原題:BLOW DRY

乾かない夢の物語 イギリスの田舎街。失った家族とプライドを取り戻すため、伝説のハサミが復活する。

2001年3月31日イギリス初公開

2000年/イギリス/カラー/ビスタサイズ/SRD/95分 配給:ギャガコミュニケーションズ

2001年12月15日よりシャンテシネほか全国の劇場で順次ロードショー公開

公開初日 2001/12/15

配給会社名 0025

公開日メモ 『ヴァージン・スーサイズ』のジョシュ・ハートネット、『シーズ・オール・ザット』のレイチェル・リーが出演するイギリスから心を熱くするドラマがやってくる。全英一の美容師の父と一緒に働く息子ブライアン(ジョシュ・ハートネット)、10年前から交流が途絶えた別居中の母。全英ヘアドレッサー選手権にプライドを掛けた息子をきっかけに家族が再生していくドラマ。

解説


『パール・ハーバー』で主演のベン・アフレックをしのぐ好演を見せ、一躍大ブレイクの時を迎えたジョシュ・ハートネット。彼が美容師を演じる『シャンプー台のむこうに』は、『フル・モンティ』でオスカー候補になったサイモン・ボーフォイの脚本を映画化した、ちょっと風変わりな家族の再生の物語。女性と恋におちて家を出た母、かつての栄光に背を向けて田舎町で理髪店を営む父、その父に不甲斐ない思いを抱きながら自分の道を模索する息子。それまでバラバラに生きて来た彼ら家族が、全英ヘアドレッサー選手権出場に向けて心をひとつにしていく姿を、華やかなコンテストを背景に描いた爽やかなヒューマンドラマだ。
舞台は、ヨークシャーのキースリー。この町で全英ヘアドレッサー選手権が開催されることになり、葬儀場で死体相手にカットの練習を重ねていたブライアンも、出場の意欲をかきたてられる。だが、妻が家出して以来、負け犬人生を送る父のフィルは、選手権2連覇の過去の栄光もどこへやら、我関せずを決め込んでいた。そんなふたりの前に現れるブライアンの母シェリー。ガンで余命いくばくもない彼女にとって、この選手権は、家族との絆を取り戻す最後のチャンスだった。その願いを背に受けて、初のコンテストに挑戦するブライアン。彼を特訓し、自らもハサミを握って選手権の晴れ舞台に復活するフィル。そして、フィルの芸術的ヘアに自分のすべてを捧げるシェリーの恋人サンドラ。10年間わだかまりを抱えて生きてきた4人が、おたがいを赦しあい、家族の再生と優勝という目的に向ってひとつになる過程が、ここではコンテストのエキサイティングな勝負の行方と共に描かれていく。
主人公一家の前に立ちはだかるライバルの美容師。彼の娘とブライアンのあいだに芽生える『ロミオとジュリエット』ばりのロマンス。多彩なエピソードを配して展開する物語は、イギリス映画らしいエッジのきいたユーモアあふれるタッチ。その魅力を、いっそう輝かせているのが、英米混合チームのゴージャスなキャスティングだ。
両親の板ばさみになりながら、健気に美容師修行に励むブライアンを演じるのは、出世作の『パラサイト』以来、上り調子のキャリアを一直線に歩むジョシュ・ハートネット。彼と恋におちるヘア・カラーリスト志望の美少女クリステイーナを演じるのは、『シーズ・オール・ザット』のレイチェル・リー・クック。ハリウッドから迎えられた若手ふたりのフレッシュな個性は、映画のいきいきとした味の決め手。とりわけ、ヨークシャー詑りを巧みに操るハートネットのキュートな純朴青年ぶりは、ファンをおおいに魅了しそうだ。
いっぽうのイギリス勢は、いずれ劣らぬ演技派スターが顔をそろえている。選手権を通じて失った誇りと愛の両方を取り戻していくフィルに扮し、ハサミの魔術師の名に恥じない手さばきを披露するのは、『ダイ・ハード』『ギャラクシー・クエスト』などの怪演で知られるアラン・リックマン。そのフィルの元妻で、選手権出場のきっかけを作るシェリーの役柄に、強さと優しさを滲ませるのは、『ネル』のナターシャ・リチャードソン。また、シェリーの陽気な恋人サンドラには、『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』でオスカー候補になったレイチェル・グリフィスが扮し、クライマックスの大変身ぶりであっと驚かせてくれる。
その他のキャストにも魅力の顔ぶれがそろった。勝つためには手段を選ばないフィルの宿敵レイを演じるのは、『スティル・クレイジー』のボーカリスト役で脚光を浴びたビル・ナイ。彼の狡猾な助手ルイスを演じるのは、『ノッテイングヒルの恋人』のヒュー・ボーンヴィル。自らマイクを握り、選手権の司会をノリノリでつとめる市長には、TVシリーズ「Dalziel and Pascoe」で人気を集めるウォーレン・クラーク。さらに、フィルとレイのライバル・チームのヘア・モデルの役で、スーパーモデルのハイジ・クラムが出演、ピンクのピュービック・ヘアで仲間割れを招くコケティッシュな快演を見せる。
脚本家のサイモン・ボーフォイを筆頭に、新鋭のパデイ・ブレスナック監督を支えるスタッフは、いずれも旬のイギリス映画を代表するベテランぞろい。作品の要とも言うべきヘア&メイクを担当し、選手権シーンの凝ったヘア・デザインで楽しませてくれるのは、『エリザベス』でオスカーを受賞したジェニー・シーコア。衣装デザインは、『ウェイクアップ!ネッド』のロジー・ハケット。美術監督は、『ジャニスのOL日記』のソフイー・ベッヒャー。そして音楽は、『ハムレット』と『いつか晴れた日に』でオスカー候補にあがったパトリック・ドイルが担当している。製作総指揮は、『愛と哀しみの果て』のオスカー監督シドニー・ポラック。この作品は、『スライディング・ドア』に続き、彼のミラージュ・エンタープライズが製作に参加した2本目のイギリス映画となる。

