原題:2Days in Paris

2007年ベルリン国際映画祭正式出品作品

2007年3月17日ドイツ初公開

2007年/ドイツ、フランス/カラー/PG-12/101分 配給:アルバトロス・フィルム

2008年5月24日(土)、恵比寿ガーデンシネマ、新宿ガーデンシネマ他全国順次ロードショー

公開初日 2008/05/24

配給会社名 0012

解説


『ビフォア・サンセット』でアカデミー賞脚色賞ノミネートのフランス人女優、ジュリー・デルビーが描く、もうひとつの愛すべきラブ・ストーリ——。

恋人たちの都・パリで過ごす2日間−。
アメリカ人の彼・ジャックを襲うのは・・・・カルチャーショックの嵐。さらに、次々と明らかになる、フランス人の彼女・マリオンの男性遍歴。別れの危機は突然訪れる!

 フランス人フォトグラファー、マリオンと、アメリカ人インテリアデザイナー、ジャックは、付き合って2年になるニューヨーク在住のカップル。イマイチ盛り上がりに欠けたベネチアでのバカンスの後、立ち寄ったのは、彼女の生まれ故郷である、恋人たちの都・パリ。この町で過ごす2日間に期待をかけるふたりだが、雲行きは怪しい……。

 マリオンの両親に会ったジャックは、そのあまりの自由奔放っぷりに圧倒され、カルチャーショックを受ける。さらに街に出れば、次々とマリオンの元カレに遭遇。別れた後は二度と元カノに会わないタイプのジャックは、元カレと親しげに振る舞うマリオンの姿に、戸惑いを隠せない。嫉妬心と猜疑心にさいなまれた彼のイライラは募るばかりで、ふたりの関係もギクシャクし始めてしまう。果たして、ふたりは関係を修復することができるのか? それともこのまま別れてしまうのか?

 安泰に見えたカップルに突然訪れる別れの危機を、ユーモラスに、チャーミングに描いた本作。長年付き合っていても、相手のことをすべて知り、理解しているとは限らない。ひょんなことで知った愛する彼女/彼氏の新たな一面に恐怖心を抱くけれど、果たして自分もありのままの姿を相手に見せているのだろうか。相手を愛すれば愛するほどさらけ出すのが怖くなる本当の自分……。『パリ、恋人たちの2日間』は、恋するすべての人が一度は直面するであろう問題を、コミカルに、共感度たっぷりに描き出す極上のロマンティック・コメディ。愛すべきカップル、マリオンとジャックの恋の行方に、きっとあなたも目が離せなくなる!

ジュリー・デルピーが監督、脚本、製作、主演、音楽、編集を手がけ、フランスで『ビフォア・サンセット』を超えるスマッシュヒットを記録した会心作。ついに日本上陸。

 本作の魅力は、何といっても登場人物たちの軽快でユニークなダイアローグ。なかでも喜怒哀楽が激しいリベラルなフランス人女性、マリオンと、ネガティブで皮肉屋のアメリカ人ボーイフレンド、ジャックのリズミカルなかけあいの数々は、観客の笑いを誘うに違いない。ちょっぴりシニカルで、リアリティ溢れる脚本を手がけたのは、『ゴダールの探偵』で一躍注目を浴びて以降、着実にキャリアを積んできた演技派女優・ジュリー・デルピー。リチャード・リンクレイター監督の恋愛映画の傑作『ビフォア・サンセット』の脚本で、アカデミー賞脚色賞にノミネートされた彼女は、本作でも、セックス、カルチャー、そして政治とさまざまなトピックを、ウィットに富んだユーモアで包み込みつつ、登場人物たちの会話に盛り込んでいる。また、アメリカ在住のフランス人女優であるジュリーならではの、カルチャーギャップの描き方も、この作品の見所のひとつだ。
 
 さらに、ジュリーは、脚本のみならず、監督、製作、主演、音楽、編集、そして主題歌まで担当している多彩っぷり。どこをとっても彼女のセンスに溢れた、オリジナルな作品が完成した。本作は、ワールドプレミアが行われたベルリン映画祭で大評判となったほか、各国の批評家からも大絶賛。フランスではすでに、『ビフォア・サンセット』を超える大ヒットを記録しており、本作の成功を受けてジュリーは、ウィリアム・ハート、ヴィンセント・ギャロ共演の次回作を準備中とのこと。今後のますますの活躍が期待される、女性監督の誕生である。

