原題:Enigma

2001年サンダンス国際映画祭出品

2001年9月28日イギリス初公開

2001年/イギリス映画/6巻・3253m/上映時間119分/スコープサイズ/ドルビー・デジタル/ 日本語字幕:岡田壮平/原作:ロバート・ハリス「暗号機エニグマへの挑戦」(新潮文庫刊)/ サントラCD:ユニバーサル クラシックス 提供:松竹株式会社、株式会社東芝 配給:松竹株式会社 

2003年10月25日よりDVD発売&レンタル開始 2003年10月25日よりビデオレンタル開始 2003年5月17日より渋谷東急3他全国ロードショー

公開初日 2003/05/17

配給会社名 0003

解説



暗号機エニグマの解読は、歴史に隠された驚愕の秘密への挑戦だった!

ミック・ジャガー初プロデュース! ロバート・ハリスの大ベストセラー、遂に映画化!

 1964年にデビューし、今も新たなる伝説を打ち立てている驚異のロックグループ、ローリング・ストーンズ。そのヴォーカリストで、音楽界のスーパースターであるミック・ジャガーが、遂に映画製作に乗り出した。アメリカ、イギリスの両国をまたにかけるジャグド・フィルムを設立したのだ。俳優としてすでに数多くの話題作に出演している彼が、満を持して世に送り出した記念すべき初プロデュース作品、それが本作『エニグマ』である。
 原作は、ロバート・ハリスの大ベストセラー小説「暗号機エニグマへの挑戦」。1995年にイギリスで出版されるや否や15週間もの間、ペーパーバック・ベストセラーのトップ10を飾り続け、その後は23もの国で翻訳出版された。舞台は第二次世界大戦時のイギリス。終戦後も長らく国家機密として隠されてきた暗号解読者の活躍という史実をベースに、彼らの中でも特に天才的な才能を持つ主人公が二つの謎を追いかけるという物語。事の真相は息つく暇もなく二転三転、遂に第1の謎が明かされた時、戦争は劇的に終結へと向かい、続く第2の謎の解明は、歴史に隠された驚愕の真実を暴くことになるのだ。
 タイトルの“エニグマ”とは、ドイツ軍が開発した暗号システムのこと。非常に複雑なシステムのため、ドイツ軍は絶大なる自信を持っていたが、イギリス政府によってブレッチリー・パークに集められた、数学者、言語学者など、一見風変わりな秘密集団によって解読された。彼らが生み出した解読システムは、現代のコンピューター・システムの原型とも言えるものだ。銃弾や砲弾が飛び交う戦場の影で、今ならハッカーと呼ばれるであろう天才たちが、その頭脳だけで戦争終結に大いなる貢献を果たす。それは、“愚か者が始めた戦争を天才が終わらせる”という、まさに今現在でも繰り返されている構図であり、この作品が持つ極めて今日的なテーマである。

解読せよ。謎の女と国家機密——演技派キャストが魅せる知的サスペンス

 1943年、第二次世界大戦が激化する中、イギリスのブレッチリー・パークに集められた暗号解読チームは、一瞬にして最大の危機に立たされていた。解読に成功していたドイツ軍の暗号機エニグマの暗号コードが突然、変更されたのだ。今の今まで手中にしていたドイツ軍の動きが全く分からない。このままでは大西洋上を航海中の大量の供給物資を積んだ連合国輸送船団が撃沈されてしまう。輸送船団が危険海域に入るまで、残された時間はわずか4日。急遽、休暇をとっていた天才数学者トム・ジェリコが、ブレッチリー・パークに呼び戻される。一方、イギリス諜報部は、暗号変更は内部のスパイの仕業だとにらみ、調査に乗り出す。ちょうどその頃、ジェリコの元恋人のクレアが姿を消した。ジェリコは暗号と格闘する一方、クレアのルームメイト、ヘスターの助けを得て、彼女の行方を追うのだが……。
 恋人に捨てられて心身ともにボロボロになってしまうが、二つの謎と向き合ううちに本来の天才的なひらめきを取り戻していく数学者ジェリコを演じるのは、『M:I−2』のダグレイ・スコット。トム・クルーズの敵役で圧倒的な存在感を見せ、世界的にその名を知られた。最初は衝突しながらも、徐々にジェリコと心を通わせるヘスターには、『タイタニック』でアカデミー賞にノミネートされてからも次々と話題作に出演、ハリウッドを代表する若手女優の一人、ケイト・ウィンスレット。ノーメイクに眼鏡という地味な姿の女性が、秘めた才能を発揮するに従ってどんどん魅力的になっていく様を生き生きと演じている。全ての男たちが恋におちてしまうほどの美貌と魅力を持つ謎の女クレアを演じるのは『ディープ・ブルー』のサフロン・バロウズ。その他、イギリスの名優、『ゴスフォード・パーク』のジェレミー・ノーザム、『ベント 堕ちた饗宴』で端正な美しさが注目されたニコライ・コスター・ワルドウなどが脇を固めている。

