2004/カラー/75分 配給:Rucksack-man

2005年7/16(土)〜7/29(金)シネマアートン下北沢にて2週間限定レイトショー

公開初日 2005/07/16

公開終了日 2005/07/29

配給会社名 0646

解説

 <次世代を担う映像作家>山口智待望の長編デビュー作。

2001年、短編映画『きれいにするとこからはじめよう。』でデビューし、一躍注目の若手監督にあげられた山口智。日常に消えてしまいそうなせつなさをすくい取る感覚を評価され、ドイツのハンブルグ国際短編映画祭招待をはじめ、国内外で数々の評価をうけた。雑誌「映画感染」では’21世紀を担うキーパーソンたち’にも選ばれた彼が、再び「生」と「死」を軸に、静かに流れる時間をやわらかな光とともに暖かく描いたのが、初
の長編映画「ユニットバス・シンドローム」である。

 誰の心にも存在する繊細な想いを優しく描きだすせつない物語

別れた彼女との思い出をユニットバスの天井裏に大切に保管するフジモト。この世に未練を残し自殺した幽霊少女シノハラ。そんな二人はある日、友人ダイスケ宅のユニットバスの天井裏で出会う。「忘れられたくない、だからここに居るの。」その言葉に別れた彼女への思いを重ねるフジモト。形は違っても二人が求めているも
のは同じ。それは「自分という存在の意味」。
忙しすぎる日常の中でふと自分について考えてみる。自分がいなくてもきっと世界は進んでいくのだろう。もしそうなら自分の存在の意味とはなんだろう。本作は、そんな誰もが心の片隅に抱き続けている言葉に出来ない不安定な心情を、静かに、そして淡々と優しく描き出す。幽霊映画にありがちなファンタジックな描写は一切使わず、あえて幽霊と人間を同じ目線で描くことで、フジモトとシノハラの抱える想いが「生」と「死」を超えた共通の現象<シンドローム>であることを表現している。まるでそれがすべての人間の<シンドローム>でもあるかのように。
「自分を忘れられる不安」。そんな人間らしさを象徴するせつない思いを、丁寧に繊細に描き出す山口監督は、これが初の長編デビュー作。誰もが共感する思いを、ゆったりとしたテンポで描き、おだやかな雰囲気を醸し出す。映像の鮮やかな色合いとそれを盛り上げる心地よいリズムは、作品に落ち着きをあたえ、観る者すべてを優しく包みこんでくれる。

 透明感あふれる演技と存在感。ブレイク寸前の若手俳優たち

昔の彼女に思いを残すフジモト役を演じるのは、昨今、各分野への活躍が目覚しい演劇界からのネクストブレイク組として筆頭にあがる山中崇。最近では野田秀樹作・演出のNODA・MAP「オイル」「透明人間の蒸気」、いのうえひでのり演出「髑髏城の七人(アオドクロ)」など数々の話題作にも出演。また、「呪怨」で話題の清水崇監督作品「怪談こっちをみないで・・・」「怪猫轢き出し地獄」への主演や、市川準監督最新作「仰げば尊し」に出演など、ますます目が離せない存在。山口智監督はデビュー作「きれいにするとこからはじめよう。」で出会って以来「等身大の苦悩を演じさせたら右に出る役者はいない」と厚い信頼感をよせる。最近ではドコ
モ九州のCMでみせる爽やかさが好感をよんでいる。
そして、幽霊・シノハラを演じるのは、「くりいむレモン」「トニー滝谷」「真夜中の弥次さん喜多さん」など映画やCMで活躍が続く勝俣幸子。本作では透き通るような透明感をだし、物語の雰囲気を見事にだしきった。また共演者も志賀廣太郎、高橋かすみ、鳥居しのぶなどの実力演技派が脇を固め作品を盛り上げる。

ストーリー

 別れた彼女を忘れられないフジモト(山中崇)はユニットバスの天井裏に彼女との思い出を大切に隠し持っている。友人ダイスケ宅で行われた失恋パーティでも、ついユニットバスの天井裏を覗き込んでしまう。するとそこには、別れた彼女にそっくりなシノハラ(勝俣幸子)が座っていた。彼女は、その部屋で自殺したが成仏出来ずに住み着いている幽霊だった。過去に思いを残すシノハラの言葉に別れた彼女への思いを重ねていくフジモト。自分のいない世界でも自分は生き続けているのだろうか。それを確認するかのようにふたりはある行動にでる。自分という存在の意味を確かめるために−

スタッフ

監督・脚本◎山口 智 
プロデューサー◎平林 勉  
撮影◎多田正悟
録音◎森元智典 
助監督◎中澤 佑 
照明・スチール◎良知 暁  
制作主任◎村上智栄
制作◎武藤綾子&奈良井えり  
美術◎小川奈緒子
撮影助手◎西尾直樹&木之本浩平    
制作助手◎中村友紀&伊藤達馬&奥野晋 
編集◎山口 智
音楽◎上野和徳
仕上げ◎三本木久城  

キャスト

フジモト◎山中崇
シノハラ◎勝俣幸子 
ケンタ◎諌山幸冶 
サチ◎大櫛エリカ 
メグ◎藤原よしこ
ダイスケ◎小野ゆたか
小林ケイコ◎鳥居しのぶ 
小林アオイ◎秋元沙織 
篠原弟◎古山憲太郎 
篠原母◎高橋かすみ
篠原父◎志賀廣太郎

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