ロスト・ボイジー

制作はパニックアクション・ムービーの人気作品を連発するＵＦＯ！『ファルコンダウン』『パイソン』『オデッセイ2001』『アイスランド』などの作品でクオリティの高さと実績は証明済。本作においては、前述したパニック作品の要素に加え、『キューブ』『ファイナル・デスティネイション』『遊星からの物体Ｘ』などに見られる“誰が生き残るのか！？”という“ホラー・パニック”の要素がプラス！
ランス・ヘンリクセンほか演技波俳優集結！
『スクリーム３』、『エイリアン２』ほか高回転シリーズ『ミレニアム』では主演を務める名優ランス・ヘンリクセンが、キーを握る役柄を、重厚な演技で熱演。そのほか『ニュージャック・シティ』『ファルコンダウン』のジャド・ネルソン、ジェームズ・キャメロン製作総指揮の大ヒットシリーズ『ダーク・エンジェル』レギュラー出演のリチャード・ガンなど、演技派俳優が出演。ドラマクオリティの高さも保証済。

【チェック・ポイント！】

　ジャケットの惹句には、“新感覚ディザスター・パニック”とあるが、ジャンルとしてはストレートなホラー作品。１月に紹介した『バミューダ／呪われた財宝』に続いてリリースされる、バミューダ＆幽霊船映画の新作だ。これまで作られた、幽霊船テーマのホラー映画で目ぼしいものというと、『ゴースト／血のシャワー』(80)と我らが『吸血髑髏船』(68)くらいだろうか。低予算作品が大半のホラー作品において、大洋を航行する船上を舞台とし、それなりにリアルな場面を撮るには、セットや実際の船のチャーターなどで予算が嵩み易いこの題材は手軽とはいい難いものであったと言えるだろう。それがこうして新たに脚光を浴びているのは、近年のデジタル技術の進歩と低廉化の賜といったところか。本作の製作元が、ＳＦ、モンスター、アクション、パニック等のジャンルにおいて、効率的で見栄えのよいＣＧＩを駆使した作品をビデオ・ストレートを中心に連発しているＵＦＯであるあたり、まさにその証左と言えるだろう。
　30年前に行方を絶った豪華客船が現代に現われ、調査のために乗り込んだ一行が、超自然現象とそれぞれの内面を揺さぶる謎の力により恐怖にさらされる。船はバミューダ海域が繋がっている異次元へと迷い込み、そこから“何か”の力を溜め込んで戻ってきたのだ…という展開は、まさに海の『イベント・ホライズン』(97)状態！って本来的にはそれを言うなら逆なのだが(苦笑)。肉眼には見えないのにビデオに捉えられていた少年の幽霊をはじめ、どこかで観たことのあるようなものが多いけど、ツボを押さえた怪奇描写はまずまずの出来。クライマックスの幽霊が乱舞する場面は、『ファンタジア〜禿山の一夜』(40)、『レイダース／失われたアーク《聖櫃》』(81)などの伝統を今風ＣＧＩにより再現したもので、日本人の感覚では恐怖を感じることは少ないと思うけど、幽霊に身体を通り抜けられた人間が泡を吹き、その後精気を吸い取られるなどのちょっとした工夫が面白いぞ。
　物語的にも、先にリリースされた『バミューダ／呪われた財宝』よりも、筋が一本通っているので手堅く楽しめ、泣かせる要素もあり。とは言え、過去の想いを清算できた二人は兎も角、その巻き添えで死んでいった調査隊は、全く救われませんがね(笑)。
（殿井君人）