ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2006

2005年/アメリカ/63分 製作プロダクション・配給:角川ヘラルド映画

2007年05月25日よりDVDリリース 2006年5月27日〜シアター・イメージフォーラムにてレイトショー

公開初日 2006/05/27

配給会社名 0058

解説

新作を発表するたびに世界の注目を浴びる三池崇史監督にとって、『マスターズ・オブ・ホラー/恐-1グランプリ』の一篇『インプリント〜ぽっけえ、きょうてえ〜』は、アメリカ監督デビュー作である。それは、人間の……女の…おぞましい心を華麗な映像美で表現し、静止できぬほどのとてつもない衝撃的な作品である。
「三池さんの『インプリント〜』を観た夜、悪夢をみたほどだったよ」と、『悪魔のいけにえ』(74)のトビー・フーパー監督を震え上がらせたほどだ。
原作は岩井志麻子の短編小説「ぽっけえ、きょうてえ」(角川ホラー文庫刊〉で、第13回山本周五郎賞と第6回日本ホラー小説大賞をW受賞したものの、女郎による怖ろしい一夜の寝物語の特異な設定と、日本の忌まわしき因習を描写しているため、絶対に映像化不可能といわれてきた。だが今までも、『オーディション』(00)や『殺し屋1』(01)などで、映画界のタブーを破壊してきた三池崇史は、原作の精神を抑えながらも、女による陰湿な世界を巧みに表現し、特に正視できぬほどの拷問シーンを盛り込み、美しくも怖ろしい狂乱の世界を現出している。
まず全編英語劇にする制約があるため、原作世界の重要な要素をしめる岡山弁詑りを、機械的な翻訳ではなく、日本語言化りの英語という特異なイントネーションに移し替え、艶のある味わいを生み出すことに成功。
しかも華麗な衣装や美術によって、煌びやかな和テイストを漂わしつつも妖しい雰囲気を醸し出し、かつての日本にありそうでありえなかった、架空の明治を創造している。
脚本には『オーディション』で組んだ天願大介があたり、原作の精神を損なわず大胆に脚色。斬新且つ誇張した虚構の明治の空気を漂わせようと、『御法度』(99)や『クッキー・フォーチュン』(99)等、ワールドワイドで活躍する撮影監督・栗田豊通と、『殺し屋1』や『メゾン・ド・ヒミコ』(05)の北村道子の華麗な衣装により、見事な色彩美を醸成している。寝物語を話す醜い女郎役には、『SAYURl』(05)の好演が光る工藤タ貴、米の文筆家クリス役には、『アンタッチャブル』(87)の悪役が印象に残るビリー・ドラゴがあたり、原作者の岩井志麻子も怖ろしい役柄で特別出演している。
視覚に強烈に焼きつくほどの異様な世界観ながら、三池監督はじめ優秀なスタッフ&キャストによって芸術の域まで高め、早くも国内外でセンセーショナルな話題を呼んでいる。

ストーリー

おそらく、日本の明治時代のある地方・・・アメリカ人文筆家のクリス(ビリー・ドラゴ)は、愛する優しい日本人女性・小桃の行方を求め、日本各地を放浪していた。
彼が川の中にある浮島の遊郭を訪れると、小桃の姿を発見することはできなかったが、客引きを全くせず、薄暗い部屋の奥で座っている、妖しい雰囲気の女郎(工藤夕貴)を指名した。
クリスは一夜を過ごすことになった、その女と話すうち、彼女の醜い素顔を初めて知って驚いた。顔面の右側が上部に引っ張られるように歪んでいて、これでは男のアレを怖気づけさせてしまうに違いない。彼女は哀しい眼をしながら、「ウチの顔、ぼっけえ、きょうてえ(岡山地方の方言で、とても怖いという意味)じゃろ・・・でも、ウチのアソコはしまりがいいと評判なんじゃ」と優しく話し掛けてくる。
やがて女は自らの悲惨な生い立ちと両親のことを語りつつ、クリスが探す小桃のことを話し始めた。女は、小桃を知っているのだ。女郎として売られ、この遊郭にやってきた小桃は、愛する男が、「きっと迎えにくる」との約束を信じ、ひたすら待っていたという。そしてある日、小桃は自殺してしまった。
それを聞かされたクリスは、激しく落ち込んでしまった。だが、その話は果たして真実なのだろうか?まだ恐ろしい夜は、始まったばかりであった・・・。

スタッフ

監督:三池崇史
プロデューサー:井上文雄、ジェニー・ルー・トゥジェンド、ローレン・ワイスマン
共同プロデューサー:中村陽介
ライン・プロデューサー:山本章
原作:岩井志麻子「ぼっけえ、きょうてえ」角川ホラー文庫刊
脚本:天願大介
撮影:栗田豊通
美術:佐々木尚
音楽:コージー・エンドウJr.
照明:金沢正夫
録音:鶴巻仁
音響効果:柴崎憲治
編集:島村泰司
衣装:北村道子
特殊メイク:松井祐一
CGIプロデューサー:坂美佐子

キャスト

工藤夕貴
美知枝
根岸季衣
ビリー・ドラゴ

LINK

□公式サイト
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す