1979年10月06日初公開 1980年10月9日全米初公開 

1979年/日本映画/147min/4,029m/カラー/ビスタビジョンサイズ 配給:東宝 発売:アミューズピクチャーズ

2001年9月21日DVD発売 2001年9月21日ビデオ発売&レンタル開始 1979年10月06日より東宝系にて公開

解説


デビュー作『青春の殺人者』で「キネマ旬報」ベストワンなど各映画賞を総ナメにした鬼才・長谷川和彦監督が放った、今やカルトとまでなった伝説の巨編。平凡な一教師が原爆を作り上げるという卓抜した発想を、鋭い風刺とパワフルな演出で映像化。実際のデパートを使って撮影された群衆のパニック・シーンや、10数台のパトカーと公道でのカーチェイスなど、日本映画離れしたスケールの本作は、映画ファンから絶大な支持を得、世紀が変わった現在に至るまで、そのカリスマ性はいささかも衰えていないばかりか、むしろその評価は上がっているといえる。
 主演は、初の本格的演技で高い評価を得た沢田研二と、圧倒的な存在感を示す菅原文太。原案・共同脚本は、高倉 健主演のアメリカ映画『ザ・ヤクザ』のレナード・シュレイダー、音楽に『前略おふくろ様』『青春の蹉跌』の井上堯之、製作に『ベルサイユのバラ』『バンパイアハンターD』などの国際的プロデューサー山本又一朗を迎え、1970年代掉尾を華々しく飾る金字塔として語り継がれている。
ネット上の某サイトで、DVD化希望の映画のアンケートをおこなったところ、一番多くの票を集めたのが本作であった。業界内でもDVD化の問い合わせがかつてなく多く、まさに満を持してのリリースといえる。

ストーリー



プルトニュウムさえあれば原爆を作ることはそれほどむずかしくない。現に、アメリカの大学生が原爆を作り上げて世界を震撼させたことがあった。
 東海村の原子力発電所が一人の賊に襲われた。警察庁長官は「盗難の事実は一切ない」と言明したが、警視庁の山下警部は公式発表の裏にある政府の狼狽ぶりを直感していた。
 中学の物理学教師、城戸誠の部屋は、いま実験室のように模様替えされている。半透明のビニールが張りめぐらされ、ガイガー・カウンターや誘導炉、結晶蓚酸やフッ化水素酸等の薬品が所狭しと並んでいる。そして、宇宙飛行士スタイルの誠が目を血走らせて何かを作り出そうとしていた。
 数日後、警察庁長官室に奇妙な物体が置かれていた。東海村襲撃犯人から届いたもので、専門家による解体の結果、模擬原爆であることが判明した。中心部に納まっている金属プルトニュウムのかけらから判断すると、犯人は盗んだ液体プルトニュウムを金属プルトニュウムに変化させ、完全な原爆を完成したに違いない。そして犯人は、なぜか山下警部を連絡相手に指名していた。
 城戸誠は完成した原爆を前に途方にくれていた。原爆を作りあげたものの、この強大な力を背景に自分は何をしようとしているのだろう。とりあえず模擬爆弾を送り、政府に何かを要求するつもりだ。交渉相手には山下警部を指名した。誠は山下と顔見知りであった。東海村襲撃の下見をかねて生徒たちと原発を見学した帰り、機関銃と手榴弾で武装した老人にバスを乗っ取られたことがある。「陛下に会わせろ」とわめく老人の要求で坂下門に突っ込んだバスから、生徒を救出し、銃弾に腹をえぐられながら犯人を逮捕した男が山下だ。教師に飽きた自分と比べて仕事に命を張った山下の行動は人を圧倒するものがあった。もう一度逢ってみたい男。だから山下を指名した。犯人から連絡を受けた山下警部は驚いた。
「テレビのナイターを最後までキッチリ見せてよ」これが原爆という強大な力を持った男の要求か。いまの若い奴は何を考えているのだろう。さめた目で妙に腹を据えて生きている。バスジャック事件で出逢った青年教師も、特におびえた様子もなく、風船ガムを噛みながら落ち着きはらったものだった。
 その日のナイターは試合終了まで完全中継された。第2の要求を何にすべきか誠は若者のアイドル沢井零子のDJ番組に電話で相談してみた。何でも望みがかなうアラジンの魔法のゲンバクは大反響を呼んで、たくさんのアイディアの中から誠は「ローリングストーンズ日本公演」を採用した。ローリングストーンズは日本公演を前に、ドラッグ常習者という理由で入国を拒否されていた。
 刑事にどっと押し寄せられて、沢井零子はゲンバクの電話がジョークでなかったことを知った。放送中何回か見かけた気になる人影。零子は本番をほったらかして追いかけた。零子だけが知った原爆犯人の素顔。しかし、そのハンサムな青年は零子の唇にキスと指の間に一握りの髪の毛を残して消えた。零子の指に絡みついた髪の毛は彼が放射能に犯されていることを物語っていた。
 次の要求は5億円。誠はこんな要求はしたくなかったのだ。原爆を作るためにサラ金から借りた50万円。返済を迫るサラ金業者のしつっこさにネをあげてしまったのだ。山下警部は張り切った。今までは犯人からの一方通行だが今度は違う。金の受け渡しなら必ず犯人と接触出来る。大きなトランク二つ分の現金を犯人はどうやって受け取るつもりなのだろう・・・・
(公開当時のプレス資料より)

スタッフ

製作:山本又一朗
プロデューサー:伊地智啓
原作:レナード・シュレイダー
脚本:長谷川和彦
監督:長谷川和彦
助監督:相米慎二
撮影:鈴木達夫
音楽:井上堯之
音楽プロデューサー:多賀英典
美術:横尾嘉良
録音:紅谷愃一
照明:熊谷秀夫
編集:鈴木晄
製作:キティ・フィルム・コーポレーション
配給:東宝

キャスト

沢田研二
菅原文太
池上季実子
北村和夫
神山繁
佐藤慶
伊藤城之助
風間杜夫
小松方正
西田敏行
水谷豊

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