クライム&パニッシュメント
原題:Crime and Punishment in Suburbia
どこにでもある愛。どこにでもある殺意。どこかにある未来。
2000年サンダンス国際映画祭出品
2000年8月25日イタリア公開
2000年/アメリカ/100分/Dolby Digital/ビスタ 提供:TOSHIBA、アミューズビクチャーズ 配給:アミューズ・ピクチャーズ
2002年4月26日DVD発売/2002年4月26日ビデオ発売&レンタル開始 2001年12月1日よりシネ・リーブル池袋にてロードショー公開
公開初日 2001/12/01
公開終了日 2001/12/21
配給会社名 0008
公開日メモ アカデミー賞を5部門受賞した『アメリカン・ビューティ』。奇想天外なクライマックスが話題を呼んだ『マグノリア』。ブラックなタッチで人の心の裏側を描いた『八ピネス』。これらに共通するキーワードは“サバービァ(郊外)”。
解説
■あるアメリカ郊外(サバービア)で生まれた不可思議な愛のかたち。
カリフォルニア郊外のどこにでもありそうな街。ロザンヌは高校生。彼女の生活は幸福感に満ち溢れ、学園生活は彼女を中心に廻っている。義父と実母との家族生活も何かを孕んでいながら平穏に見える。同じ高校に通うヴィンセントは、そんなロザンヌをカメラのファインダー越しにいつも見つめている。教室で楽しく戯れるロザンヌ、アメフト部のスター・プレイヤーである恋人とキスをするロザンヌ、彼女の部屋の窓越しにうつるロザンヌ、そして…。そんな対照的なふたりのティーンエイジャーが、ある事件をきっかけに急接近する。ロザンヌの義父殺しである。おぞましい犯罪を隠すロザンヌにヴィンセントは近付いていく。ロザンヌもそんなヴィンセントに不思議な何かを感じ、次第に親密感は増していく。
■アメリカ映画が見つけた新しい場所“サバービア(郊外型)”!
アカデミー賞を5部門受賞した『アメリカン・ビューティ』。奇想天外なクライマックスが話題を呼んだ『マグノリア』。ブラックなタッチで人の心の裏側を描いた『八ピネス』。これらに共通するキーワードは“サバービァ(郊外)”。郊外という響きで連想する、普通、日常という言葉の裏に、閉息感、不毛感、孤独感、変化のない日常が潜み、ある日、ある時、何かが弾けてしまう映画。そして新しい“サパービア(郊外型)”の映画の誕生!それが『クライム アンド パニッシュメント』である。この映画は、タイトルでもわかるようにドストエフスキーの『罪と罰』を現代版にアレンジしている。ロザンヌは学園の人気者で何不自由ない生活を送っていたが、義父を殺害してしまったことで事態は急変。さらに、すべてを知っているヴィンセントが近付く!その真意は?“サパーブ(郊外型)”ムービーのラストは、破綻、破滅のパターンが多いが『クライム アンド パニッシュメント』のラストは果たして?
■若手スター競演!
学園の人気者から、義父殺しまで犯してしまうロザンヌ役を演じるのは、『ディアボロス悪魔の扉』『あなたが寝てる間に』とキャリアを重ね、『スノーホワイト』で見事主演を果たしたモニカ・キーナ。TVシリーズ『ドーソンズ・クリーク』の周囲を掻き乱すアビ一役を演じて全米の人気は絶大。本作でも学園の人気者から義父殺し、そしてラストに至る起伏のある役柄を表情の変化で揺れる心を演じている。そのロザンヌに近付くヴィンセント役を演じるのは、『アナザー・デイ・イン・パラダイス』で犯罪の深みにはまる青年を繊細に演じて話題になったヴィンセント・カーシーザー。本作でもロザンヌに近付き、崩壊か、救世主か、その真意を解らせない難役を演じきっている。また、ふたりはプライベートでも付き合いがあり、その息のあった演技も要注目。
■ドストエフスキーの「罪と罰」を大胆にアレンジ!
ドストエフスキーの『罪と罰』。貧しい大学生が、強欲非道な高利貸しの老婆を殺害し、その財産を有効利用しようを企てるが、その妹まで殺してしまったことから罪の意識に駆られ、偶然知り合った娼婦の自己犠牲な生き方に打たれ、自らを法の手にゆだねる—。19世紀ロシア文学を代表する世界的巨匠の代表作。この作品を大胆にアレンジしているのが『クライム アンド パニッシュメント』。小説が基盤であることを意識させるために全体を8つの章にわけ、罪の意識—、不安と恐怖—、良心の呵責—、信じられる誰か—、自らの贖罪—、という気持の変化はどちらも共通。だが『罪と罰』が1860年代のロシアで急速な価値転換のなかでの青年層の思想の混迷を予言し、強烈な人間回復への願望を訴えた書であることに対し、『クライム アンド パニッシュメント』が、不毛感、孤独感が奮屈したかたちで吹き出してしまう現代の日常の裏側、さらにはそれをラブストーリーにまで昇華させ、若者が無駄に時を過ごす郊外を背景に、移ろいやすい現代版の美しい愛のかたちを描いている。
■脇を固める豪華な俳優陣!
