2006年/日本/カラー/111分/ 配給:ギャガ・コミュニケーションズ

2007年03月02日よりDVDリリース 2006年8月5日、新宿オスカー、ほか全国順次ロードショー

(C)2006『I am 日本人』製作委員会

公開初日 2006/08/05

配給会社名 0025

解説


70年代は高度経済成長の末期、時代を支えてきた男たちになり代わりウーマンパワーが台頭し始めた時代でした。そんな中、世の男たちに喝を入れるべく登場したのが、森田健作演じる剣道を愛する熱血少年、『おれは男だ!』の主人公です。この人気ドラマは
森田健作の実直なパーソナリティーと相俟って、彼のイメージを《青春の巨匠》として不動のものとしました。その後、森田は青春のパッションを政界にまで注入することとなります。
あれから、35年国際化社会にありながら、アイデンティティを見失いつつある日本人に喝を入れるべく、森田健作は再び、立ち上がりました『lam日本人』は、森田が文部政務次官時代に企画しながらも、資金難から止むなく断念、その後、4億円の製作費を集めて製作に踏み切った念願の作品です。そして、彼の遺伝子を受け継ぐべきヒーロ、いや、ヒロインは、はるかアメリカからやって来た日系3世でした。
エミー・ワタナベは、日本人を父にアメリ力人を母に持つ日系3世。祖父と父から日本の伝統と美徳を説かれてきた彼女は、未だ見ぬ祖国を心から愛していました。日本の大学に留学することになったエミーが、そこで目にしたのは、祖父や父から聞かされた話とはあまりにもかけ離れた現代日本の姿。日本人より日本人らしく振る舞う彼女は、その真っすぐな情熱ゆえに周囲との衝突を招き、時には笑いを、時には共感を呼び起こしていきます。それでも少しずつ、エミーの情熱は人々の心を衝き動かし、やがては若者と大人たちが一丸となって、古きよき伝統の祭を復興させる一大イベントへと昇華していきます。
エミーの目を通して語られるのは、かつて日本人の誰もが抱いていたはずの誇りや、思いやり、敬意です。さらに劇中では、アジア人留学生たちから見た日本人観も語られます。国内外で日本について再考する風潮が高まる今、本作はもう一度そんなテーマを問い掛けています。
製作総指揮・企画・原案を務める森田健作は、そんな思いを大上段から語ることなく、10代のヒロインと若者たちの青春群像に託しました。
主人公のエミーを演じるのはシアトル育ちの森本クリスティーナ。
「彼女の生まれた環境も作品にぴったりだが、それ以上に表情がよかった」と、森田自身が太鼓判を押す逸材。大学進学を機に来日し、モデル活動を続けていた彼女は、本作でスクリーンデビューを果たします。彼女の伯父・宮本健一には森田自身があたり、若きヒロインをサポートしていきます。健一の妹には、ドラマに歌に活躍する小野真弓、町内の仲間たちには、斉藤暁(『踊る大捜査線』シリーズ)、岩本恭生、布施博(『LIMIT OF LOVE海猿』)、エミーの大学の仲間には、渡辺大(『男たちの大和/YAMATO』)、尾野真千子(『リアリズムの宿』)、そして、アメリカロケのパートでは、エミーの父親役・藤岡弘、が、カウボーイにして剣道の達人という父親像を骨太に演じます。さらに、森田の熱い思いに共感した、酒井法子、浅香光代、神山繁が特別出演、森田の心強い兄弟分・京本政樹が大学教授役で友情出演しています。
監督は、今村昌平や北野武の現場を支え、『白い犬とワルツ』でデビューを果メを果たした月野木隆。森田自身が思い陰もの丈を注いだ脚本(西山龍三との共作)を基に、森本クリスティーナの瑞々しい演技を引き出しつつも、彼女を取り巻く人々のドラマも精緻に描いていきます。物語を彩る城之内ミサの清洌なスコアが、観る人の心に爽やかな余韻を残すことでしょう。時代は、『おれは男だ!』から、『私は日本人だ!』へ——『I am日本人』は、《青春の巨匠》森田健作が情熱を振り絞った、日本人のアイデンティティを問う青春映画です!!

