僕は一生忘れない。 あの春、かけがえのない友達と出会ったことを----

2006年/日本/カラー/108分/ 配給:松竹

2006年08月30日よりDVDリリース 2006年3月18日(土)丸の内ピカデリー2系他全国春休みロードショー

(C)「子ぎつねへレン」フィルムパートナーズ

公開初日 2006/03/18

配給会社名 0003

解説


春の北海道で、東京からやって来た少年・太一は、一匹の子ぎつねに出会った。太一は母親とはぐれた子ぎつねを、放っておくことは出来なかった。子ぎつねの姿に、母親が仕事で忙しく、いつもひとりぼっちで淋しい思いをしている自分を重ね合わせたのだ。太一は母に預けられた森の動物診療所に子ぎつねを連れ帰り、一生懸命に育て始める。その様子を時に厳しく、時に温かく見守る診療所の獣医・矢島。子ぎつねの目と耳が不自由なことに気付いた矢島は、医師としての限界に心を痛める。
「まるでヘレン・ケラーだ」という矢島の一言から太一は子ぎつねに“へレン”と名付け、やがてヘレンは太一にだけは信頼と友情を示すようになるのだが……。

切ない運命を背負いながらも与えられた命を生き抜く子ぎつね、母親を恋しく思いながらも涙を見せないけなげな少年、医師として、親としての生き方を模索する獣医—-彼らが結び合う心の絆を通して、家族の再生と生きることの素晴らしさを描く、最高の感動作が誕生した。原作は、キタキツネの生態調査の第一人者で、傷ついた野生動物の保護・治療・リハビリに取り組み、写真家・エッセイストとしても活躍している竹田津実
の「子ぎつねヘレンがのこしたもの」(偕成社刊)。やさしさに満ちたほのぼのした写真と、生きることの意味を問いかける心に沁みる文章で、実在した目と耳の不自由な子ぎつねと過ごした日々が綴られている。このベストセラーの実話をもとに、新たなオリジナル・ストーリーとして創られたのが、映画『子ぎつねヘレン』なのだ。

太一を演じるのは、TVドラマ「みんな昔は子供だった」で注目された深澤嵐。たった一人の家族である母親と離れて、都会から慣れない土地へやってきた太一が、小さな命の輝きを感じとることで、自身もたくましく成長していく姿を溌剌と演じている。
太一の母親の恋人で、彼を預かる獣医・矢島を演じるのは、「世界の中心で、愛をさけぶ」「解夏」に主演し、今やヒット作には欠かせない存在となった大沢たかお。真っ直ぐすぎる性格のため人付き合いが苦手で、
一見ぶっきらぼうだが、本当は情に厚い矢島を味わい深く演じている。太一の母・律子には、ドラマや舞台で活躍、3年ぶりの映画出演に本作を選んだ松雪泰子。カメラマンとして世界中を駆け回り、側にいられない代
わりに、明るく前向きな生き方を息子に示す魅力的なシングル・マザーに扮している。矢島の娘・美鈴には、「HINOKIO」にも出演、人気急上昇中の若手女優、小林涼子。
その他、矢島の恩師である獣医大学の教授・上原には、映画・テレビなどで多彩な才能を見せる藤村俊二、森に住む謎の老婆には、数多くの舞台に出演し、映画・CMでも活躍中の吉田日出子、派出所の警官には「真夜中の弥次さん喜多さん」「妖怪大戦争」の阿部サダヲ、太一の担任の山口先生には20〜30代の女性に圧倒的な支持を受けるカリスマモデルであり、女優としても活躍中の田波涼子など個性的な顔ぶれが共演。
監督は、「王様のレストラン」「古畑任三郎 すべて閣下の仕業」「白い巨塔」など数多くのヒットドラマを手がける河野圭太。地球に生まれたすべての命を慈しむという原作のテーマを守りつつ、大胆に新たなストー
リーを構築した脚本は、「パコダテ人」「風の絨毯」の今井雅子。撮影は「壬生義士伝」「血と骨」などの日本映画界を代表する名カメラマン、浜田毅。本作では北海道オール・ロケを敢行、さえぎるものが何もない青
い大空、大地の呼吸が聴こえる緑の平原、色鮮やかな花々が咲き誇る原生花園など、美しく壮大な自然をスクリーンに焼き付けた。また、照明を「NIN×NIN忍者ハットリくんTHE MOVIE」の松岡泰彦、美術を「赤い月」「単騎、千里を走る。」の瀬下幸治が手がけている。

