原題:Canon of Mars

この星の恋愛は、いつも痛々しく、とても幸福。

第24回ぴあフィルムフェスティバル上映 第14回東京国際映画祭ニッポン・シネマ・ナウ正式出品::http://www.tiff-jp.net/ 第14回東京国際映画祭アジア映画賞受賞 第52回ベルリン国際映画祭フォーラム部門正式招待 第31回ニューディレクターズ/ニューフィルムズ正式招待 2002年ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭正式招待 モントリオール国際映画祭2002正式招待作品

2001年/日本/カラー/121分 配給:アルゴピクチャーズ、スローラーナー

2003年03月21日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年03月21日よりDVD発売&レンタル開始 2002年9月28日りシアターイメージフォーラムにてロードショー

公開初日 2002/07/01

公開終了日 2002/07/01

配給会社名 0090

公開日メモ 日本の女性監督の中でも長いキャリアを持つ一人。そのきめ細やかな人物描写は、デビュー当時より異彩を放ち、ビデオリリースされた『メロデ』『冬の河童』はロングセールスを記録するなど、カルトな人気を持つ俊英。

解説



この星のうえでくりかえされる、とても痛々しくて幸福な恋愛。

誰もの恋愛がそうであるように、絹子と聖のつつましやかでありふれた恋愛も、
本当はとてもこわれやすくて、続いていることがまるで奇跡みたいな恋愛だった。
好きな人と一緒にいる幸福。好きな人と一緒にいることのできない切なさ。

リアルで切ない、恋愛の幸福についての映画が誕生しました。それは、30歳を目の前にした絹子の実らない恋愛と、絹子が死ぬほど好きな少女、聖の物語。すごくありきたりで平凡な彼女たちの生活は、すごく壊れやすくて、恋愛の幸福と残酷さの間をいつも揺り動いているのです。まるで、それは火星(セックスとか闘いの意味がある)の神様が奏でるカノン、何度も繰り返される音楽みたいに…。『火星のカノン』は、94年のロッテルダム国際映画祭でタイガーアワード・グランプリを受賞した風間志織監督、7年ぶりの新作です。風間監督は82年に史上最年少、若干16才で情報誌「ぴあ」の主催するぴあフィルムフェスティバル(PFF)に入選した風間監督は、続いて第1回PFFスカラシップを獲得し『イみてーしょん、いんてりア』(85)を監督。そのきめ細やかな人物描写は、デビュー当時より異彩を放ち、ビデオリリースされた『メロデ』『冬の河童』はロングセールスを記録するなど、カルトな人気を持つ監督です。『火星のカノン』は、そんな風間監督が5年間あたためつづけた念願の企画なのです。この星の上で繰り返されている恋愛のカノン。絹子と聖、ふたりのカノンは、絹子の目からこぼれでた一粒の涙でひとまず暮を閉じますが、それは、また新しいカノンの始まりなのかもしれません。

風間志織監督と『冬の河童』の久野真紀子が、5年間あたたためていた新作は、
リアルで切ない、恋愛の幸福についての映画の傑作となって実った。

主演の絹子役には、『冬の河童』に続き風間作品は2度目の久野真紀子。92年黒沢清監督『地獄の警備員』でデビュー。風間監督と5年前からあたためていた本作では、古風でも粗野でもない現代女性の揺れる恋心を演じきりました。久野の恋人役・公平には、今まさに人気急上昇中の小日向文世。TVドラマ「HERO」をはじめ、多くの映画、TVドラマ、舞台には欠かすことの出来ない名脇役としての地位を不動のものにしました。2001年には『非・バランス』(冨樫森監督)に主演するなど、注目が高まっています。聖役・中村麻美は、95年『ファザーファッカー』(荒戸源次郎監督)で16才の時に主演デビュー。その後も『富江』(99・及川中監督)『東京ゴミ女』(00・廣木隆一監督)と主演作が続く、若手の実力派。そして真鍋役に、「MEN’S NONNO」などモデルとしても活躍中のKEE。98年に『ポルノスター』(豊田利晃監督)に出演し、活躍の場を映画、TVドラマ、CM、音楽活動など広げています。浮遊感のあるその存在は、本作でブレイク間違いなしのハンサム・ボーイだ。エンディング・テーマ曲はRCサクセションの名曲「たとえばこんなラブソング」。
だ。

