ハロー、アゲイン
原題:The Darkest Light
少女の信じた奇跡は、大人たちの希望となった・・・
1999年エジンバラ国際映画祭出品、1999年モントリオール世界映画祭出品、 1999年タオルミナ国際映画祭出品、1999年ブリティッシュ・インディペンデント・アワード新人賞ノミネート
2000年1月14日イギリス公開
1999年/イギリス/カラー/ヴィスタサイズ/ドルビーSR/94分/日本版字幕:稲田嵯裕里 配給:東北新社
2001年6月2日よりシネマ・カリテにてロードショー
公開初日 2001/06/02
公開終了日 2001/06/29
配給会社名 0051
公開日メモ 少女の信じた奇跡は、大人たちの希望となった・・・『フル・モンティ』のサイモン・ボーフォイが贈る<愛と再生>の物語
解説
『フル・モンティ』で世界中を笑いと感動で包み込み、アカデミー賞(脚本賞)にノミネートされたイギリスの若手脚本家サイモン・ボーフォイ。脚本家としてこれまでもヨークシャーを舞台に希望を捨てない人間の遅しさを描き、”Yellow”等の短編では演出家としての確かな才能を示してきた。その彼が、映画製作において良きパートナーである女流監督ビリー・エルトリンガムと組んで、遂に監督として長編デビューを果たす。
子供だからこそ素直に奇跡を信じて希望を持ち続けるキャサリン。そのひたむきな姿は、大人になるにつれ不確かなものを信じられなくなる私たちに、説明がつかなくても信じられるものは存在し、それが希望となり、生きるカ・糧となるのだと勇気づける。子供らしい無邪気な言動を織り交ぜながら、家族の愛とぬくもり、絶望を乗り越えてゆく「信じる心」の尊さを生き生きと描き出すこの作品は、希望をもつことの本当の意味を私たちの心の深いところに根づかせ、優しい感動で包み込んでくれる。
ラストに待っているヒンドゥー教の概念に通じる微笑ましくも優しい”奇跡”は、人間の悲しみが悲しみでありつつ、同時に次の喜びにつながるものなのだと語りかける。そして、「よろしくね」と微笑むキャサリンの姿には、絶望を乗り越え、新たな未来を築き始めた人間の成長と逞しさが現われている。そこには、「たとえ信じた希望が思い描いた形に結実しなくても、希望をもち続ける強さがあれば、それは形を変えて再生され、未来につないでいけるのだ」というボーフォイのメッセージが込められている…。
元BBCのプロデューサーであり、ケイト・ブランシェット主演作『理想の結婚』等を手掛けたアンドレア・カルダーウッドが製作を担当。手持ちカメラを駆使した緩急あるカメラワークでヨークシャーの自然を時に荒々しく、時にファンタジックに魅せるのは、女性撮影監督メアリー・ファーブラザー。エキゾチックで叙情豊かな音楽を、『アイ・ウォント・ユー』などマイケル・ウィンターボトム作品で数々の名曲を創出したエイドリアン・ジョンストンが手掛けるなど、スタッフにはイギリス映画の今後を担う新鋭が集った。キャサリンの父母を演じるのは、『ウエルカム・トゥ・サラエボ』でも共演し、イギリス映画界きっての実力派スティーヴン・ディレーンとケリー・フォックス。彼らは今回、演技初体験であるキャサリン役のケリー・アーノルド、ウマ役のカヴィータ・スンガのために即興的な演出にも協力している。その努力は、子役の瑞々しいセリフ、説得力ある演技といった成果を生み、アーノルドは若干11才ながらブリティッシュ・インディペンデント・アワードの最優秀新人賞にノミネートされた。
(口蹄病:家畜の伝染病。感染力が非常に強く、空気感染する。)
ストーリー
イングランドのヨークシャー。牧場を営むトム(ステイーヴン・ディレーン)の長女キャサリン(ケリー・アーノルド)は、両親を困らせるほど頑固で活発な少女だった。弟マシュー(ジェイソン・ウォルトン)の白血病が、家族に暗い影を落としていたか、キャサリンは彼を取り立てて特別扱いせす、喧嘩しながらも仲良く暮らしていた。
