ファム・ファタール
原題:FEMME FATALE
欲しいもの——。私は総てを手に入れる。
2002年4月30日フランス初公開
2002年/フランス・アメリカ/115分/DTS, Dolby Digital ,SDDS/5巻3143m/ビスタサイズ/ 翻訳:古田由紀子/ 配給:日本ヘラルド映画
2004年01月16日よりビデオレンタル開始 2004年01月30日よりDVD発売開始 2003年8月23日より夏休み 日比谷みゆき座ほか全国東宝系にてロードショー
公開初日 2003/08/23
配給会社名 0058
公開日メモ サイコスリラーの名匠デ・パルマが仕掛ける映画史上最も危険で華麗な“宿命の女”の甘い罠アントニオ・バンデラス主演で贈る官能サスペンス
解説
鬼才、ブライアン・デ・パルマが贈る、極上のサスペンス。
妖しいまでに美しく、エレガントで、アグレッシブ。知的で、セクシー。
銀幕の”ファム・ファタール”とは、男にとっての宿命の女。
主役は男。女はあくまでも脇役だった。しかし——
21世紀の”ファム・ファタール”は、”自分の運命と戦う女”。
主役は、彼女自身。
欲しいものは,すべて手に入れる。もちろん、愛さえも——。
デ・パルマが仕掛ける、スタイリッシュなサスペンス
ブライアン・デ・パルマ監督が最も愛し、得意とするサスペンスの世界に戻ってきた。
盗まれた宝石をめぐって逃げる女と、それを追う男たち。たった一枚の写真を撮ったために事件に巻き込まれるカメラマン。女は人生の再出発を賭け、その魅力を武器に運命を切り拓いていく。あるときはエレガンスに、たおやかに。あるときには淫らに、ワイルドに。淑女と悪女の顔を使い分け、しなやかに、したたかに生きていく。
画面の中にはいくつものヒントが散りばめられ、物語の断片が時間の経過とともに意味を持ってつながっていく。最後の1ピースがはまるまで、彼らの運命は予測不可能の迷宮の中を疾走する…。
予測不可能…運命のジェットコースター
ゴージャスな装いのセレブたちで賑わうカンヌ国際映画祭の会場で、1000万ドルの宝石が盗まれる。実行犯のロール(レベッカ・ローミン=ステイモス)は大胆な手口で宝石を奪うと仲間を裏切って逃走、別人になりすまして単身、アメリカへ飛んだ。
7年後、ロールはアメリカ大使夫人としてパリに舞い戻る。決して人前に出ず、過去を隠していたが、カメラマンのニコラス(アントニオ・バンデラス)にスクープ写真を撮られてしまったことから運命は急転する。顔を知られてしまえば、あの時の仲間に居所がバレてしまう。大使夫人の素性を探ろうと接近してきたニコラスを誘惑すると、ロールは気品ある「大使夫人」から一転、悪女の本性を露わし始める。気づいたときにはニコラスはロールのワナに落ちていた。
仲間たちの執拗な追跡が背後に迫ってきていたが、逃げ切れるハズだった。絶対につかまらない。1000万ドルもこの手で掴む。
だが、予測もつかない運命がロールを待ち受けていた…。
あるときは、淑女。あるときは悪女。魅惑のファム・ファタール役は・・・
「ロールはまさに映画の原点であり、物語の中心だ。美しく、セクシーで、小気味よく残酷で、見る者の感情を強烈に刺激する。我々は喜んで彼女の魅力の毒牙に身を捧げるだろう。ニコラスがワナに気づいたときには、観客もまた彼女の仕掛けたワナにはまっているのだ」一気に脚本を書き上げたブライアン・デ・パルマ監督の中で、ロールのイメージは完全な像を結んでいた。だが肝心の女優探しは難航した。ハリウッドの超有名女優が何人も立候補してきたが、監督の狙いは新人だった。ミステリアスで、神秘的なオーラが必要だったのだ。圧倒的な美貌を持ち、いくつもの異なる顔を演じ分けられる新人。キャスティングが暗礁に乗り上げたときにオーディションに現れたのがレベッカ・ローミン=ステイモスだった。「幸運だった」というデ・パルマ監督をはじめクルー全員が一瞬にして彼女の虜になった。
