原題:MEGUMI : A Family Tore Apart for 30 Years

2006年8月18日全米公開

2006/アメリカ/90分/ 提供:『めぐみ-引き裂かれた家族の30年』上映委員会 配給:ギャガ・コミュニケーションズ Powered by ヒューマックス

2007年06月01日よりDVDリリース 2006年11月25日(土)より、シネマGAGA!他全国順次公開

(c)Safari media LLC 2004

公開初日 2006/11/25

配給会社名 0025/0763

解説


’拉致’という国家的陰謀に巻き込まれてしまった普通の家族。
それから30年——。
娘を取り戻したい強い思いが、人を、国を、世界を動かしていく。

1977年11月15日朝、いつものように学校へ出かけた当時13歳の横田めぐみさんが忽然と姿を消した。その時から平和だった日々が一変する。横田さん一家は帰ってこない娘を探し続けあらゆる事態を想像しながら、彼女の無事を祈り続けた。その実態が<北朝鮮拉致事件>という途方もないものとは思いもしないで…。
それから30年—。怒りや悲しみに包まれながらも娘の生存を信じ続け、娘を取り戻すための果てしない闘いの日々が続く。その家族の凛々しくも懸命な姿は強い力で人々を巻き込み、やがて国家までも動かしていく…。

新潟県で起きた「横田めぐみさん失踪事件」は、いまでこそ「北朝鮮拉致事件」という誰もが知る事件だが、その真相は、長い年月をかけた家族の孤独な闘いによって明らかになった。大掛かりな捜索にも関わらず手掛かりが何もつかめない、まるで’神隠し’にあったような事件として扱われた。生きているかどうかもわからないままの長い年月、横田さん夫妻は、ありとあらゆる方法でめぐみさんを探し続けた。そして、1997年、日本中で起きていた奇異な失踪事件の数々が線となって繋がり、失踪事件の全貌が明らかになった。その真相は、「めぐみさんは北朝鮮工作員によって拉致された」という驚愕の事実。家族にとっては、更なる悲劇の始まりだった…。
それでも、めぐみさんの生存を心から喜び、そして娘を取り戻す為、ほんの些細な手掛かりでも希望としてつないでいく横田さん夫妻。他の拉致被害者の家族と一緒に拉致問題解決に向けた運動を本格化していく。しかし、その個人的な悲劇は、真相に近づけば近づくほど、個人ではどうにもできない場所へと押し流されてしまう。拉致事件の存在すら認めようとしない政治家たち、無関心な大衆、個人の存在を無視して駆け引きを続ける国家、更に、偽装やウソの情報しか提供しない北朝鮮という国。そのすべてに翻弄され、数々の妥協を強いられる、家族たち…。
失踪から約30年の月日が流れ、70歳を共に越えた横田さん夫妻は、小柄で穏やかで、見た目には弱々しくさえ映る。しかし、娘との再会を信じるその気持ちは、時に国家という巨大な存在に行く手を阻まれながらも、決して折れることはない。その小さくても強い家族の切なる思いに人々が共鳴し、更にそれは大きな力となって国を、そして世界を動かしていく。だからこそ、『めぐみ—引き裂かれた家族の30年』は、この事件が日本に住むどの家庭にも起こりえたという戦慄を与えるのと同時に、そこに描かれている’時に風化されない親の愛’が家族を持つすべての観客の胸に迫り来るのだ。