アメリカとイギリスの映画的結実による豪華スタッフの実現

 ミック・ジャガーが「トゥルー・ストーリーをベースにしながら、優れたエンタテインメントに仕上げられる監督」として強く希望したのが、マイケル・アプテッド。彼は007シリーズ『ワールド・イズ・ノット・イナフ』の監督として広く知られているが、ドキュメンタリー作品も数多く監督し、様々な賞を受賞している。そのキャリアによって、歴史的真実をゆがめずに、よりドラマティックなサスペンスを創り上げた。
 脚本は、『恋におちたシェイクスピア』でアカデミー賞を受賞し、今イギリスで最も優れた脚本家と讃えられるトム・ストッパード。4日間しか猶予のない暗号解読と、元恋人の失踪という二つの謎を別々の道筋できちんと描きながら、時に二つを絡め、最後には二つの謎が隠された歴史の真実にたどり着くまでを、観る者の緊張感を一瞬たりともゆるめることなく、見事に描ききっている。
 その他、スタッフにはアメリカ、イギリス両国の映画界の錚々たるメンバーが集結した。ミック・ジャガーとタッグを組んだプロデューサーは、アメリカの伝説的コメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」のプロデューサー、ローン・マイケルズ。撮影には『ハイ・フィデリティ』のシーマス・マクガーヴィー、ヘア・メイクには『エリザベス』でアカデミー賞を受賞したジェニー・シャーコア、衣裳には『レッズ』『アガサ・愛の失踪事件』でアカデミー賞にノミネートされたシャーリー・ラッセル、作曲には6度アカデミー賞にノミネートされ、そのうち『ダンス・ウィズ・ウルブズ』など3作品で受賞を果たしたジョン・バリー。また、美術を担当した『未来世紀ブラジル』のジョン・ビアードが作った暗号解読機ボンブのレプリカは、あまりに素晴らしい出来上がりのため、撮影後、博物館に寄贈された。

ストーリー


1943年、第二次世界大戦が日に日に激化する中、イギリス軍の暗号解読センターに衝撃が走った! ナチスドイツの暗号化装置“エニグマ”機の暗号コード、“シャーク”が突然、変更されたのだ。ロンドンの北97キロのブレッチリー・パークに集められた、数学者や言語学者など様々な分野の専門家たちがようやく解読に成功したというのに。しかもそれは連合国側にとって最悪のタイミングだった。ちょうど、食物や燃料、武器などの供給物資を載せた141隻もの輸送船団が大西洋上を横断、このままドイツ軍の潜水艦Uボートの位置をつかめなければ、4日後には間違いなく撃沈されてしまう。
 最初にシャークを解いた暗号解読チームの中心的人物、若き天才数学者トム・ジェリコ(ダグレイ・スコット)が、急遽ブレッチリー・パークに呼び戻される。彼は解読センターで働く恋人のクレア・ロミリー(サフロン・バロウズ)が、ただ一度の喧嘩ですぐに他の男の元へ去ってしまったショックから神経衰弱となり、強制的に休暇をとらされていた。ジェリコが復帰した日、アメリカの海軍司令部もセンターを訪れ、前回解読するのに10ヶ月かかった暗号を、一刻も早く解くようにと強いプレッシャーをかける。

 一方、イギリス諜報部のウィグラム(ジェレミー・ノーザム)は、外国人や風変わりな経歴を持つ者が多い解読者たちの中にスパイがいると睨み、捜査を始める。彼が最初に疑惑の目を向けたのは、重大な極秘事項である“ボンブ”の仕組みに精通しているジェリコだった。暗号解読のヒントを見つけるのは人間の仕事だが、入力したヒントを元に天文学的な文字の組み合わせから回答を探すのが、このボンブという巨大な機械なのだ。

 クレアのことが忘れられないジェリコは、彼女の同僚で一緒に一軒家を借りているヘスター・ウォレス(ケイト・ウィンスレット)からクレアがもう二晩も帰ってこないと聞いて心配する。ジェリコはクレアの家に忍び込んで行く先の手がかりを探す。解読センターでの女性の仕事は、傍受記録のコピーやファイリングといった雑用だった。ところが、クレアの部屋の床下にドイツ軍の暗号の傍受記録が隠されていた。暗号は解かれていなかったが、解読センターから外へ持ち出すこと自体が重大な違法行為である。ジェリコはクレアが何か危険なトラブルに巻き込まれているのではないかと思い、ちょうど帰宅したヘスターにクレアを捜すのを手伝ってくれるよう頼む。
 クロスワード大会で優秀な成績を収めたことのあるヘスターは、その才能を生かしてたちまちクレアが持ち出した暗号の発信元を突き止める。それはウクライナに駐屯中のドイツ陸軍部隊からだった。ヘスターは暗号解読に挑戦しようとするが、ウィグラムの追及に動転したジェリコが燃やしてしまっていた。同じ発信元から傍受された暗号が他にもあることを知ったヘスターは記録保管所で閲覧を試みるが、暗号は抜き取られ、首相直属の部下である長官へ問い合わせよと書かれたメモだけが残されていた。もはや何か巨大な秘密が上層部の手で握りつぶされたことは明らかだった。

