すべての美しい馬
原題:All The Pretty Horses
馬よりも美しい存在を知ったあの日・・・・・・。
全米批評家賞/脚本賞
2000年12月25日全米公開
2000年コロンビアピクチャーズ/116分/スコープサイズ/SDDS・SRD・ドルビーSR/字幕翻訳=小寺陽子 /原作:早川書房刊/サントラ盤:ソニー・クラシカル 提供:ミラマックスフィルムズ 配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2007年12月19日よりDVDリリース 2002年1月11日DVD発売&レンタル開始 2002年1月11日ビデオ発売&レンタル開始 2001年6月30日よりシャンテシネにてロードショー公開
公開初日 2001/06/30
配給会社名 0042
公開日メモ テキサスからメキシコへ、カウボーイ生活を夢見る青年が出会う人々との友情・禁断の愛そして、裏切り。厳しい現実の中で、成長していく青年の姿を切なく描いた青春成長ドラマ。
解説
《”愛する馬のように自由でいたい”若者は旅立つ、狂おしい恋が待ち受けるメキシコヘ》
『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』『リプリ』『バガー・ヴァンスの伝説』と快進撃を続けるマット・デイモンの最新作は、夢と自由を求める青年が厳しい現実に直面し、挫折しながらも成長していく姿をリリカルに描いた青春のオデッセイ。無邪気な青年だったジョンは様々な経験を積んで名誉を重んじる”男”になり、子供じみたゲームに興じる青年から愛のために命を賭けることを知る”男”になる。変わりゆく社会の荒波にもまれながら、決して友情と自分自身を見失わなかったジョン。いつの時代にも普遍的な若者の成熟への旅を詩的な香りの中に描き、熱い感動を心に響きわたらせる秀作である。
同名の原作は現代アメリカ文学の最高峰の一人と評されているコーマック・マッカーシーのベストセラー小説。1992年の全米図書賞ならびに全米書評家協会賞を受賞した名作で、「越境」「平原の町」へと続く”国境三部作〈ボーダー・トリロジー〉”の第一作にあたる。”ヘミングウェイの響き、メルヴィルの道徳観、ホーソーンの洞察力がここにある(USAトゥデイ)”と絶賛されるこの壮大で美しい原作に魅せられたのは、ビリー・ボブ・ソーントンだ。
《監督・脚本家・俳優、3つの顔を持つビリー・ボブ・ソーントンの品格あふれる最新作》
ソーントンはアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた『シンプル・プラン』や『狂っちゃいないぜ!』などの個性派俳優にして、アカデミー賞脚色賞に輝いた『スリング・ブレイド』の脚本家・監督として知られる才人。監督3作目にあたるこの作品では、無駄を削ぎ落とした原作の詩的な文章をそのまま映像に移し換え、美しく、時に荒々しい雄大な自然を背景に、散文詩ともいうべき文学の香り漂う品格ある作品を作り出した。
自由を象徴する馬たちをスローモーションで捉える躍動的な映像。荒野の向こうに不吉な未来を予感させるように立ち現れる黒々とした雷雲と稲妻。ジョンの心を映すように幻影の中に現われてタップを踏む見知らぬ男……。ソーントンは、シュールなイメージをそこここに散りばめて、ジョンの心象をリリカルに映像化する。
ストーリー
夜の闇の中を美しい馬たちが駆け抜けていく。たてがみをなびかせ、大地に蹄の音をとどろかせながら。彼らは何ものにも束縛されず、自由を謳歌しているように見える。
ジョン・ブレイディ・コール(マット・デイモン)は友人のレイシー・ロリンズ(ヘンリー・トーマス)と草原に寝そべって、死について、天国と地獄について語り合っていた。
1949年、テキサス州サンアンジェロ。ジョンは父の死によって何もかも失った。彼は代々続く牧場でカウボーイとして暮らすことを望んだが、女優を目指す母はここを石油会社に売り払った。弁護士(サム・シェパード)にも会ったが、どうにもならなかった。ジョンはレイシーを誘って家を出た。目指すは国境の南。メキシコに行けば広大な牧場があり、夢見ていたカウボーイ生活が送れるはずだ。新しい人生が待っているに違いない。
旅の途中、二人はジミー・ブレヴィンズと名乗る少年(ルーカス・ブラック)に出会う。彼は身分不相応な名馬に乗り、ならず者気どりで銃の名手だった。レイシーは盗んだ馬に違いないと警戒するが、少年は「俺の馬だ」の一点張り。ジョンは崖の上に並んで座って少年に様々なことを尋ねる。3人は一緒に旅を続けることになった。一夜明け、空に雷雲が広がり始めると、少年は我を失う。彼の家系は雷に弱い。何人もの祖先が雷に打たれて死んだという。金目のものをはずし、下着姿で溝の中にうずくまる少年。雨が上がって二人が様子を見に来たとき、彼の馬は銃ともども消えていた。
近くの村に着いた3人は、村人がブレヴィンズの銃を持っているのを目撃する。血気にはやる彼は馬を取り返そうとし、3人は村人から追われるハメになる。途中、ブレヴィンズと別れたジョンとレイシーは、河畔で牛を追うカウボーイたちに出会い、雇ってもらう。