ストーリー



ある日、少年は、ひとりぼっちの子ぎつねに出会った。待ち望んだ春の陽射しを浴びて緑に輝く北海道の大地で—-。母ぎつねの姿はどこにもなく、子ぎつねは道端にうずくまったまま動こうとしない。少年は、そんな
子ぎつねを思わず抱き上げる。東京から引っ越してきたばかりの少年の名は太一(深澤嵐)。カメラマンとして世界中を飛び回る母・律子(松雪泰子)に置いていかれ、たった一人で北海道の森の動物診療所に預けられた自分に、ひとりぼっちの子ぎつねの姿を重ねた太一は、思わず話しかける。「お前のお母さんも自由人か?」
妻を亡くして以来、太一が来るまでは中学生になる娘の美鈴(小林涼子)と二人暮らしだった動物診療所の獣医・矢島(大沢たかお)は、律子の恋人だった。矢島と結婚するつもりでいる律子が、ひと足先に8歳の太一を未来の父親に委ねたのだ。しかし、口が悪くて不器用な性格ゆえに人付き合いの苦手な矢島は、太一にもどう接していいのか分からない。美鈴もクールな現代っ子で、3人はどこかギクシャクした毎日を送っていた。
そんな3人の“家族”に、突然太一が連れ帰った子ぎつねが加わった。
「入院費、払えるのか?」太一にそんな憎まれ口をたたきながらも、今までも傷ついた野生動物を保護して治療してきた矢島は、子ぎつねの異変に気付く。矢島が目の前で手をひらひらさせても、音を立てても何の反応も
示さないのだ。「まいったな……。まるでヘレン・ケラーだ」目と耳が不自由らしい子ぎつねに心を痛める矢島の一言から、太一は子ぎつねに“ヘレン”と名づける。矢島の心配をよそに、その日から太一の“サリバン先生”としての活耀が始まった。
獣医としてヘレンに何もしてやれない自分に心ひそかに苛立つ矢島の頭に、“安楽死”という言葉がよぎる。ミルクを飲まないヘレンに、思わず「死んだ方が幸せかもしれない」とロ走ってしまった矢島を、「それでもお医者さんですか!」と激しくなじる太一。ヘレンにとっての幸せはなんだろう?太一の一番の幸せは、お母さんと一緒に暮らすことだった。ヘレンと僕は似ているから、きっとヘレンもお母さんの元へ帰りたいはずだ—-そんな答えに達した太一は、矢島に相談をもちかける。
「成長して体力がつけば、手術を受けられるかもしれない」矢島にそう言われた太一は、まずはヘレンにミルクを飲ませることに挑戦する。匂いのわからないヘレンにとって、ミルクは毒かもしれない液体なのだ。決してあきらめない太一の情熱が伝わったのか、ヘレンはミルクを飲み始めた。
さらに、ヘレンは太一の手から肉も食べ始める。まるで太一の顔が見えるかのように、太一の頬に鼻を寄せて、甘えたような表情を見せるヘレン。
もはやヘレンにとって太一こそが、温かく守ってくれる“お母さん”であり、楽しく語らう“親友”なのだ。いつしか美鈴も、ヘレンの成長を喜び、前向きな太一の姿をやさしく見守るようになっていた。
それから数日後、ついにヘレンの体重が増えた。ヘレンを育てる太一の懸命な姿に心動かされた矢島は、彼の恩師である獣医大学の上原教授(藤村俊二)を熱心に説得し、ヘレンに大学で精密検査を受けさせることにするのだが……。

スタッフ

監督:河野圭太
原作:竹田津実『子ぎつねヘレンがのこしたもの』(偕成社刊)
音楽:西村由紀江
主題歌:レミオロメン「太陽の下」
製作総指揮:迫本淳一
製作:久松猛朗
プロデューサー:石塚慶生、吉田繁暁、榎望、井口喜一
脚本:今井雅子
撮影:浜田毅(J.S.C)
美術:瀬下幸治
照明:松岡泰彦
録音:郡弘道
B班撮影:葛西誉仁
編集:田口拓也
助監督:杉山泰一
製作担当:毛利達也
VFXプロデューサー:佐藤高典
アソシエイトプロデューサー:矢島孝
ラインプロデューサー:岩本勤
アニマルトレーナー:宮忠臣

製作:「子ぎつねへレン」フィルムパートナーズ
配給:松竹

キャスト

大沢たかお
深澤嵐
小林涼子
松雪泰子
田波涼子
阿部サダヲ
吉田日出子
藤村俊二

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