トルストイの愛の名作が現代によみがえる

1997年度作品/カラー作品/配給:ギャガコミュニケーションズ

98年4月11日 スバル座他 全国東宝洋画系にてロードショー !!

公開初日 1998/04/11

配給会社名 0025

解説

「神様、わたくしのすべてをお許しください!」。一途に愛を追いかけた女性の、最期の叫びが胸に迫る、ロシアの文豪トルストイの長編小説「アンナ・カレーニナ」。ロマノフ王朝時代の貴族社会を舞台に、艶やかな美貌に恵まれた社交界の華、アンナ・カレーニナの悲恋を描いた永遠のラブロマンスが、現代に甦った。
『アンナ・カレーニナ』はこれまで何度となく映画化されてきた。1938年のグレタ・ガルボの主演版や48年のビビアン・リー、アンナ・パブロワが特別出演した68年のソ連版などがよく知られているが、今回は新たな脚色でついに7度目の映画化が実現した。今回、脚本・監督を担当したのは、英国人監督バーナード・ローズ。ゲイリー・オールドマンとイザベラ・ロッセリーニが共演した「不滅の恋ベートーヴェン」(94)で脚光を浴びた実力派だ。小説を読んで以来、いつの日かメジャー作品として映画化したいと切望してきたという。
映画化の際、もっとも重要視したのがキャスティングだった。ヒロインのアンナを演じるのは、ソフィー・マルソー。彼女は近年、母国フランスはもとより、ハリウッドでも活躍し、メル・ギブソンと「ブレイブハート」(95)で共演した。同作品は作品賞、監督賞、撮影賞、など主要5部門でアカデミー賞を受賞し、話題となった。多彩な才能に恵まれた彼女は、ロシアの名花を演じるにまさにふさわしい女優といえるだろう。
今回の映画化に当たってバーナード・ローズは、小説でも主軸となるもう一つのカップル、レーヴィンとキティの関係を、これまでのどの映画よりも掘り下げて描いた。ひとまわり以上も年の離れたレーヴィンの愛を、一度は拒絶しながらも受け入れ、幸せな家庭を築いていくキティ。安定したすべての生活を捨て、激しい愛に走ったアンナと対極にあるような彼女を描くことで、アンナの人物造形が、より鮮明に浮かび上がっている。 本作は、全編ロシアロケを敢行した。ロシアの大地や人々の胸に響き渡る音楽は、97年9月に84歳で亡くなった、今世紀最大の名指揮者サー・ゲオルグ・ショルティが担当。チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」を中心に、ラフマニノフやプロコフィエフといったロシアの大作曲家たちの名曲を取り入れ、切ない愛の物語に彩りを添えている。

ストーリー

1880年、冬のモスクワ。レーヴィン(アルフレッド・モリーナ)は、凍った川で可憐にスケートをする美しい侯爵令嬢エカテリーナ・シチェルバツキー、通称キティ(ミア・カーシュナー)に見惚れていた。
中年を過ぎ、田舎に一人暮らす彼がモスクワへ戻ってきたのは、思いを寄せてきたキティに結婚を申し込むためだった。
容姿や年齢を気にしながらも、意を決して結婚を申し込んだレーヴィンだったが、容姿端麗な軍人、ヴロンスキー伯爵(ショーン・ビーン)にすっかり夢中になっていたキティは、結婚の申し込みを断ってしまう。
意気消沈したレーヴィンは、傷ついた心のまま田舎の生活に戻っていく。
ある日、母親のヴロンスカヤ伯爵夫人(フィリーダ・ロウ)を出迎えるため、モスクワ駅へ向かったヴロンスキーは、友人のスティーヴァ(ダニー・ヒューストン)に出会う。
彼は妹アンナ・カレーニナ(ソフィー・マルソー)を待っていた。
浮気が妻にばれたスティーヴァは、調停役にアンナをサンクト・ペテルブルグから呼び寄せていたのだ。
到着した汽車に歩み寄り、母の姿を探すヴロンスキーは、突然、蒸気の中から現れた黒いドレスの美しい女性と鉢合わせする。
交差する視線。ヴロンスキーが一瞬にして心を奪われたその女性こそ、スティーヴァの妹アンナであり、ロシアの高官カレーニン(ジェームズ・フォックス)の妻で、8歳の息子セリョージャの母だった。
だが、アンナにすっかり夢中になったヴロンスキーは、社交界の最も華やかな舞踏会でキティを無視してアンナをエスコートする。
抵抗するアンナに、ヴロンスキーの恋の炎はますます燃え盛る。
彼とのダンスは、アンナの「暗い子宮」にも火をつけた。サンクト・ペテルブルグへ帰る途中、外の空気を吸いたいと停車時間に雪の降りしきる外へ立ったアンナ。
そこにはいるはずのない、ヴロンスキーが立っていた。
ついにヴロンスキーはアンナを手に入れる。激しく情熱を傾ける二人は、あっという間にロシアの社交界の話題になり始めた。
夫カレーニンは、ヴロンスキーの出るホースレースを感情を剥き出しにして夢中で応援するアンナを見て、妻の変化を知る。
帰途の馬車の中で、「死にそうに不幸なの」と離婚を申し立てたアンナだが、夫は息子の親権を盾に離婚を拒否する。
アンナの中には、ヴロンスキーとの新たな命が宿っていた。
一方、ヴロンスキーに心を踏みにじられ病気になったキティは、静養のため田舎へ向かう。
81年、モスクワのスティーヴァの晩餐で再会するレーヴィンとキティ。少女の面影が消え、すっかり大人の美しい女性になっていた彼女に、レーヴィンは再び思いを打ちあけ、結婚を申し込む。
キティは今度は快く応じ、二人は幸せな結婚生活をスタートさせる。
82年春、ペテルブルグではアンナは流産し、ひどい熱に冒され苦しんでいた。ヴロンスキーが見守る中、別居していたカレーニンが駆けつける。許しを乞うアンナに静かに応えるカレーニン。
彼は二人の関係を許すが、屋敷を立ち去るようにヴロンスキーへ告げる。やがて、ヴロンスキーは軍隊を辞し、アンナを連れてイタリアで夫婦のように生活を始めるが、アンナの離婚問題は進展せず、イタリアから戻ってきた二人は次第に、世間からかかるプレッシャーに耐え切れなくなっていった。
ヴロンスキーの屋敷から出ることもままならないアンナは、アヘンに溺れ始め、悲しい最期に向かって歩み出していく。

スタッフ

原作:レオ・トルストイ
脚本・監督:バーナード・ローズ
プロデューサー:ブルース・デイビー
衣裳デザイナー:マウリツィオ・ミレノッティ
音楽:サー・ゲオルク・ショルティ

キャスト

ソフィー・マルソー/ショーン・ビーン/
アルフレッド・モリーナ/ジェームズ・フォックス/
ミア・カーシュナー

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