ストーリー



とある日曜日、絹子(29)と公平(40)が公園でゆっくり寝そべっている。が、暫くして公平は時計を気にして帰り支度を始める。二人は、火曜日だけにしか会うことができないのだが、この日は特別に日曜の昼間に会っていたのだった。火曜日以外は、妻と娘が待つ自分の家に帰らなければならないのだ。火曜日、公平を待つ絹子は、自称「路上の言葉職人」真鍋(23)と出会う。彼と一緒にいたのが、彼の部屋の居候・聖(20)。息投合した三人は真鍋の家で食事をしょうということになるが、買い物の途中で娘のありみ(8)と一緒にいる公平に会ってしまう。落ち込む絹子を聖はなじる。甲斐甲斐しく絹子の世話を焼くかと思うと、公平と別れろと口うるさい聖。別れた方がいいと分かっているのに、絹子は、公平との恋愛を終わらすことができないでいたのだ。
そんな時、其鍋に部屋を追い出された聖は、絹子の家に転がり込む。その夜、公平が待ち合わせに遅れた為に風邪をひいた絹子を、聖は一生懸命看病する。しかしまた、公平がやってきて追い出されてしまう。あとは自分が看病するからと、火曜日でもないのに絹子の部屋を訪れた公平。絹子は、幸福に包まれるが、彼女が寝入ると、公平はまた自分の家に帰ってしまうのだった。

数日後、聖は絹子の隣の部屋に引っ越してくる。聖は絹子のことが好きなのだった。告白されてとまどう絹子。聖は、絹子いつでもと一緒にいたくて、公平と絹子を引き離そうとするが、かえって絹子を暢つけ、拒否されてしまうのだった。

温泉宿に行った絹子と公平は、久しぶりに水入らずを楽しむ。が、娘の急病で公平が帰ることになる。予定を繰り上げて帰ってきた絹子は荒れていた。寂しくて腹立たしくて涙を流す絹子の声を、隣の部屋で聖は聞いていた。
そんな聖に絹子から、お腹がすいた、と零話がかかってくる。
聖は、絹子の食事を作ると部屋から飛び出していった。

公平は、ハゲで、いい加減で、好きだといえばどうにでもなると思っているしょうもない男。でも、絹子は公平が好きだった。別れた方がいいと分かっているのに、別れることができなかった。そんな絹子が愛おしくて、聖は絹子の唇にキスをした。

謝りながら絹子の部屋を飛び出した聖。うずくまる聖の部屋のドアを絹子がノックした。
「ひとりにするなよ」
二人は、いつしか抱き合い、唇を重ねるのだった。

3ヶ月後、一軒屋に移り住んだ二人のところに、何故かありみがやってくる。絹子のことが原因で妻と喧嘩をして、公平が家を出て行ったらしい。お父さんが来るまで帰らないと駄々をこねるありみ。でも、絹子は公平と連絡さえとっていないのだ。暫くして公平も訪ねて来る。四人で、まるで家族みたいな晩御飯がはじまった…

誰もの恋愛がそうであるように、絹子と聖のつつましやかでありふれた恋愛も、本当はとてもこわれやすくて、続いていることがまるで奇跡みたいな恋愛だった。

その夜、絹子の目から涙が一粒こぼれた。
好きな人と一緒にいる幸福。
好きな人と一緒にいることのできない切なさ。

スタッフ

監督:風間 志織

企画・製作:伊藤直克、岡田裕、岡本東郎、斉藤緑
脚本:小川智子、及川章太郎
撮影:石井勲
照明:大坂章夫
録音:鈴木昭彦
美術:松本知恵
音楽:阿部正也
スタイリスト:日下部慶子
ヘア&メイク:石山美子
編集:島村泰司
記録:田口良子
助監督:島田明生
監督助手:宮田宗吉、高橋貴司
製作主任:加々見剛

製作:アルゴ・ピクチャーズ、バップ、アンフィニー

キャスト

竹内絹子:久野真紀子
出口公平:小日向文世
時田聖:中村麻美
真鍋辰也:KEE
出口ありみ:はやさかえり

LINK

□公式サイト
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す