2007年/日本/カラー/125分/ 配給:シネカノン

2007年07月27日よりDVDリリース 2007年1月27日、シネカノン有楽町、渋谷シネ・アミューズほか全国ロードショー

公開初日 2007/01/27

配給会社名 0034

解説


原作は2004年に毎日新聞で連載され話題を博した桐野夏生の同名小説。ささやかな”日常”の中から立ち現れる豊饒な世界を描き出した、桐野作品の新たな代表作である「魂萌え!」(婦人公論文芸賞受賞)の完全映画化である。
「OUT」、「柔らかな頬」、「グロテスク」…これまでの作品世界で描かれた主人公たちの”自立”は強烈だった。だが本作ではこれまでのような”犯罪”が出てくるわけではなく、主人公は世間という小さくて大きな荒波を揺らぎながら漂流し、誰もが直面するかもしれない出来事の細部が丹念に綴られていく。敏子をめぐる日常の変化は決して突飛なものではない。にもかかわらず”劇的”なのだ。

監督は『顔』『KT』の阪本順治。日本映画史上空前の超大作『亡国のイージス』を撮り上げ、次に手にしたのが『魂萌え!』である。本作品は女性を主人公に据え、自ら脚本も手がけるのは『顔』以来6年ぶりとなる阪本が描き出す、もう一つの”女の一生”と言えるだろう。

主人公の関口敏子には幅広い演技力と、魅力的な大人の女優の代表格として、多くの映画やドラマで活躍する風吹ジュン。相対峙する”夫の女”伊藤昭子に日本映画界を代表する女優の一人としてトップを走り続ける三田佳子。ほかに加藤治子、豊川悦司、常盤貴子、田中哲司、寺尾聰など名実揃った俳優たちが顔を揃えた。

音楽は阪本作品『顔』で主人公の喜怒哀楽をアコーディオンの軽やかでいて叙情あぶれる音に乗せて描き、その年の日本アカデミー賞最優秀賞を受賞したアコーディオニストであり作曲家のcoba。本作で阪本と『顔』以来2度目のコラボレーションが実現。その
音色がふたたび一人の女の足取りを軽やかに彩るだろう。

・・・「2007年問題」。それは団塊の世代が定年を迎えはじめる問題である。『魂萌え!』は、定年後を生き抜かなければならない夫と妻、その家族をめぐる「2007年問題」を鮮やかにすくいとると同時に、人生の荒波を逞しく生き抜いていこうとする人々への示唆に満ちている。

ストーリー




とことん行きなさい!

夫の急死後、世間という荒波を漂流する主婦・敏子。
六十歳を前にして、惑う心は何処へ?

定年を迎え夫婦ふたりで平穏な生活を送っていた関ロ敏子、59歳。63歳の夫・隆之が心臓麻痺で急死し、敏子の人生は一変する。亡くなった夫の携帯電話にかかってきた見知らぬ女性からの電話。8年ぶりに現れ強引に同居を迫る長男・彰之。長女・美保を巻き込み持ちあがる相続問題。
世間知らずの専業主婦。夫に裏切られていることに気付かなかった貞淑な妻。大切に育て上げた子どもたちに顧みられなくなった母。
「年齢を経れば経るほど成熟し、迷いのない人生を送ることができる、と漠然と信じていたが、今が最も思い惑っている気がする。人生は、ままならない。」(原作より)
矢継ぎ早に迫ってくる孤独や不安に、敏子は恐る恐るではあるけれど立ち向かって行く。夫の女との戦いに挑み、息子との諄いに毅然と向き合う。家を飛び出しカプセルホテルに初めて泊まり、亡き夫の友人たちとの交流に戸惑い、何かにつけ干渉する古い女友達の本音に一喜一憂する。携帯電話を買い、スケジュール帳に初めて自分のスケジュールを書き込む。
妻でもない母でもない一人の女として、新たな人生を切り開く決意を固める敏子。世間と格闘しながら、もうひとつの人生を見つけ、確かな変貌を遂げていく…。

スタッフ

監督:阪本順治
原作:桐野夏生

キャスト

風吹ジュン
三田佳子
加藤治子

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