原題:SHANGHAI WOMEN

おかしくも、哀しく、温かい… 上海に暮らす、庶民の息づかい 人と人との絆がここにある。

2003年トリノ国際女性映画祭◆最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀助演女優賞(チェン・チェンヤオ)受賞 第24回フランス・ナント国際映画祭◆最優秀主演女優賞(チョウ・ウェンチン)受賞 第3回中国語映画メディア賞◆もっとも愛された女優賞(リュイ・リーピン)銀賞受賞

2002年/中国映画/カラー/ビスタサイズ/ドルビーSR/字幕:古田由紀子/ 翻訳協力:仲偉江+森川和代/上映時間:1時間36分/ 岩波ホール・フォーカスピクチャーズ・エフ プロモーション・東和プロモーション 共同提供 配給:東宝東和

中国映画の全貌 2007にて上映::http://www.ks-cinema.com/schedule.html 2005年03月02日よりビデオレンタル開始 2005年03月02日よりDVD発売開始 2004年5月1日より岩波ホールにてロードショー 

公開初日 2004/05/01

配給会社名 0002

解説



独自の視点で、世界の埋もれた名作映画を発掘・上映してきた岩波ホールの上映企画〈エキプ・ド・シネマ>。
中国からはこれまでに、「芙蓉鎮」「乳泉村の子」「阿片戦争」「山の郵便配達」と数々の話題作を紹介して来た。
その〈エキプ・ド・シネマ〉が、発足30周年を迎える2004年に、21世紀の新しい中国の胎動を感じさせる映画『上海家族』を公開する。
高校生の娘・阿霞(アーシャ)と、離婚した母は、住む家なしでは生活もできず、互いを思いやる愛情の辛さと、やり場のない困惑に直面しながらも、未来と幸福を探している。やがてふたりは、数々の紆余曲折を通して、幸せを掴んで行くのだが、それはまた、厳しい現実と向き合う道だった…。
上海一中国4000年の歴史と、欧米の文化が混在する中国随一の大都会。『上海家族』は、上海の旧市街を舞台に、この街を心から愛する女性監督ポン・シャオレンが、祖母・母・娘と、異なる三世代の女性の感情をきめ細かにすくいとり、現代中国の“家族の肖像”を描いた感動作である。離婚、再婚、そして自立への道を歩む女性たち。大人への不信と幻滅、母子の絆が、女性の視点で鮮やかに描かれる。母子を取り巻く様々な人間模様は、可笑しくも哀しく、そして温かい。本作は上海に暮らす庶民の息づかいを、時代の大きな変化とともに見事に映し出してゆく。
監督のポン・シャオレンは、女性の感情と女性の自立に強い関心を持っている。すでに巨匠となった第五世代のチェン・カイコー、チャン・イーモウらと同じ、1978年北京電影学院入学組でありながら、第六世代と呼ばれる中国映画界の中でも特に個人の心理や感情の世界にこだわりを持った映画人に近く、しかも1990年から1995年、ニューヨーク大学映画研究科に留学し、インターナショナルな映画手法をも会得。また、日本の小川紳介監督との交流から、同監督の未完作「満山紅柿」を完成させるなど、多方面に活躍してきた。それ故に、『上海家族』には、説教じみた台詞はなく、芝居がかったストーリーもなく、わざと歪曲した描写もなく、また、観客に迎合するところもない。監督はドキュメンタリー的な手法を持って、素朴でリアルな映像を生み出し、まるで、山間に湧き出した泉の水のように、人々に親しみや温もりを感じさせる映画を創り出した。
監督を支えるスタッフも、アン・リー監督の「ウェディング・バンケット」、「恋人たちの食卓」でアカデミー賞最優秀外国映画賞にノミネートされた、撮影のリン・リャンチョンを始め、中国映画界の俊英が顔を揃えた。また、キャスティングに当たっては脚本も担当したポン・シャオレン監督の強い要望で、3世代の祖母には、「北京の想い出」で宋おばさん役を演じ、1983年の“金鶏賞”を受賞したチェン・チェンヤオが演じ、トリノ映画祭最優秀助演女優賞・受賞。母には、第6回東京国際映画祭グランプリ作品「青い凧」で最優秀女優賞を受賞したリュイ・リーピンが久々の映画出演で中国語映画メディア賞銀賞・受賞。娘アーシャには、まったくの素人が起用され、その主役アーシャの座を射止めたチョウ・ウェンチンが、フランス・ナント国際映画祭/最優秀主演女優賞を受賞するなど、祖母・母・娘を演じた3人が演技賞に輝き、監督の狙いは見事に当たった。

ストーリー



15歳の娘・阿霞(アーシャ)の父に愛人が出来た。その関係を2年も続け、いっこうに家庭を省みない夫の態度に母は離婚を決意し、阿霞を連れて祖母の住む狭い実家に戻る。離婚が軽率だと不満でならない祖母は、間もなく叔父が結婚するので、ふたりが住める部屋はないと、すぐにでも阿霞母娘を追い出したい様子だった。

やがて母は、阿霞のために妻を病気でなくした李さんと再婚をする。しかし、李さんの息子・強強(チャンチャン)は、阿霞たちに敵意を剥き出しにする。また、真面目で堅実と聞かされていた李さんが実はとてもケチな男だったとわかり、口論の末、母は阿霞を連れ、またもや祖母の家に戻る。しかし、すでに叔父夫婦が暮らす祖母の家に二人の居場所はなかった。

一方、愛人に逃げられた阿霞の父は母との復縁を望んでいた。
“パパと復縁しないで!パパは信じられないわ”。阿霞は自分の為に母が自分勝手な父と無理に一緒になることを望まなかった。そして、好きでもない李さんのような男と結婚することも。母は娘といっしょに実家を離れ、父や親族から独立して、ふたりだけで生活する事を決意するが・・・。

スタッフ

監督:ポン・シャオレン
製作:チョウ・ヨントウ
脚本:ポン・シャオレン/シュー・ミンシャ
撮影:リン・リャンチョン/ジュ・トンロン
配給:東宝東和

キャスト

チョウ・ウェンチン
リュイ・リーピン
ソン・ハイイン
チェン・チェンヤオ
リュウ・ジャーチェン
シャー・ジュン
ティン・タンニー
ワン・チンチャオ

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