散々なパリの休暇を過ごすボーイフレンド役に、ジュリーの元カレ(?)、アダム・ゴールドバーグ。
さらに、個性的な役者陣が、作品にコミカルな彩りを添えます。

 低予算で作られた本作だけに、ジュリーは気心知れた役者たちをキャスティング。それぞれに役柄をあて書きして、生き生きとした演技を引き出している。カルチャーショックに打ちのめされる可愛そうなジャックを演じるのは、ジュリーとかつて噂になったこともある、『10日間で男を上手にフル方法』『ビューティフル・マインド』の個性派、アダム・ゴールドバーグ。神経質で嫉妬深いジャックを、髭もじゃのルックスでひょうひょうと演じきり、マリオン役のジュリーと絶妙なアンサンブルを見せている。マリオンの父親・ジャノには、ジュリーの実父であるベテラン俳優、アルベール・デルピー。サンタクロースのようなキュートな風貌で、陽気なアナーキストの父親を好演。さらに、天真爛漫キャラのマリオンの母親・アンナ役に、ジュリーの実母で女優のマリー・ピレ。また、マリオンの妹ローズ役を、『ムーンライト・マイル』のアレクシア・ランドーが演じているほか、意外な役柄で、ヨーロッパを代表する若手俳優、ダニエル・ブリュールが出演しているのにも注目!

ストーリー




1:パリ到着
駅に着くなりタクシーがつかまらない。「メトロもバスも嫌だ。ヨーロッパはテロで危ない」というジャック。「パリは大丈夫」というマリオン。そういえばフランスはイスラム原理主義者に味方をしている政府だっけ・・・。タクシー乗り場は観光客でごったがえしている。アメリカ人観光客が、ジャックに「ルーブル美術館はどこ?」と聞いてきた。「すぐそこですよ。近すぎてタクシーも行かない。フランス人は意地悪だからアメリカ人同士助け合わないとね」と答えるジャック。嘘八百を教えたジャックにマリオンは憤慨。しかしジャックは「ブッシュ支持者だし、“ダ・ヴィンチ・コード・ツアー”だぞ。やつらは愚鈍な政治や文化の象徴だ。おかげで順番が早まったじゃないか」と悪びれない。マリオン「なんて意地悪なの。でもその通り。愛してる!」

2:マリオンのアパルトマン
便利だからと両親のアパルトマンの真上に部屋を購入したマリオン。ジャック「プライバシーを守るのにも便利だね」。建物は古く、バスルームの天井はカビだらけ。清潔好きなジャックは気味悪がるが・・・。マリオン「清潔すぎるからアレルギーになるの。100年前は寄生虫だらけでもアレルギーはなかったのよ!」。ジャック「なるほど。フランス人があまりシャワーを浴びないのはそういうワケなんだ」

3:猫のジャン=リュック
ベネチア旅行前にパリの両親に猫ジャン=リュックを預けていたマリオン。NYに帰る機内に持ち込むために絶対太らせないでと言っていたのに、ジャン=リュックは驚異的に太っていた!なんと母アンナは賞味期限ギリギリのフォアグラをたんまりジャン=リュックに与えていたのだ。母親に怒りをぶつけるマリオン。しかし母親は「ひどいわ、2週間も世話したのに!この猫ちゃんが好きなのに・・・」と逆ギレ。争う声を聞いてマリオンの父親のジャノが登場。「一体なんの騒ぎだ!おまえとデブ猫のせいでな、俺たちはバカンスにも行けなかったんだぞ!」。人のいない夏のパリをこよなく愛すマリオンの両親はこの25年間1度も夏にバカンスなんて取ったことがないというのに・・・。

4:食卓
マリオンの両親、マリオン、ジャックでの4人の食事。ジャノは知っているアメリカ人作家をバリバリのフレンチアクセントで並べ立てる。作家話題をなんとかマリオンに阻止させようとするジャックだが、ジャノの話題はフランス人作家へと突入。「ランボオ(ちなみに英語で発音すると“ランボー”と聞こえる)、ボードレールにエミール・ゾラ。そして(いたずらっぽく)オーギュスト・ルノワール!」。ジャック「・・・ルノワールって画家ですよね!(騙そうとした・・・)」。ジャノ「お前がいつも連れてくるマヌケどもよりは頭がいいな」(幸いこの台詞はフランス語ができないジャックには通じていない・・・)。

