連載中から話題の渡辺文学、早くも映画化!

2007年/日本 配給:東宝

2007年09月27日よりDVDリリース 2007年07月27日よりDVDリリース 2007年07月13日よりDVDリリース 2007年1月13日、日劇PLEXほかにてロードショー

(C)2007「愛の流刑地」製作委員会

公開初日 2007/01/13

配給会社名 0001

解説


ある朝ひとりの男が逮捕された。情事の果てに女性を絞殺したのだ。男の名は村尾菊治。被害者の名前は入江冬香。菊治はかつて恋愛小説の旗手として注目された作家だったが、今では世間から忘れられた存在だった。「愛しているから殺した」−−事件を担当する女性検事・織部美雪は、菊治の言葉に困惑しながらも真相を探っていく。
菊治は自分のファンであるという人妻・冬香に出会い、恋に落ちた。愛されることを知らずに生きてきた冬香。逢瀬のたびに心と躰を烈しく求め合うふたり。そして「首を絞めて欲しい」という冬香の求めに応じ、菊治は冬香を殺めてしまう。「なぜ男は女を殺したのか、そしてなぜ女は史を望んだのか」——織部はこの疑問を抱えたまま裁判の時を迎える。そして法廷の扉が開かれた。今、愛と死の真相があきらかになる。

原作は、ベストセラー作家渡辺淳一が、男と女の根源的な相違をテーマに、深遠な愛を描いた恋愛小説『愛の流刑地』。04年11月から06年1月まで、日本経済新聞で連載された同作は、読者である経営者、サラリーマン、そしてOLの間で「朝の話題は愛ルケから」が広まる一方、その過激さゆえ、賛否両論を巻き起こすなど、まさに日本中を『愛ルケ』現象で覆いつくした。

原作では、主人公・菊治の視線で、出会い〜冬香の死〜裁判と時系列で描写されたが、映画では冒頭、衝撃的な“冬香の死”から物語がはじまる。逮捕され、取調べを受ける菊治は、冬香と過ごした日々をひとつひとつ思いだしていく。現実と回想が入り混じる中、菊治同様、観客は、冬香の清冽な思いを知り、ふたりの愛の真実を目の当たりにすることになる。男はどこまで女を愛せたのか。女はどこまで男を愛したのか。映画『愛の流刑地』は、愛の果てに辿り着ける、男と女の“至高の純愛”を描く、現代を生きる女性必見のラブストーリーである。

監督・脚本は、鶴橋康夫。1962年読売テレビ入社、以後一貫してドラマ演出を手がけ、『永遠の仔』、『砦なき者』などテレビ史に燦然と輝く作品を数多く世に送り出した。
渡辺文学の映像化は、75年『野わけ』以来2度目となる。叫びと沈黙、滑稽と悲惨、真面目といい加減が混在するその演出は映像の魔術師と謳われる。ドラマ演出歴40年以上のキャリアにして、日本映画界待望の映画監督第1作となる。

主人公・村尾菊治役に、豊川悦司、入江冬香役に、寺島しのぶ。映画界を代表するトップスターのふたりが、文字どおり全身全霊を込めて、“菊治と冬香”の愛の軌跡を熱演する。さらに本作では、ふたりを取り巻く様々な人間模様を映し出す、多彩かつ重厚なキャスティングが実現した。菊治の罪を追及する女検事・織部美雪役に、長谷川京子。法によって菊治を裁く立場でありながら、自分の過去にこの事件を重ね合わせ、しだいに冬香に共感してゆく。冬香の夫・入江徹役に仲村トオル。菊治を逮捕し、取調べる刑事・脇田役に、佐藤浩市。菊治の弁護士・北岡役に、陣内孝則。菊治と冬香を引き合わせた冬香の友人・魚住祥子役に、浅田美代子。織部美雪の上司の検事副部長・稲葉役に、佐々木蔵之介。菊治の娘・村尾高子役に、貫治谷しほり。脇田刑事の同僚・関口役に、松重豊。菊治を裁く裁判長・久世役に、本田博太郎。菊治の良き相談相手であるバーのママ・菊池麻子役に、余貴美子。さらに冬香の母親・木村文江役に、富司純子。寺島しのぶとの共演は、映画「待合室」に続き2度目だが、実の母娘を演じるのは初めてである。そして、菊治の良き理解者である出版社重役・中瀬役には、津川雅彦が扮している。

鬼才・鶴橋康夫監督が描く、かつてない大人のラブストーリーにご期待ください。

ストーリー




「本当に愛しているなら、私を殺して」。夏の日の明け方、都内マンションの一室。女の声がする。声に誘われるように、男は女の首に手をかけた。何かが折れる鈍い音。そして女な息絶えた・・・。
 男は村尾菊治(45)。かつてはベストセラー作家として名を馳せたが、最近は新作を発表することもなく、妻子とも別居し、大学の講師や雑誌のアンカーマンをしながら細々と生活している。女は入江冬香(32)。見合いで結婚したエリートサラリーマンの夫と3人の子どもと、一見何の不自由もない幸せな生活を送っていた。しかし、何かにせきたてられるような焦燥感を常に感じている。
 男は何故、女を殺めたのか。