ストーリー



ヨークシャーのキースリー。気のいい住民たちが慎ましやかに暮すこの町が、突如お祭り騒ぎの震源地になった。ノーテンキな市長トニー(ウォーレン・クラーク)の肝入りで、全英ヘアドレッサー選手権が開催されることになったのだ。
この決定に色めきだったのは、父の理髪店で下働きをしながら、バイト先の葬儀場で死体相手にカットの練習に励んでいるブライアン(ジョシュ・ハートネット)だった。全英一の美容師を目指す彼にとって、選手権は絶好のチャンス。しかし、父のフィル(アラン・リックマン)は、「息子と組んで出場しろ」と促す市長の言葉にも耳を貸そうとはしなかった。フィルは、かつてこの選手権で2連覇を重ねた伝説のハサミ師だった。が、3連覇を目前に控えたとき、妻のシェリー(ナターシャ・リチャードソン)が、ヘア・モデルのサンドラ(レイチェル・グリフィス)と共に家出。以来10年間、夢破れて理髪店のオヤジに甘んじる人生を送っているフィルは、シェリーとサンドラを決して許さず、近所に理容室の「カット・アバーヴ」を構えるふたりと一言も言葉を交わそうとしなかった。
その冷戦状態が破られる日がやって来る。フィル親子の店を訪ねて来たシェリーが、サンドラも交えた「家族」で、選手権に出場しないかともちかけたのだ。実はシェリーはガンの再発を宣告されていた。命の期限を知った彼女は、「死が近いとわかっていれば、それまでに問題を解決できる」という常連客のデイジーの言葉に励まされ、フィルとブライアンとの絆を取り戻そうとしていたのだ。しかし、事情を知らないフィルは、シェリーの提案を無視。ブライアンも黙って父の決定に従うしかなかった。
そのころ、キースリーの町には、イギリス中の腕利き美容師たちが続々と到着していた。モデルをつとめる娘のクリスティーナ(レイチェル・リー・クック)と、助手のルイス(ヒュー・ボーンヴィル)を連れ、ロンドンから参加したレイ(ビル・ナイ)も、そのひとり。現在2連覇中の彼は、かつての宿敵フィルが達成しそこねた3連覇の記録を狙い、目的のためなら手段を選ばない作戦に出ようとしていた。
そんなレイの親子と前夜祭のパーティで顔を合わせたブライアンは、幼なじみのクリステイーナの美しく成長した姿にひと目惚れ。同時に、レイから浴びせられた侮辱の言葉に闘志をかきたてられ、シェリーのチームに加わって選手権に出場しようと決心する。その晩、ヘア・カラーリスト志望のクリスティーナをバイト先の葬儀場に誘ったブライアンは、彼女に死体を練習台に使う方法を伝授。ふたりはすっかりいいムードになるが、途中で葬儀場から閉め出されるハプニングが起こり、パンクなカラーに染め上げたパートン氏の遺体の髪を元に戻せなくなってしまう。
翌朝、解決方法がみつからないまま、選手権の会場に滑り込むブライアン。シェリーが客席から見守るなか、1回戦の「女性ヘア・ブロー部門」に出場した彼は、サンドラをモデルにドライヤーを握るが、パートン氏の遺族にみつかって会場から逃げ出すハメに。そこに駆けつけたフィルが、ブライアンと激しく言い争うのを聞いたシェリーは、たまらずカツラを取って自分の病状を告白する。