しなやかで、したたか…いくつもの顔をもつヒロイン
デ・パルマ監督が敬愛するヒッチコック作品の中の美女たちのように、レベッカが演じるロールはいくつもの顔を見せる。
オープニング、観客の度肝を抜くエロティックな手段で宝石を奪うロールは、引き締まった身体を持つアンドロギュヌスのようだ。逃亡中は良家の子女風のクラシックな装いの黒髪の「リリー」になりすまし、世間知らずの大富豪をいともたやすく手なずける。「大使夫人」としてパリに現れたときには洗練された上流階級の女性として振る舞い、夜には金髪を振り乱し、男を惑わす究極の悪女に豹変する…。
華麗なジュエリー。そして超一流のメゾンとのコラボレート
彼女のためにデ・パルマが用意した舞台、衣装、宝石のゴージャスさは目を見張るばかりだ。
幕開けは、選ばれた映画人だけが歩くことを許されるカンヌ映画祭のレッド・カーペット。贅沢にも映画祭会場でロケを敢行している。主人公の運命を握る”蛇のビスチェ”はこの映画のために「ショパール」が制作した最高級のオブジェ。510個、合計385カラットものダイヤモンドで埋め尽くされた純金製だ。
そしてシャネル、エルメス、フェンディ、イヴ・サンローラン、プラダetc…といったカリスマ的なクチュリエの衣装が”運命の女”たちをエレガントに、セクシーに彩るのだ。
スリリングな物語を加速させる「ボレロ」風のスコアは『スネーク・アイズ』に続いて坂本龍一が担当。『ニキータ』『レオン』『フィフス・エレメント』『ジャンヌ・ダルク』等リュック・ベッソンの映像を支えてきた名手ティエリー・アルボガストのカメラがパリの光と影を見事に映し出している。
最後の1ピースまで目が離せない…映像のジグソー・パズル
冒頭のTV映画『深夜の告白』が女の裏切りを予告し、『裏窓』のように人生の裏側を覗き見る視線。『めまい』のような、瓜二つの女性の登場。パリ、ベルヴィルの通りを撮り続けるバンデラスの写真はデヴィッド・ホックニーのフォト・コラージュを思わせ、その街角に貼られた「デ・ジャ・ヴュ」というポスターが既視感をあおる。
そして必ず3時33分を指している時計…。
デ・パルマ監督の仕掛けた美しいジグソー・パズルの最後の1片がはまるとき、すべての謎が氷解し、心地よい酔いが見る者すべてを虜にするだろう。
ストーリー
カンヌ国際映画祭メイン会場、ル・パレ。この華やかな舞台で1000万ドルの宝石を強奪しようと企む一味がいた。彼らの狙いは映画祭ゲストのひとり・ヴェロニカ(リエ・ラスムッセン)がその身にまとっているダイヤのビスチェだ。実行犯のロール(レベッカ・ローミン=ステイモス)はカメラマンとしてヴェロニカに接近・妖しく微笑みかけると、そのまま彼女をトイレに誘い込む。強奪グループの仲間たちは警備のスキをつき、会場の電源を落としてロールをバックアップするが土壇場になって非常事態が発生。ロールは仲間を裏切り、宝石を持って逃走する。パリ、ベルヴィルの街角。単身、国外に脱出しようとするロールはカメラのレンズが向けられているのに気づく。ニコラス(アントニオ・バンデラス)は風景写真を撮っていたのだけなのだが、仲間の追跡を恐れていたロールは動揺し、近くの教会に逃げ込む。教会の葬儀に参列していた老夫婦が駆け込んできたロールを見るなり、「リリー!」と呼びかけてくる。困惑したロールは教会を飛び出し、空港ホテル
