2007年/日本/カラー/100分 配給:日活

2007年08月03日よりDVDリリース 2007年1月27日、シネマスクエアとうきゅうにてロードショー

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公開初日 2007/01/27

配給会社名 0006

解説




漱石から100年目の挑戦状
「余は吾文を以て百代の後に伝えんと欲する野心家なり」
(1906年10月22日森田草平宛書簡より)

「こんな夢を見た」——明治の文豪・夏目漱石が、明治41年(1908年)、41歳のときに発表した異色の短編小説「夢十夜」。不条理で幻想的な十の夢を描いたこの作品は、「吾輩は猫である」や「坊っちゃん」といった作品とはまた違った魅力を放ち、知る人ぞ知る人気を誇っている。このミステリアスな傑作を、巨匠から俊英まで、10人の天才監督たちが独自に解釈し映画化。かつて漱石は、自分の作品が理解されるには永い年月がかかるだろうと予言していた。その意味深な挑戦状から100年目の今年、漱石に10人の天才監督たちが挑み、ここに豪華絢爛迷宮エンターテインメントが誕生した!
これが漱石?こんなのアリ!?という意外性にあふれ、バラエティに富んだ『ユメ十夜』は、単なる文学の映画化とはひと味もふた味も違う1本に仕上がっている。
それは原作ファンも、原作を知らない観客も、思わず引き込まれる夢の世界。10人の監督たちが、どのように漱石の夢を紐解いたのか。一夜一夜が漱石への挑戦であると同時に、十人十色の監督たちが織りなす豪華バトルなのだ!
メガホンをとったのは、実相寺昭雄や市川崑といった日本が誇る巨匠から、多方面で活躍する松尾スズキ、ハリウッドにJホラーの嵐を巻き起こした清水崇、注目の若手女流監督・西川美和まで、ありえないような豪華な顔ぶれが実現。それぞれが個性豊かでイマジネーションあふれる世界を生み出している。そんな監督たちの世界を彩るのは、小泉今日子、香椎由宇、阿部サダヲ、松山ケンイチ、本上まなみなど、日本映画界に欠かせない俳優たち。彼らが見せる、あっと驚くような姿にも目が離せない。
また、注目のシンガー、山田タマルの曲が、エンディングをさわやかに締めくくっている。
漱石が遙か未来に投げかけた謎……。現代の私たちは、果たしてその華麗な謎を解き明かすことができるのか!?

ストーリー









「第一夜」
作家の百聞と妻のツグミは、根津権現裏の家で平穏に暮らしていた。ツグミは土間の茶店で働いており、百聞は机に向かっているが、なかなか筆が進まない。そればかりか、時間が遡っているような感覚を覚える。やがてツグミは静かに着物を脱いで横たわり、「百年可愛がってくれたんだから、もう百年、待っててくれますか?」と言い残し、消え入るように死んでしまう…。名演出家で作家の久世光彦の脚本による、百年の時を越えた男女の愛。

「第二夜」
男がうす暗い部屋に入って座ると、いつの間にか和尚がいる。そして男は自分が侍だったことに気付く。「侍なら悟れぬはずはない」という和尚に挑発され、懸命に悟りを得ようとする侍。しかし一向に悟りはやってこない。それでも侍は、時計が次の刻を打つ前に悟りを得て、和尚の首をとろう、それができなければ死のう、と決意する。そんな侍を嘲笑うかのような和尚に、侍はしだいに殺気を募らせていくが…。煩悶する侍の苦悩をアイロニカルに描く。

「第三夜」

「第四夜」
田舎町に講演にやってきた漱石。「町民会館前」でバスを降りたはずが、そこは「面影町四丁目」だった。”神隠し”があるというその町で、「見ててみ、見ててみ、蛇になるから!」と叫ぶ老人のあとを、子供達が歌いながらついていく。つられて漱石もあとをつけると、そこはどこか見覚えのある町だった。やがて少年の頃に出会った、ある少女との淡くせつない記憶がよみがえってくるのだった…。思い出の世界に迷い込んだ漱石の夢を、ノスタルジックに描く。