 刻一刻と輸送船団は戦闘海域に近づいていた。ドイツ軍は無線連絡を封止、Uボートの姿をくらませて戦闘配置につける。その時、ジェリコに天才的なひらめきが戻る。ドイツ軍は船団を発見すれば、無線封止を解いて船の座標や進路、速度を交信する。それには短縮版のシャークが使われるのだが、その暗号コードはまだ変更されていない。つまり、短縮版の傍受が、新しい暗号コードを解くヒントになるのだ。ジェリコの説明を聞いたポーランド人の解読者パック(ニコライ・コスター・ワルドウ)が抗議の声を上げる。船団発見報告の暗号を多数集めるためには、船団を見殺しにしなければならない。しかし、チームのリーダー、ロギー(トム・ホランダー)は、戦況を有利にすることがより大きな犠牲を抑えると判断、ジェリコたちはただちに作業にかかるのだった。

 ヘスターのクレア失踪の調査も着々と進んでいた。暗号を傍受するボーマナー基地では、万一のため全ての暗号の複写を保管していることを知ったヘスターは、ジェリコを連れて基地を訪れ、クレアが持ち出した暗号の複写をまんまと手に入れる。心を合わせて協力するジェリコとヘスターの間には、いつしか友情以上の感情が芽生え始めていた。彼らが近くの納屋で博物館から拝借したエニグマ機で暗号を解こうとした時、後をつけていたウィグラムと警部補が乗り込んでくる。エニグマ機と暗号はうまく隠した二人だが、採石場跡で発見された物をウィグラムに見せられて衝撃を受ける。それはクレアの靴とコートだった。
 ヘスターは優しかったクレアの身を案じて悲しみに打ちひしがれるが、唯一の手がかりである暗号解読に全身全霊をかける。一方、ジェリコら暗号解読チームは輸送船団の位置と忍び寄るUボートの監視を続ける。遂にUボートが輸送船団を取り囲んだ! チームは先を争うようにドイツ軍の交信の解読にかかる。船団への攻撃は始まってしまったが、解読者たちの天才的頭脳がフル回転した結果、集められたヒントを入力されたボンブは、新しい暗号を次々と解読し始めた。

 大いなる任務を終え、疲れ果てて帰宅したジェリコのベッドにヘスターが眠り込んでいた。とうとう彼女もクレアの持ち出した暗号を解いたのだ。それは知っただけで殺されるほど重要な、歴史をも左右する極秘事項だった。やはりクレアはこれを解いたために殺されたのか? そして暗号の中に見覚えのある名前を見つけたジェリコに、もっと恐るべき真実が待っていた……。

スタッフ

監督:マイケル・アプテッド
脚本:トム・ストッパード
原作:ロバート・ハリス
製作:ローン・マイケルズ、ミック・ジャガー
製作総指揮:ヴィクトリア・ペアマン
製作総指揮:ハンノ・ヒュース、マイケル・ホワイト
共同製作:デヴィッド・ブラウン
撮影監督:シーマス・マクガーヴィー B.S.C.
プロダクション・デザイン:ジョン・ビアード
編集:リック・シェイン A.C.E.
衣裳デザイン:シャーリー・ラッセル
音楽(作曲/指揮):ジョン・バリー
メイク・アップ、ヘア・デザイン:ジェニー・シャーコア
キャスティング:メリー・セルウェイ
キャスティング(アメリカ):アマンダ・マッケイ・ジョンソン
キャシー・サンドリッチ
共同製作総指揮:ロバート・アーツ
トーマス・ガーヴィン
共同製作:エイト・デ・ジョン
ジュリアン・プランケット・ディロン
ジーニー・キム

キャスト

ジェリコ:ダグレイ・スコット
ヘスター:ケイト・ウィンスレット
クレア:サフロン・バロウズ
ウィグラム:ジェレミー・ノーザム
パック:ニコライ・コスター・ワルドウ
ロギー:トム・ホランダー
トゥロウブリッジ司令長官:コリン・レッドグレイヴ
ケーヴ:マシュー・マクフーディエン
スカイナー:ロバート・ピュー

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