 前年の秋、菊治は取材で訪れた京都で、元編集者の魚住祥子から、自著の愛読者である冬香を紹介された。控え目でありつつも、越中のおわら節を連想させる冬香の艶めいた仕草は、東京へ戻った後も菊治の心を捉えて離さなかった。京都で再会する二人。菊治は新しい恋愛小説を書くこと、書いたら最初に冬香に見せることを約束する。冬香との初めての接吻に年甲斐もなく心ときめく菊治。

 ほどなくして二人は京都のホテルで密会を重ねるようになる。最初は戸惑っていた冬香だが、次第に大胆になっていく。
 子どものいる冬香が比較的自由になれる午前中の、二時間足らずの逢瀬のために、早朝の新幹線で京都へ向かう菊治。そんな菊治に、元上司で出版社の重役・中瀬は半ば呆れつつも「よい恋愛小説を書く契機になるのでは」と言う。その言葉どおり、菊治は冬香に出会ってから久々の新作『虚無と熱情』の執筆に身を入れる。

 正月。故郷・富山に規制していた冬香が東京の菊治のマンションを訪れた。「どこまで行ってしまうのか・・・自分が恐いくらい」。憑かれたような顔の冬香を、菊治は抱きしめる。夫の転勤に伴い、三月から東京へ引っ越すことを告げる冬香。「逢う気になれば、毎日だって逢えるんだ・・・」。菊治は小説の執筆にさらに熱中する。

 春。菊治のマンションの沿線に冬香が引っ越してきたことで、ますますの逢瀬を重ねる二人。冬香はどんどん妖艶になっていく。菊治の馴染みのバーのママ・麻子はもっともらしく微笑む。「女は二種類いるの。それを知っている女と、そうでない女」。

 冬香の誕生日、二人は箱根へ一泊旅行に出かける。ワインで乾杯した後、冬香がつぶやく。「今まで生きてきた中で、今日が一番幸せ。もう、死んでもいいくらい・・・」。
 その晩、激しい情事の途中で、冬香は「お願い殺して。首を絞めて」と菊治に懇願する。言われるまま、喉元に手を伸ばす菊治。気を失ったように見えた冬香目覚め、つぶやく。「意気地なし。どうして、殺してくれなかったの・・・」。冬香の言葉が菊治の胸に刺さる。

 そして、盛夏。花火見物の夜を迎えた。菊治が冬香の訴えを聞いて彼女の首を絞めたのは、その夜が明ける頃だった・・・。部屋には冬香の絶賛とは裏腹に出版社に受け入れられなかった完成したばかりの新作『虚無と熱情』の原稿と、愛の記録の入ったボイスレコーダーが残された。

 身も心も燃やした愛の果てに訪れた死。
 自首した菊治を待っていたのは、刑事や検察の執拗な取調べだった。愛した女性の「殺して」との望みを聞き入れたかった。と訴えても、「言い逃れ」と指摘される菊治。
 担当の女性検事・織部は菊治を取り調べる立場でありながら、どこか冬香の気持ちに共感を持ちはじめる。
 一方、菊池の弁護人の北岡は菊治のボイスレコーダーに注目し、その存在を公にすることで、この事件は冬香が菊治に殺害を依頼した“嘱託殺人”であることを争点にしようと菊治に持ちかける。嘱託殺人は殺人に比べると刑が軽くなる、と説得されるが、菊治の心はどこか置き去りだった。

 「わたし、死んでもいいぐらい・・・幸せです」。ある晩の冬香のもらした一言がボイスレコーダーに残っていた。何度も撒き戻して聞き続ける織部。
 秋、菊治の裁判が開廷する。傍聴席には菊治の別れた妻子、冬香の夫、冬香の実母、菊治の逮捕後に『虚無と熱情』の出版を決めた中瀬、バーのママ・麻子、菊治に冬香を紹介した祥子らの姿があった。
 菊治の行為は故意か、過失か。ボイスレコーダーは何を証明するのか。菊治の愛を法はどう裁くのか。そもそも冬香は何故「殺して」と言ったのか。
運命の裁判が幕を開けようとしていた・・・。

スタッフ

監督・脚本:鶴橋康夫
原作:渡辺淳一(「愛の流刑地」幻冬舎・刊)
音楽:大島ミチル
製作:東宝映画 富山省吾
プロデューサー:市川 南、大浦俊将、泰 佑子
製作プロダクション統括:金澤清美
音楽プロデューサー:岩瀬政雄
撮影:村瀬清、鈴木富夫
映像:岩澤英二
美術:部谷京子
録音:甲斐 匡
照明:藤原武夫
編集:山田宏司
助監督:酒井直人
製作担当:傅野貴之

キャスト

村岡菊治/豊川悦司
入江冬香/寺島しのぶ
織部美雪/長谷川京子
入江 徹/仲村トオル
脇田俊正/佐藤浩市
北岡文弥/陣内孝則
魚住祥子/浅田美代子
稲葉喜重/佐々木蔵之介
村尾高子/貫地谷しほり
関口重和/松重 豊
久世泰西/本田博太郎
菊池麻子/余貴美子
木村文江/冨司純子
中瀬 宏/津川雅彦

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