原題:Together

2002年中国映画祭出品作品 2002年サン・セバスチャン国際映画祭 最優秀監督賞/最優秀主演男優賞 受賞 2002年トロント国際映画祭正式出品作品

2002年/中国/カラー/118分/ 配給:シネカノン

中国映画の全貌 2007にて上映::http://www.ks-cinema.com/schedule.html 2004年04月02日よりDVD発売開始 2003年4月26日よりBunnkamuraル・シネマほか全国ロードショー

公開初日 2003/04/26

配給会社名 0034

解説



豊かに水をたたえた美しい風景と、人々の素朴な温もりが残る中国の田舎町。そこに息子を一流のヴァイオリニストにする事を夢見て全てを捧げる貧しい父と、父を愛しながらも顔も知らない母の面影を追い求める少年が住んでいた。少年は母の形見のヴァイオリンを弾くのが得意だった。二人はコンクールに出場するために北京へ行き、そこで著名な先生の個人指導を受ける事になり、北京で暮らし始める。急激な変化を遂げる競争社会の大都会は、地方出身の少年の心に影を落としたが、少年が奏でるヴァイオリンの旋律は、彼に関わる人々の心を癒してゆく。やがて少年は国際舞台に羽ばたく大きなチャンスをつかむが、それは愛する父との別れを意味していた。そしてその時、少年の出生の秘密が明かされる。果たして少年が選択した道とは・・1?

ハリウッドに進出したチェン・カイコー監督が、舞台を再び中国に戻し、大都会で懸命に生きる父子の絆と、彼らをめぐる市井の人々の心の機微をあたたかく見つめた感動作。2002年サン・セバスチャン国際映画祭で最優秀監督賞を受賞している。現代社会では忘れがちな素朴な優しさと無償の愛を注ぐ父親と、大きな夢に向かってひたむきにがんばる息子の物語は、中国版『リトル・ダンサー』とも言えるだろう。

また本作ではドビュッシー、パガニ一二、リスト、チャイコフスキーなど数々のクラシック音楽の調べが、登場人物の気持ちに寄り添うように全編を彩り、さらに中国の伝統音楽をベースにしたスコアが絶妙のバランスでブレンドされて、独特の上品な香りを醸し出している。そして現在の物語と過去の物語、主人公の奏でる音楽がシンクロして一つになるラストシーンでは、誰もが心揺さぶられ涙を流すだろう。

主演の新星タン・ユンは実際にヴァイオリニストを目指して音楽学校に通う学生で、映画初出演ながら新鮮な魅力の溢れる演技を披露している。そして本作で2002年サン・セバスチャン国際映画祭最優秀主演男優賞を受賞した父親役のリウ・ペイチーやワン・チーウェンなど、中国の人気実力俳優の他に、監督自身とその最愛の妻であるチェン・ホンの共演も大きな話題になっている。

撮影には韓国からアジアを代表するキム・ヒョング、美術にはチャン・イーモウ作品で知られるツァオ・ジュウピン、音楽には大御所チャオ・チーピンの息子チャオ・リンを抜擢している。なお主人公が奏でるヴァイオリンは、劇中のコンサート・シーンでも登場する中国の新進気鋭のヴァイオリニストで、2002年9月に日本公演を行い2004年1月にも来日予定があるリー・チュアンユンが演奏している。

ストーリー


中国北部の豊かに水をたたえた美しい田舎町。13才のチュンは父親のリウと二人で慎ましく暮らしている、ヴァイオリンが得意な少年だ。母親を2歳の時に亡くし顔も覚えていなかったが、チュンのヴァイオリンは母の形見だった。チュンのヴァイオリンの腕は町中で評判になっていて、事ある毎に声がかかり、その演奏は人々を癒し、喜ばせていた。

食堂で料理人として働くリウはそんな息子が誇らしく、一流のヴァイオリニストにすることを生き甲斐にしていた。リウはコツコツ金を貯め、チュンは毎日練習に励み、いよいよヴァイオリン・コンクールに出場するために北京へ行くことになった。

大きな荷物を抱え、おのぼりさん状態で駅に着くと駅はすごい人混み。そんな中でチュンは一人の女性に目が留まる。男所帯で暮らすチュンには、記憶にもない母の姿が重なった。彼女の荷物を運ぶのを手伝い、愁いを帯びた目が強く印象に残った。

コンクールでは5位という結果に終わったが、リウは審査員をしていた音楽教師チアンに何とかお願いしてチュンの個人指導をしてもらうことになる。そして北京でアパートを借りると、そのすぐそばに、チュンが駅で出会ったリリという女性が部屋を借りていた。チアン先生は独身の変わり者で、部屋はだらしなく散らかり、ぼさぼさの髪で数匹の猫に囲まれて暮らしていた。寄付金の額で入賞順位が決まるような腐敗した音楽の世界にうんざりして投げやりになっていたのだ。気乗りのしないチアンであったが、チュンのヴァイオリンの音を聞いて、音楽家としての魂が突き動かされた。そしてチュンを教えるうちに、精彩を欠いた日常がいつしか希望あるものへと変化していった。

リリは何人もの金持ちの男たちからお金を貢がれて生活していた。その金は洋服に変わり、恋人への小遣いに変わる。リリが恋人に冷たくされた日には、チュンがヴァイオリンを弾いて慰めてあげた。本当の愛を知らない淋しいリリと母親の愛を知らないチュンとの間には、友情が芽生えていった。ある日、二人はリリの恋人の浮気現場に遭遇する。傷ついたりリを見て何とか慰めたかったチュンは、リリが欲しがっていたコートを買うために、母の形見のヴァイオリンを質に入れてしまう。

一方リウは息子に更なるステップアップをと考えていた。そんな時、出前の仕事で訪れた有名なヴァイオリニスト、タン・ロンのコンサート会場で、偶然目にしたタン・ロンの恩師である有名なユイ教授を先生にと思いつく。どうしてもユイ教授に指導をして欲しいリウは、突然家を訪ね思いの丈を伝え、チュンの出生の秘密を打ち明けるのだった。そして後日、リウはチュンを連れて再びユイ教授を訪ねるが、チュンが開け
たケースにヴァイオリンは入ってなかった。

スタッフ

監督:陳凱歌(チェン・カイコー)

キャスト

タン・ユィン
リウ・ペイチー
ワン・ジーウェン
チェン・ホン

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