ストーリー


『わたしはアメリカ人です。でも、日本が大好き!I amAmerican but—— I am日本人!!』
カリフォルニアに住む日系3世のエミー・ワタナベ(森本クリスティーナ)は、明るく溌刺とした19歳のハイスクール卒業生。牧場を営む日系2世の父・ジョージ(藤岡弘、)とアメリカ人の母に育てられた彼女は、地元ではボランティアで小学生に日本語を教えていた。エミーはハイスクールの卒業と同時に、日本の大学への留学を決意する。それは彼女にとって心の祖国への”帰郷”でもあった。亡き祖父・善次郎(神山繁)が聞かせてくれた日本人の心義理人情に厚く、礼節を重んじ、ワビとサビと大和魂の国、それが、彼女が心に抱く日本であった。
期待に胸を膨らませ、日本の土を踏んだエミー。彼女を迎えてくれたのは、遠い親戚にあたる宮本健一(森田健作)とその妹さおり(小野真弓)、そして町内の仲間たち(斉藤暁、布施博)であった。この日から、エミーは健一の営む八百屋に住むことになった。「隅から隅まで、よろしく御願い奉ります!」歌舞伎のビデオで覚えたにわか仕込みの挨拶と、エミー特製の驚くほど不味い引っ越しそば、彼女の日本生活はこうして幕を開けた。
理想と現実とのズレは、大学の入学式の日に早速、訪れた。講堂に集まった新入生たちは、思い思いに携帯や無駄話にふけり、式に参加している意識すらない。学園生活が始まってみても、まともに講義を聞いている学生も少ない上に、注意する講師をバカにする始末。親からの仕送りに頼っている学生たちは、それが当たり前のように感じている。同じゼミの中山玲子(尾野真千子)は、家柄の良い大学生とコンパで知り合って、玉の輿に乗ることにしか興味がない。
「アンビリーバブル!!」これが、祖父が愛した日本の姿なのだろうか!?社会学科の教授・坂上(京本政樹)の講義中、エミーは学生たちに問い掛ける。日本を愛し、誇りに思う気持はみんなの心の中にあるのか?と。「国民が国を愛する、それは絶対に必要。ファミリーを愛するのと同じ、自分の国を愛せなくて、他の国を理解したり、愛したりは出来ません!」エミーの言葉に、「別に意見はない」「疲れる」などと返す日本人学生に対して、熱い議論を交わすのは、中国からの留学生であった。ただひとり、エミーの言葉に耳を傾けた日本人学生が、近藤洋平(渡辺大)。「真面目なんだな、エミーは。けど、少し肩の力を抜いた方がいいと思うよ」洋平の優しい笑顔に、エミーの気持もほぐされていった。
しかし、エミーの違和感は大学生活だけに留まらなかった。町内でも父親をないがしろにする高校生の娘とエミーは衝突する。「日本なんか、サイテー!!」日本を愛するがゆえに空回りし、周囲と衝突してしまうエミー。その情熱が、健一の心を衝き動かした。彼はかつて情熱を注いだ剣道に再び打ち込みはじめる。祖父や父から剣道を学んだエミーも、竹刀を手にする。日本に失望しているエミーに、健一はこう言う。「俺はこの国を信じてる。だって、俺たちの心のルーツはエミーのおじいちゃんなんだから。いつかエミーにも、きっとわかってもらえる時が来る」熱い胸の裡を語る健一に、エミーは日本に来たもうひとつの理由を語る。それは祖父・善次郎の恩人であり、最愛の女性を探すことであった。
健一の協力でその女性田中時子と出会うエミー。善次郎と時子は互いのことを思い遣りながらも、離れ離れになる運命を辿った。ふたりの別れは、かつてこの町にあった《寿祭》の日であったという。いつかエミーに祭噺子をロずさんで聞かせた善次郎。彼の心の中では、その日の記憶がずっと残っていたのだ。「もっと日本が知りたい、ありのままの日本が」
エミーは、もう一度この町に《寿祭》を復興させようと思い立つ。
社会学科の課外学習として、同じゼミの学生たちにも協力を求めるエミー。日本の伝統文化を守ることは、日本の社会を学ぶことにも繋がるはずだ、と唱えるエミー。彼女の後押しをしてくれたのは、洋平であった。エミーの真っすぐな思いはやがて、他の留学生や玲子をはじめ学生たちひとりひとりの心を動かしていく。
こうして、エミーと学生たち、町内の人々が一丸となっての《寿祭》復興プロジエクトが始動していく。

スタッフ

製作総指揮・企画・原案:森田健作

製作:木下直哉
プロデューサー:細野耕/高橋紀成/伊藤巧
キャスティングプロデューサー:伊東雅子
脚本:西山龍三/森田健作
音楽:城之内ミサ

撮影:栢野直樹(J.S.C.)
照明:渡辺嘉
録音:吉田憲義
美術:稲垣尚夫
装飾:田畑照政
VE:鏡原圭吾(J.S.C.)
編集:川島章正
スクリプター:岩倉みほ子
助監督:城本俊治

主題歌「約束」作詞・作曲・編曲:城之内ミサ 唄:森田健作

監督:月野木隆

製作:I am 日本人製作委員会(株式会社エム・シー・コーポレーション/有限会社インディーズエンタテインメント/株式会社森田事務所)
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
宣伝:ギャガ・コミュニケーションズ/アステア
支援:文化庁

キャスト

森本クリスティーナ

小野真弓
渡辺大

尾野真千子
辻本祐樹
尾関伸嗣
あじゃ
島本麻衣子
ジェイソン チャウ

斉藤暁
深水三章
久保田篤
岩本恭生

三條美紀
京本政樹(友情出演)
酒井法子(特別出演)
浅香光代(特別出演)
神山繁(特別出演)
藤岡弘、(特別出演)

森田健作

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