原題:Shanghai

巨大な歴史のうねりが 数奇な運命と哀しい愛を生んだ!

1998年/中国/97分/カラー/1:1,85/ドルビーデジタル 配給:パンドラ+若松プロダクション 宣伝協力:プランニング0M、スキップ

中国映画の全貌 2007にて上映::http://www.ks-cinema.com/schedule.html 2007年04月06日よりDVDリリース 2000年6月21日よりビデオレンタル開始 2000年1月29日より公開

公開初日 2000/01/29

配給会社名 0063

解説


 煌めき、陰謀うずまく上海に散った伝説の愛−−−。激動の時代を背景に、運命に翻弄される恋人たちの激しくも哀しい愛を、壮大なスケールで綴る宿命のラブストーリー。『ロミオとジュリエット』『カサブランカ』などと並んで、永遠に女性の心をとらえて離さない新しい恋愛映画の名作が、ここに誕生した。俳優として、歌手として常に世界の注目を集め、日本で最も人気のある香港のトップスター、レスリーチャンが主演し、中国では公開前からチケットが完売するほどの大ヒットを記録。観る者すべてを涙で包んだ感動作が、いよいよ日本でも公開される。

 1936年、東洋一の繁栄を謳歌していた上海では、世界各国から押し寄せる人間のさまざまな思惑が蠢き、刹那の享楽にあふれ、犯罪と陰謀が渦巻いていた。この上海に、ある一組の男女がたどり着く。革命の理想に燃えながらも、夢を失い、幻の愛を追い求める男・ジン。彼の理想に魅せられ、過去を捨て愛に命をかける女・チウチウ。すれちがう気持ちを抱きながら、秘密警察の執拗な追手をかわして奔走する二人。しかし病に冒されたジンに迫りくる死、さらに秘密警察の幹部が実はチウチウの父だったという衝撃の事実…過酷な運命は執拗に二人の愛を引き裂こうとする。宿命に逆らうかのように、二人は激しく愛し合った。だが、そんな二人に、永遠の別れが待ち受けていたのだった…。愛する者のために自らを犠牲にすることも厭わない恋人たちの姿を通して、男と女の究極の愛が描かれる。人はここまで、激しく、深く愛し合うことができるのか…!その胸に迫る切なさ、痛みは、映画を見終わった観客の心に強く刻みつけられるに違いない。

 レスリーチャンが演じるのは革命に燃える闘志・ジン。聴衆を魅了する演説シーンなどで見せるその凛々しさ、カリスマ性あふれる情熱的な生きざまは、観る者を圧倒する。また、抗い難い運命に立ち向かいながら、亡き妻への愛とチウチウへの愛に苦悩する彼は、ストイックで官能的なまでに美しい。レスリーチャンはこれまでも、『さらば、わが愛/覇王別姫』ではチェン・カイコー、『ブエノスアイレス』ではウォン・カーウァイと才能ある監督と組み数多くの傑作を送り続けてきた。監督のイエ・インは語る。「レスリーが演じた後では他の俳優が革命家を演じるのは難しいだろう」。レスリーチャンも「監督の前作を観て、その素晴らしさに心を揺さぶられた。彼との共同作業で何か新しいイメージを生み出せることを願っている。本作は、私のベスト作品」と言っている。演技力も風格もいま最高に充実しているレスリーチャンと、その圧倒的な映像感覚と情感豊かな語り口で絶賛されている葉纓。この二つの才能がぶつかり合うことによって、レスリーチャンの魅力が最大限に発揮された本作が、彼の代表作のひとつに数え上げられることは間違いないだろう。

 革命家のと悲恋を貫く気丈なヒロイン・チウチウ役には、本作で本格的な映画デビューを飾った新星、メイ・ティン。TV・舞台で培った演技力が評価され、本作に抜擢された。優美さの中に意志の強さを秘めたひたむきな演義は98年第22回カイロ国際映画祭で絶賛され、最優秀主演女優賞の栄誉に輝いた。中国映画界の次世代を担う女優として注目が集まっている。

 また、ヒロインの父で政府の秘密警察幹部・ハミオン役に、中国の金鶏賞に輝く実力派俳優、タオ・ツァオルーが扮し、凄みのきいた演技で強い印象を残す。ジンとチウチウを陰ながら見守るペイン医師を演じるのは、アメリカの新進俳優、トッド・バブコック。イアン・マッケラン主演作『GODS AND MONSTERS』など話題作への出演が続く。

 監督は、『レッドチェリー』の鬼才、葉纓。『レッドチェリー』で公開と同時に中国の興収新記録を作る大ヒットを飛ばし、金鶏賞はじめ数多くの賞を受賞。本作もカイロ国際映画祭で、シルバーピラミッド賞(審査員特別賞)を見事射止め、世界中の人々に絶賛された。いま中国で最も次回作が期待されている監督の一人である。

 新年を祝うパーティが開かれる瀟酒な洋館、ジンとチウチウが隠れ住んだ上海の裏街など1930年代の雰囲気そのままの街並みは、全編上海ロケを敢行して撮影された。国際都市・上海を描く舞台設定さながらに、劇中で北京語と英語が飛び交い、キャストやスタッフも中国、香港、イギリス、アメリカの映画人が協力した国際色豊かなものとなっている。

