー。

 ある冬の朝、一人の女が刑務所から出てきた。まだ少女といってもいいあどけなさと、静かな怒りを胸に秘め芯の強さを併せ持ったジョンウン(スエ)。彼女は窃盗と傷害の罪で3年の刑期を務め、家に戻るところだ。家には厳格で寡黙な年老いた父チュソク(チュ・ヒョン)と、姉を慕う無邪気な10歳の弟ジョンファン(パク・チビン)が彼女を待ってくれているはずだった。
 “お姉さんは日本に留学している”と教えられていたジョンファンは、姉の帰りを心から喜んで抱きついて彼女を迎える。一方、3年ぶりの再会に「なぜ帰ってきた?」という父の言葉は、ジョンウンの胸を冷たく突き刺す。父が暖かく自分を迎えてくれないのは判りきっていた。父は、元は警察官だったが、片目が不自由になり警官を辞職。市場で魚屋を営むようになったが、酒飲みで、たびたび母親に暴力をふるった。母親が6年前に亡くなったのも父のせいだと思い込んでいる娘と、自分へのあてつけのように道を外していった娘を許せない父。3年の年月はさらにこの父娘の心を遠ざけてしまっていた。

娘の更正を阻む暗雲が垂れ込み始める・・・。

 保護観察中のジョンウンは、観察官の紹介により美容院で働き始める。いつか自分の店を持つのが彼女のささやかな夢だ。そのためには元手が必要だ。かつての不良仲間、チャンウォン(パク・ヒスン)とその弟分のドンス(オム・テウン)を訪ね、5000万ウォンを要求するジョンウン。彼女は3年前、チャンウォンの傷害の罪をかぶって身代わりとして刑務所に入ったのだ。はすっぱな口をきいて、その代償を求めるジョンウンに対して、チャンウォンは、彼女が自首する前に事務所を荒らして大金を盗んだと読んでおり、奪った金を返せと逆に脅しをかけてきた。この3年間でチャンウォンは手下を増やしてナイトクラブを経営し、裏社会で大きく出世していた。ジョンウンが太刀打ちできるようなかつてのチンピラとは違う。彼の手下も含めて敵に回してしまったジョンウン。再び彼女の運命に暗雲が垂れ込め始める。

スタッフ

監督・脚本:イ・ジョンチョル
撮影監督:チェ・サンムク
音楽:イ・ドンジュン

キャスト

スエ
チュ・ヒョン
パク・チビン
パク・ヒスン
オム・テウン
チョン・ウク
チュ・グィジョン
チョン・グクァン
イ・ジョング
イ・スンチョル
チャン・テス
ハン・ギュニル
キム・セドン
オ・ヒョンス
フィスン

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