ロック、ストック＆フォー・ストールン・フーヴス

借金返済に当てる金を得るための計画を立てたワル４人組。しかし事態は彼らの予想もつかない方向へ転がり始め…。
あの『ロック、ストック＆トゥー・スモーキング・バレルズ』が装いも新たにＴＶヴァージョンで復活！99年に公開されるや、その映像、音楽、ファッションのカツコよさ、こりまくったストーリーが大絶賛され、スマッシュ・ヒット。無名の新人監督ガイ・リッチーを一躍時の人に押し上げたのは記憶に新しい。リッチ—は今年あのマドンナと結婚、ブラッド・ピットを主演に迎えた新作『スナッチ』も大ヒットさせ、早くもスター監督の仲間入りを果たしている。本作はそのガイ・リッチー製作総指揮、脚本で参加した、出世作『ロック、ストック〜』のＴＶ版。昨年暮れよりイギリスのＴＶ局、チャンネルフォーで全7話のミニ・シリーズとして放送されたもので、本作はそのパイロット版（第1話）です。キャストは一新されましたが、リッチーをはじめオリジナル・スタッフが多数参如し、あの“ジェト・スクリュー・クライムストーリー”はこのＴＶ版でさらにパワーアップ！全ての『ロック、ストック〜』ファン待望のニュー・バージョンがいよいよ本邦初お目見えです！

【チェック・ポイント！】

この春劇場公開された『スナッチ』もほぼ同時期にソフトリリースとなる、ガイ・リッチー監督のデビュー作『ロック、ストック＆トゥー・スモーキング・バレルズ』のテレビ版リメイク・シリーズで、ガイ・リッチーと、彼とコンビを組んできたプロデューサーのマシュー・ヴォーンが製作総指揮をつとめるクライム・アクション・コメディ。監督のシェリー・フォークスンは、専ら英国のテレビで活躍していて、本作の後で今年になってから『GYPSY WOMAN』なる劇場用監督デビュー作を撮っているようだ。
　パブ“ザ・ロック”のオーナー（気持ち出世−笑−）で気のいいワルの４人組、ポルノ王であり街を牛耳るギャングのボスのマイアミ・ヴァイスと、そのライバルで４人組の一人リーの叔父にあたる黒人ギャング団のボスのファイヤー・バグ（アフロじゃなくかったけど、手…というより火の早さはパワー・アップか？）、チビだけど粋なギリシャ人の故買屋ネファリアスとそのゲイテイストな部下、ラリパッパなオランダ人のチンピラ二人組にムーンの従兄弟にあたるヒッピー風な泥棒集団（ほとんど、ブラピのヒッピー一家みたいな感じ、つまり『スナッチ』要素まで欲張ってごった煮的に詰め込みましたって感じです）と、今回もどこかで聞いたことがあるような…ってのはまぁ、いわばリメイク作品なんで当たり前でしょ…揃いも揃って個性的過ぎる悪党どもが、ポルノビデオと成キン（秒針の揺れ方が、絶妙に悪趣味−笑−）趣味の腕時計、そして今回のタイトルにもなっている４っつの蹄の持ち主である競走馬を巡って用意周到のつもりが行き当たりばったりで、予測不能・右往左往・堂堂巡り・七転八倒・容姿端麗・委細面談（意味無し）な騒動が繰り広げられていくわけだ。
　オープニング直後で、“ザ・ロック”の踊り子オーディション場面が挿入され、また４人組の一人ジェイミーと幼馴染のローラのラヴ・アフェアが描かれかけたりで、珍しく今回は女も絡む物語なのかと思ったのも束の間、その後の物語にはまったく絡んでこないあたりは、やはりリッチー印だなと妙に納得。
　物語が進みクライマックスでは、やはり今回も退場していく人間が激増するあっけらかんとした持ち味も、同じじゃんと思いながら楽しいもんだ。ただそんな中で、最後にあいつ（ら）とあいつ（ら）が（本当に()内が必要なのかどうかは内緒）生き残って、なおかつあいつ（ら）が最後に笑う展開は、ちょっと普通すぎる印象も。ただ、これがＴＶ版の最初のエピソードであることを考えれば、次回以降の展開もあるから正解なのかも。でも、だとすると、この続きのエピソードも、やはり見てみたい気が沸々と湧いてくるのだ。いかがでしょうか＞リリース・メーカー様。
（殿井君人）