ある日、マシューに付き添って訪れた病院で、キャサリンは妊婦である母の検診についてきたインド系の少女ウマ(カヴィータ・スンガ)と出会う。翌日、転校生として登校してきたウマが、休校中のマシューのコート掛けを使うように指示されているのを聞いたキャサリンは傷つき、体育の授業中、故意にウマに怪我を負わせてしまう。しかし、その謝罪に訪れたウマの家で暖かいもてなしを受け、ヒンドゥー教の不思議な風習に魅了されたことから、急速に彼女との友情を深めるのだった。
その頃、トムは放牧している羊が変死しているのを発見する。家庭の事情を思いやる彼は、この異変を村の住民には伏せてしまう。
年に一度のヒツジの毛を刈る日がやってきた。入退院を繰り返していたマシューも久しぶりに帰宅し、その夜はキャサリンの家に、ウマと彼女の母ニーシャ(ニーシャ・
K・ネイヤー)をはじめ近隣の人々が集まり、にぎやかに食卓を囲む。皆が話に夢中になっている中、マシューは自分の髪が大量に抜けることに気づき、ヒステリックに髪を引き抜きはじめた。意を決したトムは、マシューを納屋に連れ出し髪を剃り、自分自身の髪もまた息子に剃らせるのだった。その様子をキャサリンと母のスー(ケリ
ー・フォックス)は、成す術もなく静かに見守るしかなかった。マシューは死を怖れていた。そんな弟の異変を感じ取ったキャサリンに、ウマはヒンドゥー教の「輪廻転生」の概念について話すのだった。
ある日、羊の死体を見つけると5ポンドもらえるとトムから聞いたキャサリンは、ウマを誘って学校をさぼり、荒地を探検しに行く。自宅療養中のマシューも仲間に入ろうと二人の後を追う。いつしか3人は、ワイヤーで囲まれた区域に足を踏み入れるのだが、そこは立ち入り禁止の軍事演習場だった。注射器や錆ついた銃などが散乱する中、3人は小川が流れる谷にたどり着く。その清流で水遊びをするキャサリンとウマ。すると突然、真っ白い巨大な光が3人を包み込んだ。キャサリンにはその光が、マシューの病気が回復するという予言に思え、自分の体験を両親に話すが取り合ってくれない。一方ウマはそれを災いの兆候として捉え、この体験を忌み嫌うのだった。そんな中、マシューは二人かマリア様を見たのだと思い込み、自分の治癒を信じ始める…。
やがてウマの危惧が的中したかのように、トムの牧場で飼っている牛が口蹄病という伝染病によって次々と死亡するという事件が起こる。外界から隔離され、村の住民からも疫病神として疎まれる存在になっていくトム一家。さらにマシューの容態も悪化し、学校へ行くにも車椅子が必要になる。それでも”予言”を信じ続けるキャサリンに両親は怒りを覚え始める。ウマさえ彼女の言葉を信じられなかった。
そんなある日、奇跡ともいえる手紙が家族の元に舞い込んだ。それはキャサリンの骨髄がマシューのものと一致し、骨髄移植が可能だという病院からの通知だったのだ。「光が奇跡を起こす!」このニュースは村中に広がり、人々が”光”を見ようと一斉に谷へと向かい始めた。村人の先頭には、キャサリンと衰弱したマシューを背負うスー、さらにキャサリンに連れられたウマの姿が・・・。”光”は救世主となり得るのか?
スタッフ
監督:サイモン・ボーフォイ/ビリー・エルトリンガム
脚本:サイモン・ボーフォイ
エグゼクティヴ・プロデューサー:アンドレア・カルダーウッド/アレクシス・ロイド/バーバラ・マッキサック
ブロデューサー:マーク・ブラニー
撮影:メアリー・ファーブラザー
編集:ユア・J・リンド
音楽:エイドリアン・ジョンストン
美術:クリス・タウンゼント
キャスト
トム:ステイーヴン・ディレーン
スー:ケリー・フォックス
キャサリン:ケリー・アーノルド
ウマ:カヴィータ・スンガ
マシュー:ジェイソン・ウォルトン
ニーシャ:ニーシャ・K・ネイヤー
マーク神父:ニコラス・ホープ
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