きらめきの季節/美麗時光
原題:THE BEST OF TIMES
第39回金馬奬作品賞受賞 2002年ヴェネツア国際映画祭コンペティション部門正式出品作品 第4回NHKアジア・フィルム・フェスティバル出品(2001/12/16〜23)::http://www.nhk-p.co.jp/event/asia/asia.html 『美麗時光』の題名で上映
2001年/台湾=日本(NHK国際共同制作作品)/カラー/110分/ 配給:ビターズ・エンド
2005年03月02日よりDVDリリース 2003年06月18日よりDVD発売開始 2002年12月14日よりシアター・イメージフォーラムにてきらめきのロードショー公開 平成13年12月16日(日)から23日(日)まで8日間アジア・フィルム・フェスティバル(会場:東京国際フォーラム・Dホール)
公開初日 2001/12/16
公開終了日 2001/12/23
配給会社名 0262/0263/0261
公開日メモ 平成13年12月16日(日)から23日(日)まで8日間アジア・フィルム・フェスティバル(会場:東京国際フォーラム・Dホール)
解説
世界へ羽ばたく新しい才能、チャン・ツォーチ
チャン・ツォーチのキャリアはまだ長いとは言えない。しかし、前作『最愛の夏』で1999年東京国際映画祭、2000年のシンガポール映画祭において、どちらもグランプリのほか、三冠を受賞するなど、映画祭に出品されるごとに最大の評価を受けている。そしてこの『きらめきの季節/美麗時光』は日本との共同制作で撮りあげ、ヴェネツィア映画祭コンペティション部門に正式出品とそのキャリアを確実に築き上げている。
これまで、台湾映画界はチャン・ツォーチ自身が助監督を務めていたホウ・シャオシェンをはじめ、エドワード・ヤン、ツァイ・ミンリャンと世界を舞台に活躍する監督を輩出しつづけてきた。そして、チャン・ツォーチは更なる新しい才能として今まさに世界へ羽ばたこうとしているのである。
本作は現実と幻想が綯い交ぜになっている点もチャン・ツォーチ作品らしい特色となっている。生と死、光と闇、現実と幻想…。境界を越えることで終わりが来るのではなく、闇の中にもまた光があり、だからこそどんな瞬間も素晴らしい、そんなメッセージが彼の作品からは感じられる。
青春時代を体現する魅力溢れるふたりの俳優
主人公アウェイに扮するのは前作『最愛の夏』でも主人公カンイが想いを寄せる無鉄砲な少年アピンを演じ、その寡黙な演技から台湾で人気が急上昇、現在では数本のテレビドラマにも出演しているファン・チィウェイ、アジェには、やはり『最愛の夏』で短い出演時間ながらもひときわキレぶり(!)が目立っていたガオ・モンジェが本作でも「キレぶり」を披露、若さゆえの魅力を体現している。
そのほかの出演者は前作同様に演技経験のない者がキャスティングされた。役者が決まってからその人のバッググラウンドを考慮した上でストーリーを作り上げてゆくチャン・ツォーチ作品において、キャスティングは大きな意味を持っている。
ストーリー
端正で美しい顔をもつアウェィ。チンピラの彼がいつも気に掛けているのは、ミン。彼の双子の姉で、癌の末期患者だ。余命10日と言われたミンは残り少ない日々を家族と過ごすためにホスピスから戻って来ていた。彼女は、アウェイにとっても最愛の肉親なのだ。水槽の前にいるミンは、かつての恋人アチャと海に潜って熱帯魚を触った時のことを思い出していた。半年前ミンは病気が発覚して、恋人との別れを決意したのだった。
アジエは何もすることがなく、親戚が組織する小法団で、商売人を相手に、或いは寺の縁日で神を迎えては送り返すという日々だ。遊び好きで仲間には人気のアウェイだが、やっかいごとも多く、喧嘩も絶えない。
アウェイとアジェは同じ集合住宅に住み、異なった環境ながら仲良く暮らしているが、ある日アジエがちんぴらにそそのかされ、暴力団組織に足を踏み入れてしまう。親分に気に入られた2人は、ピストルまで与えられ、羽目をはずし始める。ところが、やりたい放題を続けていたある日、取立て先で相手方の親分を射殺してしまったことから、2人は逃亡する。
アウェイは、安ホテルを営む姉のかつての恋人アチャを訪ねる。ホテルでは、アウェイの自宅と全く同じ水槽に同じ熱帯魚が泳いでいる。夜、2人はアチャと共に海へ向かうが、アウェイは砂浜で嘔吐を始め、叫び声をあげる。アウェイが診療所に行く時を同じくして、ミンはこの世を去っていく。翌朝ホテルの一室でアウェイは呆然とベッドに腰掛けている。受話器からは家族の声がする、ミンが死んだと…。汽車の中での2人は沈黙したままだ。
2人は静かに懐かしの小路に立っている。そこには射殺したやくざの組員が大勢で彼らを待っていた。2人はひた走るが、そのうち声があがり、打ちのめす音がする。そしてアジエが刺されて倒れた。悲痛な表情で立ち尽くすアウェイ。
翌日、アウェイは復讐へ向かうが、傷を負って自宅への道を戻る。するといつもの長い小路に、アジェが座っている。アウェイはアジェの名を叫び2人はまたしても小路を疾走していく。空き地で息を切らし、振り返ると再び仇が追ってきた。2人は急いで飛ぶように走り、真っ黒などぶへと飛びこんだ。アウェイは目を閉じ辛そうに吐いている。突然アウェイはアジェの声を聞く。
「アウェイ!なんだよこれ!ここどこだよ?」アウェイが目を見開くと、水中には、色鮮やかな熱帯魚もいる。この風景はまるで、アウェイの家にある水槽の世界そのものだ。2人は顔を見合わせ、笑う。呼吸をする。アウェイにもアジエにも忘れられない、美しい青春のひとときである…。
スタッフ
監督・脚本:チャン・ツォーチ
エグゼクテイブ・プロデューサー:ルー・シイユェン、上田信(NHKエンタープライズ21)
撮影監督:チャン・イーミン
美術監督:チェン・ホァイエン
音楽:チャン・イー
編集:リャオ・チンソン
プロダクション・マネージャー:マァ・タイシャン
キャスト
アウェイ:ファン・チイウーイ
アジェ:ガオ・モンジェ
アウェイの姉:ウー・ユウジイ
アチャ:ツェン・イーチャア
アジェのおじ:ツァイ・ミンショウ
アジェの兄:フー・ホァンジー
アウェイの祖母:ユゥ・イェンメイ
LINK
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