名探偵コナン　天国へのカウントダウン

シリーズ５周年。すべては「挑戦」から始まった…

ゴールデンウィークに公開される作品群の中でで圧倒的な興行成績を記録し、昨年度の邦画興行成績では第４位を記録するなど絶大な人気を誇る劇場版「名探偵コナン」シリーズ。劇場映画の枠のみならず”ジャパ二メーション”を代表する作品に成長を遂げたといえる。

そして２００１年、２１世紀。シリーズ５周年を迎えた劇場版「名探偵コナン」シリーズは、最新作「天国へのカウントダウン」で、現在に至るまでの全ての技術とアイディアを結集し最高のピークを目指しながら、新たな領域へとを突入し始めた。
５周年の最新作を迎えるにあたって、この人気シリーズが現在に至る道のりついて振り返っておきたい。

傑作「時計じかけの摩天楼」を振り返って…

９７年にスタートした劇場版『名探偵コナン』シリーズ。その第一作目を飾ったのが「時計じかけの摩天楼」だ。この映画化がスタートした背景は、原作が小学館「週刊少年サンデー」の誌上で圧倒的な人気を不動のものとし、前年に読売テレビ・日本テレビ系列で放送を開始したテレビシリーズも、原作のテイスト＆クオリティを保ちながら視聴者に十二分に認知を受け始めたという時期であった。複合的に絶頂をむかえる寸前に立ちあがった映画化企画は、まさに満を持しての状況を背景にしていた。しかし、「コナンシリーズ」を取り巻く状況と拡大し続けるファンを十二分に納得させなければならない映画化へのストーリー固めは、製作スタッフに想像を超えるプレッシャーとなって襲いかかったのも事実だ。このオリジナルストーリーの創作については難航を極めたという一言に尽きる。テレビシリーズを支えるメンバー、読売テレビ・諏訪道彦、東京ムービー・吉岡昌仁、そして監督のこだま兼嗣は、シナリオライティングに刑事・推理ドラマで注目を集めていた脚本家・古内一成を迎え多難な製作をスタートさせたわけである。その作業は６ヶ月以上の期間と何回にも及ぶ改訂を重ね続けながら、完成の日へと漕ぎ着けたわけである。
劇場作品を初めて手掛けた古内氏自身の執念の結晶とも言えるその作品内容—— 連続爆弾事件の緊張度と蘭がラストに挑んだ爆弾導線「赤と青」のトリック——は、未だシリーズ最高のクオリティと称えられている。劇場シリーズは、まさにこの作品から全てが動き出したと言っても過言ではない。緻密に計算されたトリックと息をつかせない編集と構成は、以降続いたシリーズの大きな指針となった。製作スタッフらがシリーズ全般にわたって常にモットーにしたのは「１作目に並ぶクオリティ！」。そして見事にその設定目標を維持し続けて、現在に至っているわけなのである。

集大成、そして新たな挑戦！

そして第５作目「天国へのカウントダウン」は、シリーズの集大成として、そして第１作「時計じかけの摩天楼」へのオマージュを込めて完成した。ストーリーは日本で最高峰の双子のビル（ツインタワー）が舞台。そのビル建設は「時計じかけの摩天楼」の犯人・森谷帝二の弟子が手掛けたという設定。そして物語はビル全体の爆破とともにシリーズ史上最高のクライマックスを迎える事になる。また見逃せないのは、工藤新一に毒薬を飲ませ江戸川コナンの姿に変えさせた《黒ずくめの組織》ジンとウォッカの登場だ。このキャラクターは、もちろん劇場シリーズで初登場ということになる。《黒の組織》に絡む灰原哀の行動も、彼女の本当の正体が明らかにされる！？こととあいまって息をつく間もない圧倒的な構成に仕上がっている。

最新作「天国へのカウントダウン」は、５年間続けて強固なチームワークを誇る製作委員会と監督・こだま兼嗣、脚本・古内一成、そしてアニメーション制作・東京ムービーという黄金のトライアングルが全身全霊を込めて製作にあたった。それは、金字塔の第１作を超え、あらたなシリーズの幕開けに相応しい”マスターピース”を完成させることで力量が証明されるわけである。シリーズが新たな時代に突入した事を告げ、全国のファンの期待に対する決意表明といえる劇場シリーズ最新作「名探偵コナン　天国へのカウントダウン」。その結果はどうぞ、銀幕でお確かめ下さい。