デューン／砂の惑星：中巻

全世界で1200万冊・フランク・ハーバート原作のＳＦ小税、『デューン』。あまりにも壮大で徹密な為、巨匠デビッド・リンチをもってしても全てを映像化し切れなかったＳＦ小説の金字塔を、27O分の長編3部作として完全映像化！
『蜘蛛女のキス』『ロスト・イン・スペース』等のベテラン・オスカー俳優=ウィリアム・ハートをはじめ、『スクリーム３』で注目され、アメリカで最も期待されている実力派若手俳優＝マット・キースラー、『ハンニバル』のジャンカルロ・ジャンニーニ、『ハート』のサスキア・リーブス、『エースベンチュラ２』のイアン・マックニース、『g:mt』のアレック・ニューマン、『ネバー・エンディング・ストーリー3』のジュリー・コックス、『ロック・ストック＆トウー・スモーキング・バレルズ』のＰ・Ｈ・モリアーティーと豪華キャストが集結！
スタッフも実力派揃い！『ゾンピ』『ペット・セメタリー』のリチャード・Ｐ・ルビンスタインのプロデュースの下、撮影にはアカデミー賞を三度受賞、『ラスト・エンペラー』等ベルナルド・ベルドリツチとのコンビも有名で、『地獄の黙示録』等数々の名作を担当しているヴィットリオ・ストラーロ。本作品でＴＶプログラムの最高峰であるエミー賞の2000年度撮影部門を受賞。異世界の衣装を担当したのはアカデミー・ウィナーである、『アマデウス』等のテオドア・ピステク。プロダクション・デザインはセザール賞受賞者で、『デリカテッセン』『インドシナ』等のＭ・Ｋ・クルヤコヴイツク。また、『フロム・ジ・アース』等のアーネスト・フェリーノによる特殊効果も、エミー賞を受賞している。

【チェック・ポイント！】

　『中巻〜呪われし砂漠の民〜』では過酷な砂漠に逃れたポールとレディ・ジェシカが、不毛の地で砂漠の民フレメンと邂逅を果たし、行動を共にしていく過程でポールは砂の惑星に関する知識を学び、救世主としての覚醒に近づいていく過程が描かれる。決闘でポールが初めて殺してしまったフレメンの若者の葬儀や、生命の水の創造場面など『デューン／スーパープレミアム［砂の惑星・特別篇］』で追加された場面は勿論のこと、小ネタではポールのフレメンとしての名前の元となる砂漠ネズミ“ムアディブ”も姿を見せる。いかにもＣＧＣＧした描写は、もう一工夫欲しかったところではあるが…
　今回はキャストについてみてみよう。ポールを演じているのは『g:mt』のアレック・ニューマン。救世主にしては線の細いええとこの坊ちゃんタイプというか、カリスマ性が今ひとつ薄い観はあるが、まぁカイル・マクラクランだって『砂の惑星』でポールを演じデビューした頃は、億弱そうでおまえ誰？状態だったわけだから、これはこれで伝統とも言えるのかも。
　一方、イルラン姫を演じるジュリー・コックスは『ネバーエンディング・ストーリー３』に出てた人…って映画自体全然思い出せないんでパンフレットを引っ張り出してきたら３代目緒幼ごころの君だったですね。きりっとした顔立ちはその頃からで今作でもお姫様顔は健在。未公開テレフィーチャーではダイアナ妃を演じるなど、お姫様女優の道を邁進しているような観もあるが(嘘)、中巻では陰謀の全容を探ろうと、ハルコネン家のフェイドをその身体を張って誘惑したりの大活躍。幼心の君は遠くになりにけりとばかりに、権謀術策の中で立ち回る姿はなかなか魅力的だ。フェイドとの件では土壇場で彼女に付き従う道女とちゃっかり入れ代っちゃうあたり、下心を裏切られて残念ではあるが(苦笑)既に皇族としての周到な立ち回り方は心得ているって感じで、映画版の「単にナレーションを語るだけの綺麗な人」以上のキャラとして描かれている。
　この他にも、基本的には上巻でおさらばだけど好人物レト公爵を演じるウィリアム・ハート、映画版のように微かな近親相姦的な匂いが無くなったのは残念だが、毅然とした姿と『ハート』に続いての母性の発露で予想した以上によかったサスキア・リーブスのレディ・ジェシカなど実力派の役者陣の共演も見所。
　ただ、確かに物語としての通りとふくらみはよくなったものの、さらっと観れてしまって、ひっかかりがあまり感じられないのがちょっと気になるところではあるが、そのあたりはシリーズ作品ということで、中継ぎである中巻を経てどのように収束されるかを含め下巻を待ちたい。
（殿井君人）