フォーン・ブース
原題:Phone Booth
2003年4月4日全米初公開
2002年/アメリカ映画/カラー/81分/ 配給:20世紀フォックス
2010年08月04日よりDVDリリース 2007年11月21日よりDVDリリース 2005年04月28日より『アイ・ロボット』と二枚組のスーパーパックDVDリリース 2005年04月20日より『タイガーランド』も収めた特別編〈初回生産限定〉DVDリリース 2005年03月16日よりDVDリリース 2004年11月26日よりDVD発売開始 2003年11月22日より日比谷スカラ座ほか、全国東宝洋画系にてロードショー
公開初日 2003/11/22
配給会社名 0057
解説
たまたま公衆電話の前を通りかかったときにベルが鳴ったら、あなたはどうしますか?たとえ間違い電話だと分かっていても、何気なく受話器を取ってしまうはずです。
鳴り響くベルは早く電話に出ろと命令しているようなもの。反射的に受話器に手を伸ばしてしまったスチュ・シェパードは、とんでもないゲームに巻き込まれることになる。誰だか知らない電話の向こうの声が、突然「電話を切ったら命はないぞ」と彼に理不尽な警告を発したのだ!!
スチュは自称一流のパブリシスト。傲慢で嘘をつくことをなんとも思わない軽薄なギョーカイ人。今日もアシスタントを従え、2台のケ一夕イでクライアントと媒体を操りながらニューヨークのど真ん中を闊歩する。やがてアシスタントと別れたスチュはこの界隈に1台しかないフォーン・ブース(電話ボックス)に入り、結婚指輪をはずしてクライアントの新進女優パメラに電話をかけた。しかし、スチュが受話器を置いて外に出た途端、ベルがけたたましく鳴り始める。思わず受話器を手に取ったスチュ。そして、それが悲劇の始まりだった。
電話の発信者はなぜかスチュの私生活を熟知していた。彼はどこからかライフルでスチュを狙い、言うことを聞かなければ殺すと脅迫する。そして、その公衆電話をめぐってスチュといざこざを起こしたポン引きが目の前で射殺される。ボックスを包囲する警察。スチュに電話を切るよう説得するレイミー警部。妻と恋人に真実を告白して謝罪しろと強要する電話の声。やがて妻ケリーとパメラも現場にやってくる。この異様な状況の中で、スチュがとった行動とは!?そして彼は、閉じ込められているその電話ボックスから生きたまま脱出することが果たしてできるのか!?
電話ボックスの中だけで展開する映画ができないか?脚本家ラリー・コーエンが考えたこの独創的なアイデアが、コリン・ファレル&ジョエル・シューマカー監督という「タイガーランド」のコンビによって実現した。通行人が行き交う大都会で、人の視線を遮ることのできないガラスの箱、フォーン・ブース。現代社会ではプライバシーなどないも同然。自分が気づかないところで誰かに見られているかもしれない。ケータイが世を席捲するご時世に、ニューヨーク8番街53丁目にあるフォーン・ブース最後の使用者となったスチュは、電話の声によって虚飾をはがされ、底知れぬ恐怖を体験する。それは不条理でありながらも、誰にでも起こりうる状況。シンプルなプロットの中に様々な要素を注ぎ込んだ濃密な脚本が、心理アクションともいうべきドラマチックで力強いストーリーをエッジなシチュエーション・ハイテンス・スリラーとして紡ぎ出していく。
“解放的な密室”というユニークかつ特殊な舞台設定で、いかにして観客の興味を映画に引きつけるか。これは監督にとっても俳優にとっても大きなチャレンジだった。全篇出ずっぱりのスチュ役にコリン・ファレルを選んだのはシューマカー監督自身。「タイガーランド」(00)でハリウッドに新風を吹き込んだファレルは、今や「マイノリティ・リポート」(02)、「デアデビル」(03)と悪役も楽しみながら若手スターの頂点に立った。今回は、傲慢な男が突然生死の狭間に追いやられたことにより、虚栄を一枚一枚はがされ、否応なく薄っぺらな自分の生き方を振り返り、しだいに変わっていく過程を緊張感たっぷりに演じている。ブースの中での限定された動きと電話の会話だけで一瞬たりとも見る者の目をそらさせない演技力はもちろんだが、嫌みなキャラクターもチャーミングに見せてしまう“華”を発散させて旬の魅力。
一方、スチュを恐怖のどん底につき落とす電話の“発信者”役に選ばれたのは、これまで「ロストボーイ」(87)、「フラットライナーズ」(90)、「評決のとき」(96)と3本の映画でシューマカーと仕事をしているキーファー・サザーランド。「人を意のままに動かす説得力のある声をもっている」という監督の言葉が、映画を“聞けば”納得できる。
また、現場の指揮をとるタフだが心優しいレイミー警部には、「バード」(88)でカンヌ国際映画祭の男優賞を受賞し、「フライング・ゲーム」(92)、「ゴーストドッグ」(99)、「パニック・ルーム」(02)などの印象的な演技で知られるフォレスト・ウィティカー。貞淑な妻ケリーには「ハイ・アート」(98)、「ピッチブラック」(00)のラダ・ミッチェル、スチュがベッドを共にしたいと願っている新進女優のパメラには「鬼教師ミセス・ディングル」(99)、「ギフト」(00)などのケイティ・ホームズが起用された。
「タイガーランド」でドキュメンタリーを思わせる臨場感を見せた撮影監督マシュー・リバティックとプロダクション・デザイナーのアンドリュー・ローズが、今回もタイムズスクエアを緊迫した“舞台”に作り変え、最大4台のカメラを多様なアングルで駆使してダイナミックかつ流麗な映像を生み出している。
