原題:Jump! Boys/翻滾吧!男孩

表彰台の一番高いところを目指して、 アザだらけの“ジャンプ!ボーイズ”は突き進む!

金馬賞ドキュメンタリー部門 最優秀賞受賞 福岡アジアフォーカス上映 釜山映画祭上映

2004年/台湾/カラー/35mm/ドルビー・デジタル/84分/ヴィスタサイズ 配給:東京テアトル

2007年02月02日よりDVDリリース 2006年7月15日、シネスイッチ銀座にてロードショー

公開初日 2006/07/15

配給会社名 0049

解説


2005年初夏の台湾で、「元気になれる映画」と話題になった、1本のドキュメンタリー映画がある。
 台湾東部に住む幼稚園児から小学2年生までの少年7人が、熱血:コーチとともに全国体操大会を目指す姿
を追った『ジャンプ!ボーイズ』が、それだ。台湾で国産映画がヒットすることが.それもドキュメンタリー映画がヒットするなんて、快挙といっていい出来事。『ジャンプ!ボーイズ』は3ヶ月のロングランとなり、全国の学校でも上映されたりと、大きな話題になった。2005年台湾映画公開作品として興行成績5位、ドキュメンタリー部門では1位の成績を獲得した。
 『ジャンプ!ボーイズ』の魅力は、なんといっても元気いっぱいに動き回り、悔しさと痛さに泣く7人の少年たち。
「オリンピックに出たい!」と将来の目標を高く掲げ、そのためには努力を惜しまない。少しでも高く跳び、少しでもきれいに着地を決めたい。ひとつのことに夢中になる彼らの健気な姿は、台湾中を爽やかな感動の渦に巻き込んだ。大人たちは挫折や限界を知らない7人の姿に自分の幼いころを重ね,子供たちは自分よりも小さな少年たちが軽々と宙返りを決める姿に憧れたという。そして、ワンパク盛りの7人を時に厳しく、時に笑顔で見守るコーチの林育信は篤いまやコーチの鏡として台湾で引っ張りだこに。実力派かつ、イケメンゆえ追っかけが登場したとか…。
 そして、日本に”ジャンプ!ブ一ム”がやってくる。”熱くなるのは恥ずかしい”という風潮が蔓延する日本でも、素直でたくましくて、ちょっぴり泣き虫な小さな7人が一心不乱に頂点を目指す姿は胸を打つだろう。そして、日本の子供たちも、7人のがむしゃらな姿に、明るい未来を夢見る力を思い出すかもしれない。 公正小学校の体操クラブでは、10月の全国大会に向けて猛練習中だ。テレビゲームもマクドナルドもお預けで、月曜から土曜日まで毎日練習に明け暮れる7人の少年たちが登場する。キャプテンの靖、チームナンバー1の実力を持つ克強、彼の良きライバル智凱、新米兄弟コンビの小軒&泣き虫小恩、引っ込み思案で天才肌の信志、甘えん坊で優柔不断な育銘だ。7人の脚はアイス小豆バーのようにアザだらけ。林コーチと一対一で行う恐怖のストレッチや、失敗すると逆立ちの刑にさらされても.7人は逃げ出さない。歯を食いしばり、難易度の高い技に果敢に挑戦していく。夢のために子供らしい遊びを我慢していても,7人に悲壮感はない。林コーチのようにかっこよく宙を舞いたい、その一心で、少年たちは厳しい練習に耐え楽しんでいるのだ。 個性豊かな面々を率いるのが、アジア大会の元金メダリスト、林コーチ、33歳。「オリンピック選手を育成することが使命」と語る林コーチは、あの手この手で少年たちを大会に集中させる。アメで子供たちの闘争心に火をつけ、愛のムチで体操の極意を諭す。子供への深い愛情と理解がなければできない、プロの仕事ぶりを見せつけてくれる。 監督は、本作初の長編映画となる林育賢だ。実は、林コーチの実弟である。幼い頃,運動神経抜群の兄に憧れながらも、体操の道には進ませてもらえなかった苦い思い出がある。台北でコマーシャルやミュージックビデオのディレクターとして活躍していたある時、兄と教え子の練習風景を見学。そして、兄の小学生時代の集合写真を偶然発見したことから、『ジャンプ!ボーイズ』の製作を決意したという。撮影前に子供たちと打ち解けるための準備期間に半年を、撮影には1年半をかけた。『ジャンプ!ボーイズ』の大成功により、林監督には台湾中の拳法、水泳、空手などの団体からドキュメンタリー撮影のオファーが殺到したという。 『ジャンプ!ボーイズ』では目標に向けて、がむしゃらに努力することの大切さが描かれている。少年たちの頑固な姿は今、ブームの昭和30年代と重ならないだろうか。技の取得には時間も手間もかかるし、ケガも付き物だ。それでも、少しの失敗でもあきらめずに上を向いていれば、いつかきっと成功できる…。がんばった分だけ上に行ける…。”努力したって結果はわかっている”と端から挑戦を遠ざけ、諦観すら漂う日本の若者や子供たち。効率と合理化を求められ、消耗してしまった大人たち。『ジャンプ!ボーイズ』の天真欄漫な笑顔は,日本を覆う暗い空気を吹き飛ばすだろう。子供が主人公のかわいいドキュメンタリーと侮るなかれ。これは元気と少しの感動を分けてくれるパワフルな1本なのだ。