ロザンヌの母親で、夫殺しの容疑をかけられるマギー役にロバート・デ・二一ロ、アル・パチーノ、ジャック・ニコルソンらハリウッドの大物監督、俳優と仕事を続けるエレン・バーキン。ロザンヌの義父役で酒浸りのフレッド役は、90本以上の映画出演を果たす、いぶし銀のマイケル・アイアンサイド。さらにマギーの新しい若い恋人クリス役に『バスキア』で繊細な若きアーティストの難役を見事に演じたジェフリー・ライト。豪華な顔ぶれが実現し、作品に深みと厚さを持たせている。
*suburbia サバービア
1.)(蔑称的に)郊外(suburbs)
2.)(集合的に)郊外居住者(suburbanites)
3.)郊外生活の社会的(文化的)側面、郊外特有の風俗(習慣)
ストーリー
カリフォルニア郊外のとある街。高校生のロザンヌ(モニカ・キーナ)は、可愛くてお金持ちの学園の人気者。彼氏のジミー(ジェイムズ・デベロ)もアメフト部のスター・プレイヤー。ふたりはみんなの憧れの的で、まさに学園生活は彼女を中心に廻っていた。
一方、彼女を慕いながらも、いつもカメラのファインダー超しでしか、彼女を捉えられない孤独を好む転校生、ヴィンセント(ヴィンセント・力一シーザー)がいた。ロザンヌもヴィンセントが追い掛けていることを知りつつもそれは自分が人気者の証しだと思っていた。すべてがうまくいっていると思われたロザンヌの学園生活の落とし穴は家庭にあった…。
母親のマギー(エレン・バーキン)は、再婚相手でロザンヌの義父であるフレッド(マイケル・アイアンサイド)の目を盗み、若い黒人のクリス(ジェフリー・ライト)と浮気をしている。トップ営業マンだった義父フレッドも最近はいつでも家にいて酒浸りになっている。ある日、妻の浮気を確信したフレッドは密会現場に踏み込み、大騒ぎとなった。
狭い街では噂が広まるのも早く、母親が黒人と浮気—、父親が逆上して大げんか—、不倫女の娘…という巷の言葉がロザンヌの耳に入る。母親がそれを契機に家を出た為、ロザンヌは義父とふたり家に残され、つらい日々を送る。
ある夜、ロザンヌは酒に酔ったフレッドに犯される。平静を失い、感情的に打ちのめされたロザンヌは、恋人のジミーと共謀し、フレッド殺害を計画、そして実行した…。
皮肉な運命の悪戯で、マギーが第一発見者となり、夫殺害の嫌疑で逮捕された。誰もロザンヌと話さず、ロザンヌも口を閉ざした。閉息感と孤独感は日増しに強くなり、次第にジミーとも距離を置くようになった。そして、母親が自分のせいで、無実の罪で有罪にされそうだということを知りつつもそれでも自分の罪を隠そうとしていた。
そんな時、ヴィンセントからドライブに誘われ、ヴィンセントも心に傷を持っていることを知る。ヴィンセントの世界観と愛情、優しさに触れ、彼の不思議な魅力に惹かれていく。そしてついに母親の裁判に一緒に行く約束をした。
ロザンヌとヴィンセントの距籠が縮まるにつれ、そのことを快く思わないジミーがいた。彼はロザンヌに詰め寄るが、ロザンヌは事件のことを思い出してしまうジミーに逢いたくなかった。
裁判が始まり、ロザンヌとヴィンセントが見守るなか、マギーの有罪は確実だった。
裁判も大詰めの頃、嫉妬に駆られたジミーが裁判所にまでやってきて殺害時のことでうなされると告白。この話をマギーの恋人、クリスが聞いていた。
その頃、ロザンヌは、ヴィンセントの自分を隠し撮りした写真を発見し、ヴィンセントが事件のすべてを知っていることを知る。さらにそれでも自分に近付くヴィンセントの真意は何かと混乱する。
そこに、ジミーを連れたクリスが現れ、4人がもみくちゃになった時、クリスの拳銃がジミーに向けて発砲され、ジミーは救急病院に運ばれ、クリスは逃亡した。
深夜、ロザンヌがヴィンセントの部屋に忍び込んだ。助けて欲しいと。それは自分自身で決めることだとヴィンセントはロザンヌをやさしく諭した。
あくる日。ロザンヌは警察に自首をした。憎いから、暴行されたから。そして刑務所に入った。
クリスは誘拐と発砲で3年の刑を受けた。
マギーは、クリスのいる刑務所の近くに引っ越し、彼と保険金を手にして嬉しそうだった。
ジミーは、ロザンヌが身の潔白を証明して罪には問われなかった。家族のもとでリハビリに励んでいる。
何年か後、ロザンヌの出所の日。ヴィンセントが待っていた。ヴィンセントとともにバイクに乗って走る。
“かなり遠回りしたけど、やっと自分の心を見つけた。”
スタッフ
監督:ロブ・シュミット
脚本:ラリー・グロス
製作:パム・コフラー、クリスティーン・ヴァション、
ラリー・クロス、ビー・ブコウスキープ
ロダクション・デザイナー:ルース・アモン
衣装:ソフィー・カーボネル
編集:ガブリエル・ライ
キャスト
ロザンヌ:モニカ・キーナ
ヴィンセント:ヴィンセント・力—シーザー
マギー:エレン・バーキン
クリス:ジェフリー・ライト
ジミー:ジェームズ・デベロ
フレッド:マイケル・アイアンサイド
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