【地獄を信じないで天国だけ信じることはできると思うか?死んだらどうなるかと考えるだろ、と彼はいった。そしたらもうきりがないな。(原作より)】
メキシコ人エクトル・ロチャ(ルーベン・ブラデス)が経営するその大牧場では、400頭もの野生馬が放牧されていた。牧場で働き始めたジョンは、馬に乗って現れた美しい女性に目が釘付けになる。彼女はロチャの娘アレハンドラ(ペネロペ・クルス)だった。
ジョンとレイシーは野生馬の調教を始めた。暴れ回る馬をロープで引き寄せ、鞍を乗せ、次第に乗りこなす二人。いつの間にか柵のまわりにはカウボーイや住民たちが集まり、彼らのロデオに見惚れていた。ジョンは馬を優しくなで、心を通わせるように耳元で囁いた。それは幸せなひとときだった。
ロチャもジョンの腕前を見て信頼を寄せるようになる。
その日、馬でカンポ(草原)に出たジョンはアレハンドラと出会う。目を合わせ、笑みを交わす二人。夜、二人はダンスホールで一緒に踊った。再びカンポで会った二人の心は既に通い合っていた。やがて彼らの逢瀬は人々に知れ渡ってしまう。翌日、ジョンはアレハンドラの大おばアルフォンサ(ミリアム・コロン)に呼ばれる。彼女は、メキシコでは”評判”だけが女の持ち物だと言う。そして、アレハンドラの名誉のためと称して二人の交際を禁じる。しかしその夜、ジョンの部屋にアレハンドラが現れれた。怒ったように大おばとの会話の内容を聞きただすアレハンドラ。もう彼らの恋心を止めることは誰にもできなかった。夜の池を裸で泳ぎ、唇を合わせる二人。翌日も、またその翌日も、二人は愛を深めていった。しかしある日、ジョンはアレハンドラが飛行機に乗って去っていくのを目撃する。
【決して赦されることはないのです、女は。男なら名誉を失っても挽回することができるでしょう。でも女にはできません。赦されないのです。おれにはなんだかそれは正しくないように思えます。(原作より)】
その朝突然、ジョンとレイシーは警察官に逮捕される。留置場に放り込まれた二人は、そこでブレヴィンズに再会した。彼は銃を取り戻しに行って人を殺したのだという。二人は彼の共犯だと思われていた。ジョンの脳裏を、走る馬とアレハンドラの姿がよぎる。それは彼が手に入れた自由と夢の象徴だった。そして今、彼は自由とは正反対の現実の中にいる。
尋間されたジョンは、ブレヴィンズが自分の馬を取り返そうとしただけだと主張する。しかし、3人はトラックで荒野の真ん中へ連れて行かれる。引きずり出されるブレヴィンズ。轟く銃声……。やがて二人は刑務所に収監されるが、囚人たちのリンチが続き、レイシーの精神はキレる寸前だった。ジョンはブレヴィンズの死に自責の念を感じていた。彼は食事中に囚人からナイフで切りつけられるが、傷つきながらも金で手に入れたナイフで相手を刺し殺す。ジョンは自分の行為に呆然とするのだった。
医者の治療を終えたジョンは所長室に呼ばれた。突然、彼らは釈放されることになった。大おばが金を出したらしい。翌朝、レイシーはテキサス行きのバスに乗った。ジョンはアレハンドラの許へ帰らねばならない。
ジョンとは二度と会わないというアレハンドラの誓いと引き換えに、二人を出獄させたと大おばから聞いたジョンは、彼女に電話をかける。受話器の向こうでアレハンドラは泣いていた。殺されてもいいから会いたいと言うジョン。彼女は翌朝、駅で会うことを承知する。
久しぶりの再会。あの時、彼女は父を説得できると思ってジョンのことを打ち明けた。しかし、父は彼女を監禁した。「私がすべてを台無しにした」と泣くアレハンドラ。「結婚してテキサスへ行こう」と言うジョン。しかし、誇りに代えた約束は破れない。彼女にできるのは、ただジョンの愛を信じることだけ。ホテルの一室で二人は固く抱きしめ合う。
翌朝、駅で別れる二人。しかし、ジョンには悲しみに浸る時間はなかった。彼にはやらなければならないことがあったのだ……。
スタッフ
監督:ビリー・ボブ・ソーントン
製作:ロバート・サレルノ/ビリー・ボブ・ソーントン
脚本:テッド・タリー
原作:コーマック・マッカーシー
製作総指揮:サリー・メンケ/ジョナサン・ゴードン
共同製作:ブルース・ヘラー
撮影:バリー・マーコビッツ
美術:クラーク・ハンター
編集:サリー・メンケA.C.E
音楽:マーティ・スチュアート
衣装:ダグ・ホール
キャスト
ジョン・グレイディ・コール:マット・デイモン
レイシー・ロリンズ:ヘンリー・トーマス
ジミー・ブレヴィンズ:ルーカス・ブラック
アレハンドラ:ペネロペ・クルス
エクトル・ロチャ:ルーベン・ブラデス
コール:ロバート・パトリック
判事:ブルース・ダーン
J.C.フランクリン:サム・シェパード
ドナ・アルフォンサ:ミリアム・コロン
キャプテン:フリオ・オスカー・メチョソ
LINK
□IMDb□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す