「この選手権は、私の最後の賭けなの。それでも頼みを聞いてくれないの?」
あぜんとするフィルとブライアン。
そのころ、選手権の会場では、レイの策略によって、他の参加者たちのクシが溶け出す事態が発生していた。コンテストは一時中断され、その間にブライアンも会場へ。しかし、結果的にはレイがぶっちぎりで同部門の1位をモノにした。
シェリーの真意を知り、レイのイカサマに怒りをかきたてられたフィルは、チームに協力することを決意。ブライアンに「男性フリースタイル部門」の勝負のコツを教え、モデルの割り当てでインチキをはかったレイの作戦を妨害する。これが見事に功を奏し、カット・アバーヴのチームは4位に浮上した。次は、シェリーが腕をふるう「ナイト・ヘア部門」。だが、ここで再びアクシデントが発生する。シェリーに死期が迫っていることを知らなかったのは自分だけだと気づいてショックを受けたサンドラが、モデルを追い返したあげく出て行ってしまったのだ。しかしシェリーはあきらめなかった。80歳のデイジーを病院から連れ出した彼女は、デイジーの白髪をバロック・スタイルに結い上げ、この部門の優勝をさらった。
残るは、ヘアからファッションまでのトータルなコンセプトを競いあう「トータル・ルック部門」だったが、レイに3点差まで詰め寄ったカット・アバーヴのチームが逆転優勝するには、なんとしてもモデルになるサンドラの協力が不可欠だった。
「目標は優勝じゃないの。私たち4人が家族になることよ」
シェリーの言葉を背に受けたフィルは、実家に帰ったサンドラを訪ね、チームに戻ってくれと願い出る。「シェリーには、ぼくたちふたりが必要なんだ」
そのひとことを聞いたサンドラの顔に、いつものいきいきとした笑みが蘇る。
そしていよいよ決戦の時がやって来た。ハサミのタトゥーが刻まれたハダシ姿も勇ましく、10年ぶりに選手権の会場に立つフィル。ブライアンとシェリーの応援を受け、カット台のサンドラと目を見交わした彼の手には、バリカンが握られていた!

スタッフ

監督:パディ・ブレスナック
脚本:サイモン・ボーフォイ
製作総指揮:シドニー・ポラック
製作:ルース・ジャクソン、ウィリアム・ホーバーグ、デビッド・ルービン
音楽:パトリック・ドイル
ヘア&メイク:ジェニー・シーコア
衣裳デザイン:ロージー・ハケット
美術監督:ソフィー・ベッヒャー

キャスト

ブライアン・アレン:ジョシュ・ハートネット
フィル・アレン:アラン・リックマン
シェリー・アレン:ナターシャ・リチャードソン
サンドラ:レイチェル・グリフィス
クリスティーナ・ロバートソン:レイチェル・リー・クック
レイ・ロバートソン:ビル・ナイ
ルイス:ヒュー・ボーンヴィル
市長トニー:ウォーレン・クラーク
ジャスミン:ハイジ・クラム

LINK

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