「第五夜」
真砂子が鳴り響く電話の音で目を覚ますと、聞き覚えのある声がこう告げる。「夜が明けて、鶏が鳴くまで待つ…」。夫の庄太郎の身を案じる真砂子。リビングには、いるはずのない男と子供がおり、さらに不気味な姿の天探女(あまのじゃく)が現れる。真砂子は恐怖のあまり、天探女をゴルフクラブで殴りつける。そして馬に乗り、夜明けまでに間に合うようにと、庄太郎のもとへ疾走するが…。過去と現在、悪夢と現実がミステリアスに交錯する。

「第六夜」
運慶が仁王像の頭(かしら)を彫るというので、見物人が集まってくる。現れた運慶は、唐突にブレイクダンスを踊り始める。それは、木の中に埋まっている形を彫り出す、斬新な彫り方だった。完成した仁王に、見物人だちは感嘆の声をあげる。自分にもできるのではないかと思った男は、家に帰って挑戦してみるが…。運慶に扮するのは、ストリートダンサーで、振り付け師でもあるTOZAWA。スタイリッシュな映像が冴え渡る、遊び心満載の逸品。

「第七夜」
旅人が巨大な船に乗っているが、どこへ向かっているのかもわからない。ひどい孤独感を感じ、いっそ死のうかと思っていると、甲板で少女に出会う。彼女も不安を抱えているようだった。突然、少女の姿が消え、旅人が船の奥まで進んでいくと、賑やかなサロンで彼女はピアノを弾き、隣では男が歌を歌っていた。違和感を感じた旅人は再び甲板に出て、大海に身を投じる…。精巧な3D-CGアニメーションで、人間の孤独と寂寥感を幻想的に描き出す。

「第八夜」
子供達が田んぼで遊んでいると、その中のひとりミツが、チューブ状の不思議な生物を捕まえる。ミツは10メートル以上もあるその巨大な生物を家に持ち帰り、リキと名付ける。一方、ミツの祖父、正造が二段ベッドに横になり、枕元から取り出したものは…。まっさらな原稿用紙を前に考え込む漱石の頭の中には、さまざまなイメージが浮かぶのだった。漫画家の長尾謙一郎脚本による、ナンセンスなユーモアと奔放なイメージの応酬。

「第九夜」
幼い坊と母を残して、父は出征していった。夜、神社の境内に連れて行かれた坊は、母がお参りをしているあいだ、待っていなければならない。母は何度も手を合わせ、お百度を踏んでいるようだ。だが坊が拝殿の扉を開けて覗き込んでみると、そこには戦地の父の姿があった。坊は母を呼ぼうと、鈴の紐をつかんでガラガラと振り、さらに紐によじ登って鈴を鳴らすが…。どこかへ行ってしまった父を想う母と子を、叙情的に描き出す。

「第十夜」
町一番の色男・庄太郎は、美女に目がないが、ブスは死んで当然と思っている非道な男。そんな庄太郎が、死にそうになって帰ってくる。庄太郎の話はこうだ。数日前、目の覚めるような美女よし乃について行くと、なぜか「豚丼」しかない食堂に案内された。あまりの旨さに、豚丼を次々とたいらげる庄太郎だったが、その作り方は、世にもおぞましいものだった。やがて、よし乃が本来の姿を現す…。監督がリスペクトする漫画家、漫☆画太郎脚色の怪作。

スタッフ

原作:夏目漱石
「第一夜」
監督;実相寺昭雄
脚本:久世光彦
「第二夜」
監督:市川崑
脚本:柳谷治
「第三夜」
監督:清水崇
「第四夜」
監督:清水厚
脚本:猪爪慎一
「第五夜」
監督・脚本:豊島圭介
「第六夜」
監督・脚本:松尾スズキ
「第七夜」
監督:天野喜孝、河原真明
「第八夜」
監督:山下敦弘
脚本:長尾謙一郎
「第九夜」
監督・脚本:西川美和
「第十夜」
監督:山口雄大
脚本:山口雄大、加藤淳也
脚色:漫☆画太郎

キャスト

「第一夜」
小泉今日子
松尾スズキ
寺田農
「第二夜」
うじきつよし
中村梅之助
「第四夜」
山本耕史
品川徹
「第五夜」
市川実日子
大倉孝二
「第六夜」
阿部サダヲ
TOZAWA
石原良純
「第七夜」
sascha
秀島史香
「第八夜」
藤岡弘、
山本浩司
「第九夜」
緒川たまき
ピエール瀧
「第十夜」
松山ケンイチ
本上まなみ
石坂浩二

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