吉田秋生の傑作コミック完全映画化!

2007年/日本/カラー/116分/ 配給:キュービカル・エンタテインメント

2007年12月21日よりDVDリリース 6月30日(土)より渋谷Q-AXシネマほかにて全国ロードショー

(C)2006 吉田秋生・小学館/『吉祥天女』製作委員会

公開初日 2007/06/30

配給会社名 0028

解説


いったい何故、誰もが”小夜子”に惹きつけられるのか?
吉田秋生の傑作少女コミック、待望の完全映画化!
妖艶な美貌と雰囲気を併せ持つ少女”小夜子”。
吉田秋生の傑作コミックから生まれた最高のヒロインが、今スクリーンで艶やかに舞う。
心のうちを見透かすような大きな瞳、長くツヤのある黒髪——。男も女も惑わせる完璧な美貌と、17歳とは思えぬ妖艶な雰囲気を持つ、ミステリアスな少女・叶小夜子。理由あって実家を離れて育ち、12年ぶりに叶家に戻った彼女は、出会う者すべての心を奪い、虜にしていく。小悪魔のように囁いたかと思えば、慈愛に満ちた母親のような微笑みをたたえ、また鬼のような目つきで睨みをきかせたかと思えば、天女のような優しさで相手を包み込む……。自在に変化するその表情に、女は憧れ、男は翻弄されていく。
新興の”遠野家”の義兄弟とて例外ではない。ワイルドで強引な遠野暁と、遠野家の養子として育てられたクールで繊細な涼——性格も態度も、まったく正反対な2人だが、どちらも魔性の魅力を持つ小夜子に強く惹かれてゆく。そして、クラスメイトの麻井由似子は、自信に満ち溢れた小夜子を慕い、友情を育んでゆく……。
原作は、「BANANA FISH」をはじめ、数々の傑作コミックの生みの親として知られる吉田秋生の「吉祥天女」。1984年に小学館漫画賞を受賞している本作は、”小夜子”という強烈なキャラクターの魅力から、熱狂的ファンも多い。少女コミックの枠を超え、男女問わず幅広い層から支持されており、これまでに約250万部の売り上げを記録。吉田の代表作のひとつとなっている。そんな原作を映画化したのは、『ラヴァーズ・キス』(02)に引き続き、吉田作品を映像化することになった及川中監督。完全映画化が待ち望まれた最高のヒロイン”小夜子”の物語を、美しくも切なく、幻想的にスクリーンで描き出す。
“小夜子”に秘められた天女伝説とは—
そして、暁、涼、小夜子のミステリアスな三角関係の行方は・・・。
12年前の火事で消失したとされている、叶家に代々伝わる”天女の羽衣”。その衣をめぐっては、「”天女の衣”に触れた女は幸せになるが、それに触れた男には祟りがある」という言い伝えがあった。一方、小夜子は、「叶家の女は、決して幸せになれない」という宿命を背負っていた。呪われた”天女の血”を引くといわれる叶家では、男が続々と死亡していくのだ。そんな宿命に抗い、血の呪縛を解くべく、自分らしく、強く生きる小夜子。だが、周りでは、小夜子と関わった者たちが、次々と命を落としていく……。
遠野家の兄弟関係も、小夜子が現れたことで、歯車が狂い始めていく。借金を抱えながらも、膨大な土地を所有している叶家と、その土地を狙う新興の遠野家は、対立関係にあったが、遠野家から叶家に嫁いだ暁の叔母・浮子は、野望と欲望に駆られ、小夜子と暁の政略結婚を企てる。だが、暁はいつしか本気で小夜子を愛し、執着し始め、自分を見失っていく。一方、涼も感情を抑えつつも、小夜子への想いが募っていく。そんな2人の間で主導権を握る小夜子……。さらに、叶家の”天女伝説”が明らかになるにつれ、叶家と遠野家の因縁、血をめぐる輪廻が明らかになっていく……。暁、涼、小夜子の三角関係は、天女の衣が導いた必然なのか? 小夜子は、血の呪縛から解放され、愛をつかむことができるのか?
これからの日本映画界を担う若手実力派俳優が集結!
“小夜子”役で、鈴木杏が新境地を開拓する。
天女の系譜に生まれた悲劇のヒロイン・叶小夜子を演じるのは、鈴木杏。大ヒット作品となった『頭文字]イニシャル]D』(05)で、日本のみならず、アジアでの人気も獲得し、日本映画界を担う若手実力派として今後のますますの活躍が期待される女優である。これまで、明るく元気な役柄を演じることが多かった彼女だが、本作では、大人びた妖艶な少女という、まったく違うタイプの役柄にチャレンジ。難しい役どころを見事にこなし、新たな一面を見せている。そして、小夜子に憧れる女子高生・麻井由似子役には、本仮屋ユイカ。『スウィングガールズ』(04)、NHK朝の連続テレビ小説「ファイト」などで、一躍注目を浴び、映画出演作が続いている彼女が、ピュアで明るい少女を好演。爽やかな笑顔で、観客を魅了する。さらに、遠野涼役に、映画・ドラマ・舞台と幅広く活躍し、さまざまな役柄を演じてきた勝地涼。寡黙なキャラクターながら、持ち前の演技力で内に秘めた感情を鮮やかに表現している。また、涼の兄・暁役に、『気球クラブ、その後』の深水元基。そのほか、市川実日子、津田寛治、江波杏子といった実力派が顔を揃え、作品を支えている。