最後にこの映画の秀逸なアイデアの生みの親である脚本家ラリー・コーエンの言葉を紹介しよう。「これはポップコーンやドリンクを買いに途中で席を立てるような映画じゃない。ローラーコースターに乗ったような興奮。コリンと緒にフォーン・ブースに閉じ込められて運命を共にしているという実感。こんな映画、滅多にないよ」。
ストーリー
ニューヨーク・シティ。800万人か暮うすこの町では、電話の回線が1000万本を越え、300万人がケータイを使用している。公衆電話を利用する200万人の最後の聖域は8番街53丁目にあるフォーン・ブース(電話ボックス)。多発する犯罪のために取り壊される運命にあるこの公衆電話の最後の利用者はスチュ・シェパード(コリン・ファレル)になった。
様々な人種や職種の人でごった返すタイムズスクエアをアシスタントのアダムを従えながら肩で風切って歩く彼は、自称一流のパブリシスト。ケータイ片手に次々とクライアントや関係各社に電話をかけまくり、舌で相手を丸めこんでは契約を成立させる。スチュいわく、パーティで顔を売り流行のヘアスタイルと派手なブランドスーツで外見を決めるのが一流の証。ゴシップを仕入れて媒体に売れば、仕事もスムーズに進行する。嘘も方便。それが現代の、この業界の常識というものだ。そんなスチュをどこかから覗いているように、男の声が聞こえてくる—「えらぶるサルほど態度がデカい」。
アダムと別れたスチュはケータイをしまってフォーン・ブースに入ると、結婚指輪をはずした。そこにやってきたのはピザ屋の配達人。スチュはたのんでもいないのにうるさくつきまとうピザ屋に苛立ち、金を渡して「お前が食え!」と乱暴に追い出した。
彼が電話をかけた相手はクライアントの新進女優パメラ(ケイティ・ホームズ)だった。「君の今後について話がしたい」と誘いをかけるが、返事は芳しくない。しかたなく受話器を置いてブースから出るとベルが鳴り始める。思わず受話器を取るスチュ。相手はせっかくピザを贈ったのに感情を傷つけられたことに怒っていた。「???」。まるで事態が飲みこめないスチュに、電話の声(キーファー・サザーランド)は強圧的に「オレに従え!」と命令する。謎の発信者はなぜかスチュの私生活を知り尽くしていた。上辺だけ大物を気取って、嘘で世間を欺いていること。貞淑で美しい妻ケリー(ラダ・ミッチェル)がいながら、独身と偽ってパメラを狙っていること。ケータイの履歴が妻にバレないようにパメラヘかけるときだけは公衆電話を利用していること……。そして、彼はどこかからこのフォーン・ブースをうかがっていた。
発信者は真実を告白するようスチュを脅迫する。パメラとケリーに電話して、その会話をスピーカーフォンでスチュにも聞かせる。彼女たちにバラすのはとても簡単なことなのだ。ブースの外では長電話に苛立った娼婦たちがわめき始めていた。しかし、発信者は「電話を切ったら殺す」と不条理な怒りを募らせる。それを証明するように受話器の向こうでライフルの撃鉄をおろす音がし、スチュのシャツの上を照準器の赤い点が動き回った。発信者はまた、すでに“処刑”した二人の男のことを話す。そのとき、娼婦たちに呼ばれた用心棒が現れてスチュと口論になり、発信者のライフルから銃弾が発射される。
周辺は騒然となった。スチュが殺したとわめき散らす娼婦たち。スチュはポケットからケータイを取り出して警察に通報するが、これが発信者にみつかって発砲される。彼はスチュを殺したくてうずうずしていた。そこに警察の一隊が到着する。交渉に当たったレイミー警部(フォレスト・ウィティカー)はスチュにブースから出るよう説得するが、発信者は電話を切ったり、自分の犯行だとバラせば命はないと脅す。スチュは発信者に命令されるまま警察に暴言を吐き、警察は電話の盗聴や相手の逆探知を試みるが妨害電波のために失敗する。
そこにケリーがやってきた。彼女の身を案じたスチュは「妻じゃない」と発信者に嘘をつくが、そんなことはお見通し。やがてパメラも現場に現れた。発信者は、女たちを傷つけたくなければブースの天井に隠してある銃をとり、ピンクのカーテンが翻る窓の奥にいる自分を撃てとスチュを挑発する。銃に指紋をつけて殺人犯に仕立てようという発信者の罠であることは歴然としていた。やがて警部もスチュの機転で発信者の存在に気づく。
スチュと発信者の死のゲームは、さらに危険なステージヘとレベルアップしていった。発信者の身元を割り出す時間を稼ぐようスチュにサインを送る警部。スチュに照準を定めている警察のスナイパー。テレビカメラに向って真実を告白しろと言い募る発信者。そして、スチュの選んだ結末は—!?
スタッフ
監督:ジョエル・シューマカー
脚本:ラリー・コーエン
製作:デイヴィッド・ザッカー
ギル・ネッター
製作総指揮:テッド・カーダイラ
撮影監督:マシュー・リバティック
プロダクション・デザイナー:アンドリュー・ローズ
編集:マーク・スティーヴンス
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
キャスト
スチュ・シェパード:コリン・ファレル
レイミー警部:フォレスト・ウィティカー
パメラ・マクファデン:ケイティ・ホームズ
ケリー・シェパード:ラダ・ミッチェル
電話の“発信者”:キーファー・サザーランド
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