ストーリー




時は2003年夏。台湾の地方都市、羅東鎮の公正小学校には、放課後になると体操選手として練習を積む子供たちがいる。運動能力に優れていると見初められると選抜体操クラブに入部できるのだ。そして今、10月に行われるジュニア体操全国大会に向けて、子供たちは猛特訓の毎日を送っている。トレーニングは月曜日から土曜日までの週6日。長いときで1日6〜7時間も練習するという。あどけなさの残る子供たちを指導するのは、アジア大会の金メダリスト、林育信、33歳。現役引退後は、将来の金メダリストを育成するべく、母校で体操のコーチになった。
授業が終わるど、すぐに練習が始まる。体の大きな上級生に混じって準備運動を始めたのは、7人の小さな男の子たちだ。パタパタと体育館の中を走り、逆立ち、背筋、ストレッチを入念にする。仕上げは、林コーチと一対一で行う、恐怖のストレッチ。壁に体の側面をペタリとつけて、脚を180度上げるのだ!最年少の小恩が痛さに泣いても、鬼のコーチは手加減しない。手を抜けば、即ケガにつながると経験上知っているからだ。小恩がべそをかく姿に、年上の仲間たちは励まし、からかい、慰める。もちろん、誰もがストレッチのあとは、痛さに脚を引きずるのだが…。
ストレッチが終わると、本格的な練習が始まる。体操競技にはゆか、鉄棒、跳馬、あん馬、つり輪、平行棒の6種類があり、これらすべての種目を大会で披露することになる。昨年優勝を逃した林コーチは、今年こそはと情熱を燃やしている。勢い、子供たちへの指導も厳しくなり、練習量も増えるが、7人は時に真剣な眼差しで技に挑み、時に仲間の失敗にケラケラと笑ったりと屈託がない。
週に1度、林コーチは全員の到達度を調べるために模擬試合を行う。子供たちのやる気に火をつけるため、コ一チは試合前の子供たちに賞品を見せる。1位は豪華なお菓子、そして最下位はキャラメル1箱だ。「がんばれば、ほしいお菓子がもらえるぞ!」コーチは励ます。お菓子を前にした子供たちはコーチの作戦にまんまと引っかかり、目の色を変える。飴と鞭の言葉通り、コーチは子供たちの心を引っ張っていくのだ。
いざ、試合開始! ゆかでは小さな体が宙を舞い、見事に着地を決める。次はあん馬。クルクルと回る子、バランスを崩しあん馬から落ちる子もいる。経験の浅い小軒は”ミスター2点”と呼ばれ、一回りがやっと。それでも腐らずに最後まで演技を続ける。つり輪、平行棒、跳馬、鉄棒と演技は続く。着地ポーズのかっこ悪さにみんなが笑えば、コ一チもヨレヨレの着地ポーズを真似して笑いをとったり、着地で動いた子には「ヘタに動けば減点。動かずに一礼しろ」とピシャリと指導したりと、子供の集中力を保つために大忙しだ。
試合の後の総評で、練習のほうが出来が良いと叱られて、チームがシュンとなったのもつかの間。順位が発表されると子供たちはソワソワしだす。1位は常連の克強、2位はライバルの智凱、3位はキャプテンの靖と続き、7位は万年ビリの小恩。キャラメルしかもらえないと悔し泣きするのも、いつもの光景だ。
カメラは子供たちの普段の様子にもスポットを当てる。母が働く市場で遊ぶ智凱。父の期待を背負う克強。甘えん坊で優柔不断な育銘。家にも練習用のつり輪の練習台を作ってもらい大喜びの信志。チーム唯一の兄弟、兄・小軒と弟・小恩の兄弟愛。練習の厳しさに何度も脱走を図った靖。
林コーチの体操人生も明かされる。内気な小学生時代に、芝居で見た宙返りに憧れて体操の道に入ったという。練習中に頭を打ち、記憶喪失になったこともある。家業を継ぐために体操から離れた2年半は、悪さばかりする不良少年に落ちぶれてしまったと告白する。今の生活があるのは、体操のおかげ。子供たちをオリンピックに通用する体操選手に育て上げるのが、自分の使命と胸を張る林コーチ。
大会前日。幼稚園児の小恩を除いた一行はバスで会場の高雄へ向かう。会場には去年の優勝校のライバルたちがすでに練習を始めていた。「場所に左右されるな」と林コーチは言うものの、子供たちは緊張気味。普段はクールなコーチも口数が増え、技を失敗した子に厳しい罰を与える。
大会当日。応援にやってきた家族の期待を背に、6人の子供たちはおそろいの体操服で競技に挑む!!

スタッフ

監督:リン・ユゥシェン
製作総指揮:ポン・リーフア/ワン・イングオ
製作:リン・ユゥシェン/チュアン・チンシェン
助監督:ジェニー・レイ
撮影:リン・ユゥシェン/チュアン・チンシェン
編集:ディン・チェンウェン/リン・ユゥシェン
特殊効果:フーゾンカン
アニメーション・グラフィック・デザイン:エコー
スチール撮影:ジェニー・レイ
制作助手:ジェロミー・ヤン
音楽:ジェフリー・チェン

キャスト

林育信
黄靖
黄克強
李智凱
謝享軒
李享恩
林信志
楊育銘

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