ストーリー


 日本軍が中国北部に侵攻し戦争の脅威か目前に迫っていた1936年上海。外国人か居留する租界では原色に煌めくネオンと甘いアルコールの匂いにむせ返るダンスホールて夜毎歓楽の宴か操り広げられていた。だが列強各国の欲望か渦巻き、秘密結社が暗躍する繁栄と悪徳の一方で巷では反政府活動への弾圧が苛烈を極めていた。活動家と目された者は次々と殺され一般市民たちは秘密警察の監視の目に脅えながら苦しい生活を強いられていた。

 ある夜この危険な街には場違いな美しく清楚な女性、チウチウ(メイ・ティン)か現れ、アメリカ人医師ペイン(トッド・バブコック)にある男性の命を救ってくれるように頼む。連れていかれた部屋で医師か見たのは体中に銃創と手榴弾による傷を負った男の姿だった。ジン(レスリーチャン)と呼ばれるその男はかつての古傷か原因で瀕死の状態にあったかペインの手当て一命を取りとめる。翌日、秘密警察かジンたちの隠れ家を急襲するが間一髪ふたりは逃れた。ジンは革命の指導者として秘密警察に追われていたのた。

 チウチウとジンの初めての出会いは数年前の決起集会だった。多数の群衆を前に瞳を輝かせ高らかな口調で革命を熱く語るジン。群衆の中から指導者を見ていたチウチウはその何者をも恐れぬ姿に魅せられ興奮醒めやらぬまま警備の門をくぐり抜け指導者の部屋を訪れる。たかそこて見たのはひとり発作に苦しみ床に倒れているジンの姿だった。彼に求められるまま、ある一偏の詩を彼女は夢中て朗読した。

 『大陽が昇った/一羽の鷹か飛び立ち/突然、空中て止まった…』。

読み進むにつれて不思議とジンの容体は回復していくのだった。

 その後、ふたりは逃亡の旅を続けるため夫婦に偽装し、ジンの治療のため上毎に身を隠す。だか彼を激しい発作か襲う。チウチウが詩を読み発作がおさまったかと思ったその時、突然ジンか叫び、チウチウを激しく抱き寄せた。実はチウチウが読んだその詩こそ彼の亡き妻の死の原風景を表す詩だった。ジンの心を占めていたのは、彼を秘密警察から救うために自ら生命を絶った亡き妻への愛だった。しかし献身的にジンに尽くしていたチウチウは、いつしか彼へ尊敬以上の思いを抱くようになっていた…。

 警察から逃れた後も、激務と繰り返す発作に命を削るジンの身を案したチウチウはペイン医師に依頼し、新年パーティに賑わう病院で極秘裏に検査を行う。彼の頭部には銃弾が残され、いつ死んでもおかしくない状態だった。一刻も早く手術するよう勧める医師に彼答える。「生き恥をさらすより、死を選ぶ」と…。検査を終えて立ち去ろうとしたジンとチウチウだが、秘密警察の執拗な追跡は彼らを逃さなかった。彼らは秘密警察の幹部、ハミオン(タオ・ツァオルー)らに包囲されていた。咄嗟にペインの友人のクラーク大佐を人質に見立て、ハオミンを威嚇したふたりは、辛くもその場から逃走した。

 郊外の隠れ家に逃げ込んだジンとチウチウ。だが、その夜彼は再び発作に襲われ倒れた。震えながら亡き妻の名を呼ぶジン。チウチウは意を決して、愛する人の傍らに横たわり身を預けた。翌朝、ジンが目覚めるとそこにチウチウの姿はなかった。彼との想い出を胸にチウチウは姿を消してしまったのだ。

 数ヶ月後、チウチウはついに社交界へデビューした。それはジンとの想い出を胸に、ある決意をしていたチウチウの運命の日でもあった。披露パーティの席上で、愛する人を脅かし、革命を破壊しようとする父親を、自らの手で撃ち殺したのだ。ジンはその悲劇を知り、命を懸けて自分を愛するチウチウの気持ちを理解し、そして初めて自分がどれほど深く彼女を愛しているかに気付く。彼女を何としても救わなければならない。彼は警察に連行されたチウチウを救うため、自らを交渉の餌にすることを決意する。亡き妻への想いを葬るため、隠れ家に火を放った彼は、激しい雨が吹きすさぶ中、武装する警官隊の前に立ちはだかった…。

スタッフ

製作総指揮:チャン・フーピン
監督:イエ・イン
脚本:チアン・チータオ、マーク・カプラン、アンディ・ナンサンソン
撮影:チャン・リー
編集:チョン・ロン
音楽:チャン・チェンイー
美術:チェン・ユンシュエン
衣裳:モー・チュンチェ
録音:チー・チャンホワ

キャスト

ジン:レスリー・チャン
チウチウ:メイ・ティン
ハオミン:タオ・ツァオルー
ペイン…トッド・バブコック
クラーク:ロバート・マックレー
チウチウ(子ども時代)、パール:イエ・タンタン

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