ストーリー




昭和45年春、金沢——。
春日高校「能楽クラブ」に所属する、快活な女子高生、麻井由似子(本仮屋ユイカ)のクラスに、不思議な魅力を持つ転校生がやってくる。その少女の名は、叶小夜子(鈴木杏)。5歳の頃に親戚の家に預けられて以来、この地を離れて暮らしていたが、12年ぶりに実家に戻ってきたのだ。長くツヤのある黒髪、吸い込まれるような瞳……。クラスメイトたちは、たちまち小夜子の虜になる。もちろん由似子も。だが、遠野涼(勝地涼)だけは、小夜子に見つめられると、ただならぬ気配を感じ、教室を出て行く。
小夜子は、”天衣神社”をはじめ、このあたりの土地のほとんどを所有する名家、叶家の娘。下校時になると、書生の小川雪政(津田寛治)が車で迎えに来る、いわば”お姫様”のような存在である。その姿を涼と見ていた、新興の「遠野建設」の息子・遠野暁(深水元基)は、小夜子と政略結婚させられそうになっていると語る。涼と暁は義理の兄弟。7年前に交通事故で両親を亡くした涼は、妹の水絵とともに養子として、親戚の遠野家に引き取られたのだ。暁の父・一郎は、叶家が所有する土地に春日高校の中等部を建設しようとしているが、叶家は借金まみれにもかかわらず買収に応じない。そこで、一郎の妹であり、暁の叔母である浮子が、小夜子と暁の縁組を企て、小夜子を実家に呼び戻したというわけだ。浮子は、小夜子の兄・泰之と結婚し叶家に嫁いだが、すぐに未亡人となり、今は小夜子の祖母・叶あき(江波杏子)の介護をしているのだった。
ある日の放課後、”天衣神社”に遊びに行った小夜子と由似子は、突然不良グループに襲われる。だが、怯えるそぶりもなく、相手を次々と倒していく小夜子。その様子を目の当たりにした由似子は、ますます小夜子に憧れの念を抱く。
小夜子は担任の根津に、神社での一件を報告するが、中等部の教頭に内定しており、スキャンダルを表沙汰にしたくない根津は、小夜子を教室に呼び出し口止めする。……やがて、校内に響き渡る小夜子の悲鳴。シャツを引き裂かれた姿で、部屋を飛び出してきた小夜子は、偶然通りかかった涼の背中に隠れ、その肩にしがみついて震える。小夜子の瞳から放たれる強烈な光に気づく涼。
叶家で、小夜子を披露するお茶会が開かれ、暁と涼、そして由似子もやってくる。妖艶な着物姿の小夜子に、暁は本気で恋心を抱き始めるが、小夜子は軽くあしらい、涼に対して気のあるそぶりを見せる。庭の仮設舞台では、由似子がクラブで練習している能楽『羽衣』が披露され、由似子は感激する。
一方、由似子の姉で、美術学科の大学生・麻井鷹子(市川実日子)は卒業論文のテーマを叶家の財宝研究とし、叶家の歴史と家宝について調べていた。数多くの美術品の中でも、鷹子が最も興味を持っているのは、12年前の”天衣神社”の火事で消失したとされる”天女の衣”——「『天女の衣』に触れた女は幸せになるが、一方、それに触れた男には祟りがある」との言い伝えが残っている幻の逸品だ。調査に協力していた叶家の蔵の管理人・三木は、蔵の中にあった「吉祥天」の絵を眺めていた鷹子に、”叶家は天女の末裔だ”とする天女伝説を語り始める。その話を聞き、心躍らせる鷹子だが、次の瞬間、蔵で根津の死体を発見し絶叫する。
小夜子を可愛がっていた祖母・あきの容態が急変し、この世を去る。葬儀には、暁と涼も参列。その場で暁は涼に、遠野家と叶家が暁と小夜子の結婚に合意したと語る。暁に話しかけられている小夜子の姿を遠くから見守りながら、複雑な心境の涼。涼を見つめる小夜子……。一方、あきを死に追いやった浮子は、策略の片棒を担いでいた小夜子の父・和憲と祝杯をあげる。だが、突如もだえ苦しみだすと、ベランダから転落し、謎の死を遂げるのだった。
 遠野家を訪れた小夜子は、応接間で一郎と二人きりになる。帰宅した暁は、小夜子が自分に会いに来たと思い、早速、小夜子のもとへ。それを見届けた涼が自宅を出た途端、部屋から怒号が聞こえてくる。応接間で涼が目撃したのは、胸部を血で染めた一郎と、服を乱され、放心した様子でうずくまる小夜子、そして、血塗られたナイフを握った暁だった。暁は、涼が止めるのも聞かず、弾丸と銃を手に、そのまま部屋を出て行く。
 暁は行方をくらましたが、小夜子と暁の婚姻届は既に提出されており、さらに遠野建設の筆頭株主が、小夜子の母・鈴子の名義に変更されていた。小夜子の部屋を訪れた涼は、遠野家を陥れた小夜子に怒りをぶつけ、暁の命令だと言って外に連れ出す。由似子が人質になっていると知り、おとなしく従う小夜子。涼のバイクの後部座席に座った小夜子は、まるで恋人同士のように涼にぴったりと寄り沿う。やがて、二人が由似子の捕らわれている廃墟に着くと、銃を抱えた暁が待ち構えていた。小夜子に銃口を向ける暁。一方、涼は隠し持っていた猟銃を取り出す。そして、小夜子を守るために、暁をめがけて引き金を引く……。

スタッフ

監督・脚本:及川中
原作:吉田秋生
企画:原田宗一朗
プロデューサー:山川恵一、丸山文成

キャスト

鈴木杏
本仮屋ユイカ
勝地涼
深水元基
津田寛治
江波杏子

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