5:マリオンの元カレたち
道端でマニュという男に会う。どうやらマリオンと付き合っていたらしい。ジャックの存在は完全無視で、じっとマリオンを見つめるマニュ。苛立つジャックはマリオンとちょっとした言い合いに。
ジャック 「あいつ、元カレなの?」
マリオン 「元カレというほどでもないけど、前にちょっとね。フェラしたことがあったかも・・・まぁたいしたことじゃないわ」
ジャック 「たいしたことじゃない ?!」
マリオン 「今、世の中で起こっている出来事—鳥インフルエンザ、イラク戦争、ブッシュ政権—なんかに比べたら、フェラなんてちっぽけなことでしょ?」

6:マリオンの友人宅でのパーティー
いきなり「マリオンの新しい彼氏?」と聞かれてひるむジャック。酔っ払ったフランス人たちが思い思いに持論(しかしすべての話題は下半身にまつわるトピック)をぶつけてくるので落ち着かない。「フランスは変態だらけかも」と感じ始める。
先ほど町でばったりあったマニュが話しかけてきた。
マニュ  「僕とマリオン、昔付き合ってたって聞いた?もう15年も前のことだから。気にするなよ」
ジャック 「OK」
マニュ  「彼女はまだ19歳。僕が彼女に初めてオーガズムを与えたんだ」
ジャック 「GREAT(マリオンが自分にも同じことを言ったことを思い出すジャック)」
マニュ  「でも、本気の恋愛なんかじゃなかったんだよ。兄妹みたいなものさ」
ジャック 「兄と妹でセックスか」
マニュ  「たいしたことじゃない」

7:マリオンのトラウマとなった男
サンマルタン運河のカフェでガエルと再会する。ガエルを見るなりマリオンの様相が変わり、つっかかっていく。
マリオン 「フィリピン旅行は楽しかった?たしかあの旅行のために私を捨てたのよね」
がエル  「やめろよ。フラれた腹いせか?うるさい女はウンザリだ」
マリオン(カフェの客たちに)「ねぇ、彼のタイプ知りたい?私じゃないわ。30女はセクシーじゃないってことよね。彼はね、タイのNGOで働いていたの。彼らを援助するフリして12歳の少女とヤッてたのよ!植民地主義の俗物ヤロー!」
ジャックとマリオンはカフェから追い出される。マリオンとガエルの会話がまるで理解できなかったジャックはただ動揺していた。パリに着いてから、会う男は全員マリオンの元カレなのか !?
ジャック 「元カレと親しいのはたいしたことじゃないんだよな? じゃあこいつとの関係も?」
マリオンが部屋に置き忘れた携帯を出して見せるジャック。そこにはマチューからのエロティックなメッセージが !メールは妹のローズ宛だと主張するマリオン。
マリオン 「裏切ってないわ、信じて。メールは何の意味もない。ここはパリなのよ!」
ジャック 「ここはパリじゃない、地獄だ!」 
そして2人は喧嘩別れしてしまう。

8:パリでの別行動
1人になったジャックは、ファーストフードショップに立ち寄るが、ハンバーガーひとつ注文するのにてこずりイラつくハメに。やっとテーブルに落ち着いたジャックに同席してもいい?と声をかけてきた若い男。ずいぶんストレスが溜まっているみたいだね?と優しく問いかけられ、つい悩みを打ち明けてしまう。
ジャック 「実は恋人がヤリマンだった。何人もの男とセックスを繰り返してたんだ。」「でも僕も本当の自分をさらけ出そうとしなかったかも。彼女の過去を知るのが怖かったのかな・・・」
男 「君の言うこと、よくわかるよ」(と手を握ってきた男。ギョっとするジャック)
男 「僕は妖精なんだ」
ジャック 「・・・(また気違いか?)」
男 「彼女のところへ戻った方がいい。もっと彼女を愛してあげて。きっと君を待っているよ・・・ちょっと失礼」(といってトイレに消える男)
戻ってきた男は「アラームが鳴ったら逃げろ、正義の戦いだ」と言い捨て出て行く。(彼は反グローバリゼーション活動家だった)

マリオンは大好きなパリを再発見していた。荒々しいけど彼女が好きな本当のパリの姿。その日は年に一度の“音楽の日”で、街中賑やかな音楽に溢れている。ジャックもその中に紛れ込んでくるが、2人は出会わない。互いにこのひとときを一緒に過ごせたらいいのに、と思いながら・・・。
2人はこのまま別れてしまうのか、それとも ?

スタッフ

監督・脚本:ジュリー・デルピー

キャスト

ジュリー・デルピー
アダム・ゴールドバーグ
ダニエル・ブリュール
アルベール・デルピー
マリー・ピレ
アレクシア・ランドー
アダン・ホドロフスキー
アレックス・ナオン

LINK

□公式サイト
□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す