2006年/日本/カラー/102分/ 配給:東映

2010年06月01日よりDVDリリース 2007年05月21日よりDVDリリース 2006年11月11日、全国ロードショー公開

(C)2006「TANNKA」製作委員会

公開初日 2006/11/11

配給会社名 0004

解説


この映画は、女流歌人俵万智の、読売新聞紙上でセンセーションを巻き起こした処女小説「トリアングル」を原作に、女性の心と肉体のゆらめきを美しく映像化する珠玉のラブストーリーです。
大人の愛を呼び起こしてくれるMと、若く初々しい圭の魅力…。ふたつの全く異なった愛の形の中で、仕事に恋に満ち足りた時を過ごしていた薫里は、結婚して家庭に入り、子を生み育てることに女性としての幸福を求める親友の美佳や、未婚の母として生きる女優、大里響子の生き方に触れる中で、心が少しづつ揺れ動いていきます。
薫里を演じるのは、「忍 SHINOBI」など映画、ドラマ、CM、バラエティーと幅広く活躍している黒谷友香。本作が映画初主演作品となる。スタイリッシュなその容姿は、自らの意志に真剣に向き合い忠実に生きようとするヒロイン薫里の姿と見事に重なります。

その薫里に純粋な想いを寄せるヴァイオリニスト圭を初々しく演じるのは、映画「仮面ライダーTHE FIRST」で主役に抜擢された黄川田将也。183cmの長身に、颯爽とした格好よさと少年のような初々しさを併せ持つ期待の成長株。一途で、少し幼さの残る青年を好演しています。そして薫里に大人の恋を手ほどきするMを、存在感たっぷりに演じるのは、「柳生十兵衛七番勝負」「白い巨塔」など、大人の男の魅力あふれる村上弘明。その知的な眼差しは、まさにMの役柄そのものです。
 三人を中心に展開する物語に彩りを添える脇役陣も豪華絢爛。薫里とは対照的な生き方で女性としての幸福を求める親友・美佳役には「千年の恋〜ひかる源氏物語〜」等の中山忍、画家を志した過去を持ち、薫里のよき理解者でもある行きつけのバー『オーク』のママに「極道の妻たち」等の高島礼子、さまざまな蘊蓄を披露しながら人生に対して示唆的な言葉を投げかけるバーの常連客岡本には、久々の映画出演が注目される西郷輝彦、薫里の生きざまに影響を与え彼女の憧れでもある女優・大里響子にNHK大河ドラマ「義経」等の萬田久子など、多彩な顔ぶれが物語にいっそうの深みを与えています。

神秘的で奥深い女性の性を、心と体の両面から表現する手段として、物語の節目ごとに挿入される短歌とベリーダンスが重要な役割を果たしています。
率直な心情の発露として、女性の生の声を伝えながら物語に余韻を残す短歌は、これまでの短歌という形式を超えた、まさに「TANNKA」という表現がふさわしいものです。そして、妖しく燃え上がる女性の官能美(肉体)の象徴として、ベリーダンスが印象的に随所に盛り込まれていきます。そんな女性の心情と官能の変遷を美しく描くことのできる表現者として、本作品では映画初監督の阿木燿子を迎えました。夫・宇崎竜童率いるダウン・タウン・ブギウギ・バンドの「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」で作詞家デビュー。本作品では、夫の宇崎竜童が音楽を担当しています。また「フラメンコ曾根崎心中」で近松文学の世界を、男女の情念のドラマとして見事に現代に再現した彼女のたぐいまれな感性が、既存の映画には見られなかった新たな映像美を紡ぎ出しています。 美しく描かれる薫里の生き方と強さは、等身大の女性像として、多くの女性客の共感を得るに違いありません。

ストーリー




薫里は33才、独身のフリーライター。そのライフスタイルが雑誌に紹介されるなど第一線で活躍し、充実した毎日を送っている。そして、私生活では恋人のカメラマンMと9年越しの仲になる。家庭を持つMとは俗にいう不倫関係なのだが、薫里には彼を独占したいという願望はない。互いに縛られることのない、純粋で自由な関係だ。人生の機微を知り尽くしたかのようなMとの恋を通じ、薫里は精神的にも肉体的にも女性として目覚め成長してきた。

その時々の感情を、薫里は高校時代から続けている短歌に綴るのが常だった。書くことにより、励まされ、いろいろな事に気づかされ、成長してきたと薫里は感じている。
ある夜、行きつけのバーの帰り、ふとしたきっかけで立ち寄ったヴァイオリニストの卵、圭の部屋で、薫里は圭と結ばれる。圭の初々しさに、薫里は魅せられ、Mと平行して二人との関係を続けて行く。

Mが薫里にそうしたように、若く人生経験の浅い圭に、社会常識を教え、経験を積ませていくことに楽しさを見出して行く薫里。
そんなある日、薫里は仕事で大物女優、大里響子を取材する。大里響子は20年前、未婚のまま子供を産んでいた。「父親の名前は永遠に秘密だが、娘はかけがえのない宝物。自分の生きた証。人生も仕事も恋も覚悟が大事」と言い切る響子の生き方に、薫里は深い感銘を受ける。
一方、圭はしだいに薫里を人生のパートナーとして考えるようになっていく。
自由に圭を愛し、自由な立場で仕事をし、またMとの関係も自由でありたいと願う薫里にとって、純粋でまっすぐな圭の自分への想いは、やがて重荷へと変わっていく。

薫里の心を揺らす出来事が重なっていく。
大里響子の23才年下の恋人の存在が発覚。「恋に年齢は関係ないと思います」言い放つ潔さに再び感銘を受ける薫里。
Mは新しくコンビを組んだ薫里の後輩の編集者、桜子の仕事を褒める。平静を装うものの、薫里は沸き上がる嫉妬を感じずにはいられない。その頃、不妊に悩み、いつも薫里に愚痴をこぼしていた親友の美佳がめでたく妊娠した。親友のおめでたを心から祝福しながらも、複雑な気持ちを隠せない薫里。
そんな中、迎えたクリスマス。
薫里のマンションのドアには、クリスマスカードが添えられた二つの紙袋がぶら下がっていた。差出人は圭とM。
揺れる心の中、薫里は一つの結論を出すのだった…。

スタッフ

原作:俵万智「トリアングル」(中公文庫)
監督:阿木耀子
脚本:阿木耀子、岩下悠子

キャスト

黒谷友香
黄川田将也
村上弘明
高島礼子
西郷輝彦
萬田久子
中山忍
本田博太郎

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