全米が騒然!
アメリカ人ジャーナリストが描いた、ニュースでは届かない感動のドキュメンタリー
アカデミー賞受賞監督であるジェーン・カンピオン(『ピアノ・レッスン』)を製作総指揮に迎え、この衝撃的で感動的なドキュメンタリーを撮ったのは、クリス・シェリダンとパティ・キム監督夫妻。それぞれが新聞記者とキャスターというジャーナリストの顔を持つこの二人は、2002年の小泉総理の初訪朝の記事の中で北朝鮮による拉致問題と、それによって奪われた娘を捜し続ける横田さん夫妻の存在を知り、「この事件、そして横田さん夫妻の愛と勇気をフィルムに収めたいという衝動に駆られた」と語っている。
映画は、拉致問題解決に奔走する横田さん夫妻に密着するとともに、報道や記録資料、関係者の証言によって、その30年という歳月を映像によって紡いでゆく。ひとつの失踪事件が、やがて点と点をつなぐように別の失踪事件とつながっていき、得体の知れない陰謀のアウトラインが見え始める…そのサスペンスは、いたずらにドラマチックな演出を加えられることなく、拉致問題を知る観客には迫り来るような悲しみを、拉致問題を知らない観客にはフィクションのような事実の衝撃を際立たせてゆく。
中でも脱北した北朝鮮の元工作員、アン・ミョンジンの証言は、多くの感情を掻き立てるショッキングなものだ。拉致実行犯から聞いたという、めぐみさんの拉致の理由、生々しい輸送船内での状況、そして自身の平壌でのめぐみさんの目撃証言、そして彼女の現在。
めぐみさんはなぜ拉致されたのか、なぜ死んでいないのか、なぜ帰国することができないのか——拉致問題にある恐怖と絶望を世界に知らしめることで、この作品事態が問題へのわずかな希望になりえることをも示している。
世界各国の映画祭では、観客から最も支持を得た作品に贈られる「観客賞」を多く受賞。ハリウッド公開時には、「親子の愛の物語に涙が流れた。そして世界の人が知るべき事件」と多くの観客から声が寄せられ、本年度アカデミー賞ドキュメンタリー部門最有力候補として各紙で報じられている。

ストーリー



なぜ拉致されたのか、なぜ帰国できないのか——
家族達の絶望、そして残されたかすかな希望。

1977年11月15日、新潟に住む13歳の中学生・横田めぐみさんが、下校途中に忽然と姿を消した。誘拐や家出の可能性を含めた警察の捜査が始まり、めぐみさんの両親である横田滋さん、早紀江さんも、テレビ番組などの公開捜索に参加するなど、ありとあらゆる手段でめぐみさんを捜し続けるが、その行方はようとして知れなかった。
事件から2年が過ぎた頃、日本海側で頻発したアベック失踪事件の新聞記事が早紀江さんの目に留まる。北朝鮮が関与した拉致事件——その疑いは、さらに20年後の1997年、北朝鮮から脱北した元工作員の証言によって、ようやく立証されることになる。めぐみさんは北朝鮮によって拉致されたのだ。
横田さん夫妻を中心に「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(通称:家族会)」が発足され、その活動が始まる。だが政府の対応は冷たい。拉致問題解決への動きは遅々として進まず、その間に被害者家族たちの高齢化ばかりが進んでゆく。鹿児島で拉致された増元るみ子さんの父、増元正一さんや、福井で拉致された地村保志さんの母親など、再会を果たせぬまま亡くなる家族達に、横田さん夫妻の心は揺れる。そんな中実現した小泉純一郎総理の初訪朝に、新たな希望を見出す横田さん夫妻ら家族会の人々。そこで北朝鮮は初めて拉致の事実を認め、拉致被害者13名のうち、5名生存、8名死亡という、家族会の明暗をわける結果を発表した。
死亡の明確な証拠は示されないことに一縷の望みを託し、横田さん夫妻の救出活動は続いていく。依然として続く政府の経済援助、心無い人々の中傷、ニセ遺骨問題や孫娘キム・へギョンさんを使った北朝鮮による揺さぶり…そんな中で「もう一度、娘を抱きしめたい」という気持ちだけが、供に70歳を越えた夫妻を支えている。
そのたゆみない活動は、今年で30回目の秋を迎えようとしている。

スタッフ

製作総指揮:ジェーン・カンピオン『ピアノ・レッスン』
監督・製作・脚本:クリス・シェリダン、パティ・キム

キャスト

横田滋
横田早紀江
増元照明

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