ヘと急ぐ。偽造パスポートの受け渡し場所として指定された部屋をノックするとそこにはあのときの仲間のひとり、ラシーン(エデュアルド・モントート)が待ち受けていた。「宝石の隠し場所を言わないと殺す」ロールは身を翻して逃げ出すが、ホテルの回廊から突き落とされてしまう。追ってきた老夫婦の目の前で気を失うロール。ロールは見知らぬ家のベッドで意識を取り戻す。「リリー」という名の女と間違えられているのだ。「リリー」は夫と幼い娘を亡くし、本人は行方をくらましていた。部屋にあったパスポートとアメリカ行きの航空券を手にするロール。『もし水晶玉に運命が映ったら?夢で未来を見たら人生は変わるでしょうか』TVでは占い師がしゃべっている。ロールは黒髪のカツラを脱ぎ、満足気にバスタブに浸かる。これで姿をくらますことができる…安堵した瞬間、リリー(レベッカ・ローミン:ステイモス)が帰宅する半狂乱になってパスポートを捜すが見つからない。物陰から見守るロールの目の前で、絶望したリリーは拳銃自殺してしまう。首尾よく「リリー」になりすましたロールはアメリカ行きの飛行機に乗り込む。隣の席のブルース1ワッツ(ピーターコヨーテ)は偽りの身の上話に深く心を動かされていた・・・。
7年後、パリ。いまだに売れないカメラマン、ニコラスはエージェントから「スクープを撮れ」と言われ、赴任したばかりのアメリカ大使の夫人を激写する。翌日、大使館員シフ(グレッグヘンリー)から「写真を渡せ」と迫られるが、写真はすでにタブロイド紙の表紙を飾ってい心なぜそこまで顔を隠すのか…不審を抱いたニコラスは大使夫人を尾行する。同じ頃、ロールに裏切られた一味の首領ブラック・タイ(エリック・エブアニー)が刑期を終え出所した。必死でロールの足取りを追う彼らはロールの共謀者ヴェロニカの居所を突き止めた。だがあの写真で「大使夫人」の正体を知った今となっては口を割らす必要はない。ヴェロニカは交通事故を装い、始末されてしまう。大使夫人は護衛も連れずにポルノショップへ入ると密売屋から拳銃を買い、空港ホテルにチェックインする。「傷心の夫人がスクープ写真を苦に拳銃自殺を図ろうとしている」と考えたニコラスは一計を案じてホテルの部屋まで潜入する。だが、夫人=ロールのしたたかさは遥かに上をいっていた。ニコラスの同情を誘い、誘惑したあげく、車も服も宝石もすべてニコラスが盗んだように細工し、警察に密告。そのまま姿を消してしまう。ニコラスを逮捕したセラ警部(ティエリー・フレモン)はアメリカ大使館に出向くが、大使からは「捜査の必要はない」と締め出されてしまう。釈放されたニコラスがアパートに戻ると、誰かが侵入した痕跡があった。「夫人を誘拐した。ドビリー橋に1000万ドルを持って来い」というメールがPCの「送信済み」ボックスに残されている。いまやニコラスは誘拐犯に仕立てあげられてしまったのだ。すべてはロールの仕掛けたワナだった。橋には、たおやかな「大使夫人」とは別人のような貌をしたロールがいた。「私の写真を撮った罰よ。昔の仲間に居どころがバレると困るのよ」豹変したロールは悪女の本性をむき出しにし、夜の街で野獣のようにニコラスをもてあそぶ。指定の時刻、橋には「リリー」の身を案じるワッツが要求どおりの金を持って現れる。
「大使夫人」は誘拐された。昔の仲間ももう追って来られない。真相を知った哀れなワッツを片付け、1000万ドルも手に入れる。そして、利用し終わったニコラスも…。ロールが勝利の笑みを浮かべた瞬間、一発の銃声が運命を変えた…
スタッフ
監督・脚本:ブライアン・デ・パルマ
製作:タラク・ベン・アマール、マリナ・ゲフター
音楽:坂本龍一
撮影:ティエリー・アルボガスト
美術:アン・プリチャード
衣裳:オリヴィエ・ベリオ
編集:ビル・パンコウ
製作:サミット・エンターテインメント
キャスト
ロール/リリー:レベッカ・ローミン=ステイモス
ニコラス・バルド:アントニオ・バンデラス
ブルース・ワッツ:ピーター・コヨーテ
ブラック・タイ:エリック・エブアニー
ラシーン:エドュアルド・モントート
ヴェロニカ:リエ・ラスムッセン
セラ警部:ティエリー・フレモン
大使館員シフ:グレッグ・ヘンリー
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